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セイン脱走の報告と対処

「へ!? あのセイン兄さんが脱走した!?」


「うん、お父さんから国王様経由で情報が入ってきてね。 確実にこっちに来るから気を付けろと言ってたよ。 あと、転移魔法でお父さん達も来るって言ってたみたい」


 魔王の娘との会話から3日経った日の朝、メルルとカトルは、クルルからの呼び出しがあって来たがそこでもたらされた内容でメルルは驚きを隠せないでいた。

 セインの脱走と言う、カルロスからの情報だったようだ。

 シスコンの度合いが酷い彼が真っ先にここに来るという確定的な内容も伝えられた。


「あの時の酷さから見たら十分ありえるな」


「うん、セインお兄ちゃんは私とメルルお姉ちゃんを自分の元に無理やり戻すという目的を持ってるからね……」


「カトル君なら対処できるけど、エクス君は……?」


「僕は戦闘に向いてませんしね……。 カトル義兄さんが羨ましいよ」


 エクスが戦闘向けではないのも彼自身が自覚しているので、ある程度対処できるカトルを羨ましがっていた。


「エクス君は統治能力があるし、クルルも君の優しさで好きになって結婚したんだからそれでいいんじゃない?」


「そうだね。 人それぞれ得手不得手があるんだし、気にしちゃいけない」


 カトルとメルルは、そんなエクスに対してフォローをした。

 エクスはカトルとは正反対で統治能力に長けている。

 また、穏やかで優しい性格は、クルルが彼と結婚するきっかけとなったようだ。


「そうですね…。 ですが、今回ばかりは性質が違うように思えますが…」


 何とか持ち直したエクスだが、今回のセインの脱走は性質が違う可能性も指摘した。


「下手したら、強制離婚させられる可能性もありえるね。 私がさせないけど」


「セインに関しては僕がヘイトを買って出ようか。 あの時のような事は出来ないが、他の対処なら出来るし」


「いいの、カトルお兄ちゃん?」


「いざとなったら私が火の魔法でセイン兄さんを焼いてしまってもいいしね」


「それは焦げ臭くなりからやめような?」


 セインの対処はカトルとメルルが名乗り出たが、カトルはメルルに火の魔法だけは焦げ臭くなるからという事で止めた。

 カトル自身も『クレセント』の時みたいなことは出来なくても他の対処で何とかなると見解を示した。


「じゃあ、お願いしてもいい?」


「ああ、任せてくれ」


「私自身もせっかくの生活だからね。 邪魔されたくないからね」


 クルルは、改めてカトルとメルルにセインの対処をお願いし、二人はそれを引き受けた。

 そんな中で、ドンドンというドアのノックが聞こえた。


「ノックしている? お父さんかな?」


「いや、ノックの音や気配からして違うな。 これはおそらく、セインが来たか!」

 

「多分、そうだね……。 ご都合主義はこうなると厄介だよ……」


 ドアのノックがされてカルロスが来たのかと考えたが、カトルは気配が違う事に気付き、それがセインかもしれないと言った。

 メルルもそれに同意し、セインの性質に悪態をつきながらも対処の準備をし始めた。


「クルル達は地下に隠れて。 私とカトル君は、窓から出て見てくるよ。 セイン兄さんなら即時対処する」


「うん、気を付けてね」


 クルル達を地下に避難させた二人は、窓から外に出て、玄関に回って様子を見に行った。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「くそっ、クルルが出ない……! メルルもいないしこうなったら……!!」


(やっぱりセインか……!)


 窓から外に出て、回り道して玄関付近に来たカトルとメルルは、ノックの相手がセインであることが判明。


(そうなると即時対処だね。 やろう、カトル君)


(もちろんだ。 これ以上の生活を邪魔されたくないしな)


 二人はお互いに頷いて、いらついているであろうセインに近づいた。


「そこまでだよ!」


「メルル、それに貴様は……、あの時の……!!」


「ああ、『クレセント』で襲撃して以来じゃないか?」


「貴様が…貴様がぁぁぁっ!!」


 カトルが少しの煽りをした直後、セインがいきり立ってカトルに突進した。

 だが、やはりカトルからしたら直線的過ぎて読みやすいようで……。


「甘いっ!!」


「ぐぼぉっ!?」


 すかさずボディーブローをセインに浴びせた。


「おりゃあっ!!」


「ぐべぇっ!?」


 続けて左アッパーでセインの顎を捉え、最後には……。


「吹っ飛べぇっ!!」


「ぐぼあぁぁぁっ!!」


 腹部へのキックで、セインを吹き飛ばした。


「が、がは……っ! く、くそ……っ!」


「それ以上、動かない方がいいよ? 私の氷の魔法で凍らされたくなかったらね?」


 立ち上がろうとしたセインの前に、仁王立ちしたメルルが立ちはだかる。


「め、メルル……、な、何でそいつの……、味方をするんだ……」


「私が好きになった相手を咎め、私の決めた生き方を否定する。 そんなあんたは、最早私の兄じゃないよ。 それに、かつては私を監禁しようとしていたよね?」


「そ、それは……、ひいいっ!!」


「これ以上、私とクルルの生き方を邪魔しないで!! 次、干渉してきたら容赦なく燃やすから!!」


 言い訳をしようとするセインの周囲をつららで攻撃し、はっきりとした拒絶内容を言い渡した。

 ついでに、次の干渉で容赦なく燃やすという宣言も添えて……。

 セインはショックで何も言わずに気絶したようだ。

 その際にセインの下半身が濡れていた事については二人が気付くことはなかったが……。


「カトル君、メルルもごめんね。 馬鹿息子の回収に来たわ……」


「すまん! 二人にはまた助けられたな」


「遅いよ、お父さんにお母さん……」


 その直後に、セインを回収しに来たカルロスとカトレアがやって来たようだ。

 メルルは後から来た二人に悪態をついてはいたようだが……。

 

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