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勇者は聖女の夢を見る  作者: 茲
1章 王宮スローライフ
14/16

13、こっ…このSがっ

ストックあるのに何か月も投稿しないのはよろしくないよね(ブーメラン())

多分、ファリヴィアさんの特訓にも慣れてきた頃。僕は相変わらず手に剣まめとペンまめを作りながらも毎日をいそしんでいた。

「…っはっ!」

「よし、大分剣筋にキレが出てきましたね」

ファリヴィアさんがうんうんと頷く。この人、意外と100%の誉め言葉を全然言ってくれないんだよね。というか100%の誉め言葉なんてなかなか言わないよな…。はあ、やっぱずっとニートしてると異常に期待を膨らませていることあるんだよなぁ…。だけどさ、ファリヴィアさんは注意とかも全て、どんなに聞き取りづらい時にも、ほんとにどうやってんのか知らないけど聞き取ってすぐにバサッ!と返されるんだよなぁ。

「…大体なんでもう一回基礎を叩き込まれなきゃいけないんですか…」

と僕が呟いても、それこそ一秒も待たずに

「アルラ様の剣術と護衛用の剣術は大きく違います。そもそも目的が正反対ですから、基礎も叩き直す必要があるのです。あと、あなたはずっと引き腰な所があるので、その改善のためにも」

バサッ!と切り返される。…なんかちょっと怖い。でもよーく聞いてると、ファリヴィアさんが口うるさい近所のおばちゃんのように思えてくるから、最近は

「はあ」

と軽く受け流してしまっている。…ごめんなさい、ファリヴィアさん。

「こら!そこ、手を止めない!あと振り上げすぎです!」

あっ、やば。振り下ろす時、思いっきり振り上げてしまうのは僕の悪い癖だ。僕は剣先を頭上少しまで振り上げると、押し出すように振り下ろす。空気が軽く音を立てた。

「今の結構良い感じでしたよ!この調子で頑張りましょう!」

はぁ~~~~~~い。あー頭が痛い。…最近はマシになってきたけど、ファリヴィアさんが「一日休めることで、筋肉が付いたり理解力が上がったりすることがスムーズに行われているのです」って言うから、勉強の日は筋肉痛、剣術と給仕の日は頭痛がひどいのだ。

「…ふっ!…はっ!…ふっ!」

身体の動かし方を頭の中で反芻しながら、慎重に剣を振るう。

 剣を振っていると、なぜだかニートをやっていた前のことを思い出す。お母さんが僕の頭を撫でて、子守唄を歌ってくれていた。そういえば、ずっとニート生活の主食として活躍したポテチや水も、お母さんと一緒に作って保存庫に入れたものだったなぁ。美味しくて、異常に作ってしまったのがきっかけでニート生活の主食と化しちゃったけど。あの保存庫、さすがにもう中のものが腐り始めちゃったかもなぁ…。腐るといえば、お父さんは料理が異常なほど下手だったなぁ。「レシピ通りに俺はやってるんだ」って言いながら、気付いたらレシピ本の写真からは想像できない物体が出来ちゃったりしてたなぁ。それをお母さんが笑って、もう取り返しがつかないように思えた物体をささっと美味しそうな料理に変えちゃうのは、見てて本当に飽きなかった。…ああ、また、お父さんとお母さんに会いたいな…。

「…やっ!」

「うわわわわわ?!」

僕が想像にふけっている間にいつの間にいたのか、リズドさんが僕が振り下ろした木剣を受け止めていた。ガァン!と大きな音が響く。

「なっ…なんでいるんですか?!」

僕はいきなりのリズドさんに戸惑いながらも叫ぶ。

「いやー…カシがちゃんとサボらずにやってるかなって」

「僕はサボりません!」

「冗談冗談。ところでゴルド」

「…何ですか?一応タチバナさんに稽古をつけている途中なので、変なこと言わないでくださいよ?」

変なことって、一体いつも何を言っているんだろう…。

「変なことってなんだよ」

いや本人すら知らなかった?!

「マレルドの全ての言動です」

「それは酷くね?!」

なんかこの会話、既視感あるなー…。あははー。

 ……ちょっとリズドさんへの仲間意識が上がった気がする。なんか今までごめんね。

「はー…。いやさ、別に特に特別な用件もないけどさ?カシが元気にやってるかくらい見に来ようかなーって」

リズドさん、結構いいとこあるんじゃないですか。

「なるほど」

そう言い、ファリヴィアさんはリズドさんの後ろを見る。

「…で、フェーダはなんでここにいるんです?」

そこから現れたのは、ワックスで髪をきちっと固定したイケメン。あ、この人、リズドさんにSって言われてる人じゃん。フェーダと呼ばれた男性はたはは、と笑いながらリズドさんの後ろから出てきた。

「いや~、付き添いがてら見物に」

ふーん。やっぱフェーダさんってリズドさんと仲良いのかな。

「それだけじゃないでしょう」

「…ばれちったか。俺もゆーしゃさまをしばきたくってさー」

なんか今聞き捨てならない言葉が聞こえたぞっ。

 まあ、ファリヴィアさんなら「部外者がやるのは~」とか言って断ってくれるでしょう。真面目だし。

「いいですね」

ホワイッ?!ちょ、ファリヴィアさん…?

「おーし、じゃ、今どのくらいまで行ったんだ?」

え、ちょ、まじで…?

 焦る僕を尻目に、修行の進行状態を伝えていくファリヴィアさん。いやね、ちょーっとだけでいいからね、えっとね、お手柔らかに…。

「なんじゃそのトレーニング?!温すぎんだろ!」

ポキッ。僕の心が折れた音がした。

 …だって、今まででも結構きつかったんだよ?これ以上されてみ?

「じゃ、まずは素振り振り下ろし百回!」

「えっ、さっきやってたんですけど…」

「もう一回だ!」

「いやーーっ?!」

僕の悲鳴が、決闘用の部屋、正式名称競技場に響き渡った、そんな気がした。いや、もしかしたら(かす)れてファリヴィアさんにすら届かなかったかもしれない。くすん。

 あ、でもちゃんと生物上必要な休憩は貰えたよ。フェーダさんがホットミルクも持ってきてくれた。優しい。


授業中に投稿するのはよろしくないよね( ブ レ ー メ ン )

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