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迷子、そしてメルルのピンチ再び

本日(12月11日)2回目の投稿です。

「これがか?」


「どうもそうみたい。 見た目毒キノコだけど、れっきとした食用キノコらしいよ」


「うわぁ……」


 メルルとカトルは、森の奥にあるキノコの群生地にたどり着いていた。

 そこに生えていたキノコは、食用とは思えない程、傘の部分が紫色に染まっていたようで、二人はドン引きしていた。


「採取するのか?」


「流石にしないよ。 クルル達は食べるかもしれないけど、私達は流石にね」


「まぁ、このキノコは食べようとは思わないわなぁ」


「そうだね。 じゃあ、そろそろ帰ろうか」


 そう言って、カトルとメルルの二人は森を出るために引き返すことにしたのだが…。


「あれ? 出口はどこだったっけ?」


「もしかして……、迷った……?」


 暫く歩いてから気付いたみたいだが、森を出るために引き返したはずが、二人は盛大に迷ってしまったようだ。


「キノコを見るために奥に行ったのがまずかったかも……」


 メルルはキノコを見るために奥に行った事を後悔しているようだった。

 そんな中でカトルはある事を聞いた。


「まさか、迷うとは思わなかったしなぁ。 それで、転移アイテムや魔法は?」


「上空が森で占められてるからここでは無理だね。 空が見える所まで移動しないと、頭をぶつけるか、下手したら壁の中にいるような悲惨な状態になるから……」


「ああ、なるほどね……」


 転移アイテムや転移魔法は便利なのだが、頭上に障害物があると転移が失敗するという欠点があるという。

 メルルの言う最悪の状態にもなりかねないので頭上に障害物が少しでもある場合は転移をしないようにしているのだとか。


「とにかく最低でも頭上に空が見える所を探そう」


 メルルはそう言って、カトルと共に上空に空が見える場所を探しに行った。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「ん……」


「メルル……?」


 空が見える場所を探すために暫く歩いた二人だが、メルルの様子がおかしい事にカトルが気付いたので声を掛ける。


「ごめん、カトル君……、トイレに行きたくなって……」


「マジか……!」


 メルルがトイレに行きたくなった事にカトルが驚く。

 何せここは森の中。

 トイレなどあるわけがない。


「どこかその辺りで済ますしかないよ。 我慢はできるのか?」


「今はまだマシな状況だけど、長引くとまずいしね。 カトル君の言うようにその辺で済ますよ」


 メルルがそう言って近くで用を足そうとしたとき、異変が起きた。

 どこかから動くツタが出て来たのをカトルは見逃さなかった。


「メルル、危ない!!」


「へ!? きゃあぁぁぁっ!!」


「メルル!!」


 その動くツタは用を足そうとしたメルルを巻き付けて持ち上げた。

 それと同時にこのツタを持つ存在が姿を現す。


「ま、マンイーター……! 人食いの植物……!」


 捕まったメルルがその正体を見下ろす形で判断し、恐怖で顔を歪める。

 まさか、人食いの植物がここに出るとは思わなかったのだろう。


「くそっ、メルル! 今、助けるからそれまで耐えて!!」


「お、お願いね……!」


 カトルが剣を手にして、スピードを乗せてマンイーターに斬りかかる。

 それを他のツタが遮る形で応対するが、カトルの斬撃はそのツタを一撃で斬り伏せていく。


(ううっ、何とかして魔法を使わないと……このままじゃトイレのピンチに……)


 一方、巻き付けられているメルルもトイレを我慢しながら打開策を考えていた。

 メルル程の天才的魔法使いなら口だけでも魔法を発動できるが、トイレを我慢しながらなので、魔法次第で決壊の可能性も孕んでいる。


「はあぁぁぁっ!!」


 カトルは次々とツタを切り刻んでいき、ついに本体のマンイーターに肉薄した。

 それに気付いたマンイーターは、片方のツタをカトルに対して襲い掛かって来る。

 だが、カトルはそれを難なく回避する。

 それを見て悔しく感じたのか、メルルを巻き付けているツタをよりきつく締め付けた。


「あうう……っ!!」


「メルルっ!!」


 きつく締め付けられたメルルは苦悶に顔を歪める。

 カトルも焦りを感じたが、すぐ冷静さを取り戻してマンイーターに斬りかかる。


(ま、まずい……! い、今ので……!)


 メルルは、先ほどの締め付けで腹部を圧迫された事で、余計にトイレのピンチになったのだろうか、苦しそうにしている。

 なんとか魔法を唱えて振り切ろうとするが、下手したら決壊の危険性もあるので安易にできない。


(も、漏れる……! カトル君、早く……!)


 そろそろ限界に達してきたメルルがそう心の中で哀願した直後、カトルの剣がマンイーターの本体を真っ二つにした。


「グギャアァァァァ!!」


 おぞましい悲鳴を上げながら、マンイーターは、砂になって消えた。

 当然ながらメルルを巻き付けていたツタも消えた。


「きゃあっ!?」


 メルルがそのまま落下し、地面に尻餅をついてしまう。


「メルル、大丈夫か?」


「う、うん……、危うく漏れるところだったけど……」


 さっきの衝撃で、メルルは前を押さえて震えているものの、大事には至らずに済んだようだ。

 とりあえず、カトルの手を借りて立ち上がり、茂みの中に入って無事に用を足すことができたようだ。

 なお、カトルは近くにいて欲しいと頼まれ、彼女の近くにいる。

 さっきのマンイーターの件もあるのだろう。


「はぁ、何とか間に合ったよ」


「そ、そうか……」


 メルルのスッキリした表情を見て、カトルは顔を赤らめて目を反らした。


「と、とにかく空が見える場所を探そう。 ここはまだ、森に遮られてる場所だろうし」


「そうだね。 気を取り直して探しに行こう」


 メルルもカトルも話題を切り替えて、当初の目的の上空に空が見える場所を探しに歩いた。


「あ」


「どうしたの?」


「なんかマンイーターが隠れてた形跡がある……」


「本当だ。 ツタの跡もあるし……、あ、ここなら!」


 少し歩いてマンイーターの隠れ場所を見つけた二人は、そこで上空に空が見える場所を見つけたようだ。


「そうか、空が見える……ということは転移が使える!」


「うん、早速使うから捕まっててね」


 そう言ってメルルは、転移魔法を唱え、森から抜けていった。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「はぁ、何とか戻ってこれたね」


「そうだなぁ。 一時はどうなる事かと……」


 転移先は『ホーエル』の二人の自宅の玄関前。 無事に戻って来た事に、二人は安堵した。


「でも、楽しかったよ? カトル君と一緒だったから」


「ははは、それは何よりだよ。 さて、何か作って食べるか……」


「そうだね。 クルルにレシピでも貰っておこうか?」


「ああ、頼める?」


「任せてー」


 メルルは隣のクルルの家にレシピを貰いに行った。


「さて、疲れを癒しますかね」


 カトルもそう言いながら、自宅のドアを開けて中に入っていった。


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