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若きベルセリア国王との面談

「お待ちしておりました。 さぁお入りください」


 王都の中心にある城へ着くと、門番の兵士から歓迎された。 どうやら、話はメルルによってベルセリア国王にも伝わっているようだ。


(流石に緊張するなぁ……)


 王城へ入って、国王と面会する事に関しては、カトルは未だに慣れないようだ。


「大丈夫だよ。 セレティア国王様の時のように普通にしていいんだから」


 メルルがそう言って。、カトルの手を握ってくる。 彼女の温もりで少しだけ落ち着くことができた。 傍らで微笑ましそうに見ているメルルの両親を尻目に、ベルセリア国王がいるという王の間へ向かって行く。


「こちらに国王様がいます」


 兵士たちに案内された先の扉の奥が王の間で、そこにベルセリア国王がいるとのこと。 どんな人物なのかという事で再び緊張するのだが、その傍らでドア越しに兵士が報告をする。


「国王様。 ラクレイン一家と、件の少年が来訪しました」


「入ってもらってください」


(ん? 若い声?)


 カトルは、王の間から聞こえた若い声に疑問を抱いた。 もしかして、今の国王は若い人物がやっているのだろうかと。 そう考えているうちにドアが開かれていく。


「さぁ、入るぞ」


 カルロスが率先して王の間へ入っていく。 妻のカトレアやメルル、カトルも後についていく。


「カルロスさん、ご無沙汰しています」


「ジェフ国王、父上は元気ですかな?」


「ええ、一応隠居しましたが、おかげで元気があり余ってますよ。 そして、メルル嬢。 この方が件のカトル君ですね?」


「はい。 グズマに理不尽に追放されたカトル君です。 でも、それによってグズマは勇者ではなくなりましたが」


「初めまして、カトルです」


 カルロスからジェフと言われた若き国王は、カトルと同い年くらいの容姿だった。 彼の父である先代国王が隠居したというのだが、どういう事なのか。 そう考えながらもカトルはジェフ国王に自己紹介をした。


「ん? カトル君、苗字(ファミリーネーム)は?」


「カトル君は、元はセレティアの辺境の村出身で、セレティアでは苗字(ファミリーネーム)を使えるのは貴族以上の身分らしくて……」


「ああ、そういう事ですか……。 セレティア以外の国も確かにそうでしたね」


 ジェル国王がカトルが苗字ファミリーネームが無いのに気付いたが、メルルが代わりに理由を説明した。 それを聞いたジェフ国王も納得したみたいだ。


「僕は現国王のジェフ・ベルセリアと言います。 父が最近隠居したので僕が国王となりました。 よろしくお願いします」


「こちらこそ、よろしくお願いします」


 ジェフ国王が先に手を差し出し、カトルがそれに応える形で握手した。

 そして、話は本来の話題に戻った。


「そういえば、メルル嬢から聞きましたが、カトル君が追放されたのって本当ですか?」


「本当の話です。 グズマに理不尽にクビ宣言されただけでなく、窓から突き落とされましたから」


「へぇ……。 勇者らしからぬ事をやってきましたねぇ。 うちの国に理不尽な事をしでかした上でソレですか」


 改めて、勇者パーティを追放された事を確認するためにジェフ国王は質問したが、カトルは事実であると答えた。 窓から突き落とされた事も話したのでジェフ国王の表情はかなり怒りに歪んでいた。 かつてベルセリア事態がグズマに酷い目にあったことも経験しているのもあるようだが…。


「そちらの理不尽とは、グズマにポーションの相場を無理やり高くされた事ですか?」


「ええ、そうです。 ベルセリアのポーションをかなり高額にされた事で、買う人がいなくなった上に、各町の店も倒産に追い込まれたりしただけでなく、直接ベルセリアの財源も取り立てられましたからね」


「相当クズだったんですね……」


 国王からグズマにやられた所業を聞いて、カトルは呆れてものが言えなかった。 何せ、国の財源をも直接取り立てていったというらしいのだから……。


「それでも破綻しなかったのは、カルロスさんがクレセントと現在の開拓エリアから採取した特殊な薬草のおかげですよ」


「特殊な薬草ですか?」


「はい。 アルニム草と言う薬草で、質の高いポーションを作れる優秀な薬草だったので、ベルセリアではそれを適正価格で売り出しましたよ。 おかげで一部の他国にも受けがよくなり、さらに他の名産品も生み出せたので財政も持ち直しましたよ。 また、我が国独自のポーションが出来たおかげでグズマに吊り上げられたポーションを仕入れる必要もなくなりましたからね」


 ジェフ国王が言った特産品やアルニム草と言う薬草のおかげで、かつ高く値上げさせられたポーションの仕入れをしなくて済んだこともあってか持ち直したのだという。 しかし、カトルは一つの懸念はあった。


「ですが、グズマがそれに気づく可能性はあったはずでは?」


「その点は、私が薬学連盟に申告して、私やベルセリア王家のみが価格を設定できるようにしたのさ。 この魔法カードがないと変えられないのさ」


 その懸念は、カルロスが代わりに答えた。 彼のポケットから出て来た魔法のカードを見せながら。 おそらく、これが認証として発揮するカードなのだろう。


「それならよかったです」


「まぁ、もうグズマは勇者の資格を剥奪されたみたいだしね」


「それは、僕も父から聞きました。 ある意味ツケが返ってきましたね。 セレティア国王もグズマの件で色々と悩ませたみたいですし、即決だったんでしょうね」


 その後も、ジェフ国王とメルル達は、グズマの事で話が盛り上がった。

 そして、もう一つの本題に入る。


「それで、今後のカトル君はメルル嬢と現在の開拓しているエリアで頑張るってことでいいのですか?」


「僕はそのつもりです。 どのみち故郷の村は廃村状態ですから」


「私もカトル君を支えながら、開拓エリアでゆっくり暮らす予定ですよ」


「分かりました。 では手続きの為の書類を渡します。 これに必要事項を書いてください」


 そう言うと、宰相から書類が渡される。 内容はカトルの国民登録の書類のようだ。 これを下の階で必要事項を書いて提出するのだろう。 カトルは必要事項をメルルに教えてもらいながら何とか書き終え、ジェフ国王のハンコを押すことで手続きが完了となった。


「これで、今日からカトル君はベルセリアの国民となりました。 今後も頑張っていきましょう」


「はいっ!」


 その後は、ジェフ国王から友人として接してくれというお願いもされ、カトルがそれを受け入れた。

 

 そして、手続き完了後はカルロスの馬車に乗って、開拓エリアへ向けて馬車を走らせた。



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