また役職が増えました
なんですかね…一見無関係な私が呼ばれたのも、そもそも罠だった…
王様は全力で否定していらっしゃいますが…ちょっと挙動が不審過ぎますよ?…
ただただ、ひたすらに怪しいのです。
そんな可能性が、全く否定出来ません…
まあ…愚痴っていても、この結果は覆る事など、まず無いでしょうからね、
まあ…頑張ろうとは思いますよ?
その為に、まずは人員のみが一斉に移動する様です。
荷物はまとめて、あとから王様が運ぶと…
この辺の行動の速さが、そもそも他の国とは大きく違いますよね。
その人員の護衛として、やはりというか、当然というか、
エルドン騎士長さんが同行しますね…
聞けば、全く反対方向からつい昨日、帰って来たばかりだったそうで…
まあ…ご愁傷さまです。どうぞ頑張って下さいね♪応援してますから…
いえ、どうせ私もすぐにそちらへ参りますから、きっと…
そうだ、ならあの三人にお土産が居るわね。
後でお買い物に行きましょうか。
未だに報告書を書いてます。そもそも量も莫大ですし、
遅れて詳細な数字がどんどんと送られて来ますので、
もう暫くは、これが私のメインのお仕事ですね。
…王様に同行しようとしましたが、
その運搬する荷物や内容の確認だけで、城からは一歩も出れない…との事でしたので、
本日私は書類仕事ですね。
ええ、なのでここから逃げだしたかったのですが…やんわりとお断りされましたね。
なんと王様の見張り役として?
リジャディード大臣がが、ずっと付きっきりだそうです。
王様の絶望したお顔が、思い出しただけでちょっと…ふふふ…おかしいですね…
おっと、マジメにお仕事に専念しましょう…
夕方…すっかりやつれた王様が…大臣と一緒にお越しになられました。
以前から思って居ましたが、王様って…唯一絶対に、リジャディード様だけには逆らわないんですけど、
一体…それは何故なのでしょうか?
気になりますが、多分…あの王様でさえ恐れるくらい、実は怖いんだって、そう考えるのが妥当かと…
一見穏やかに見える方のほうが、怒ると怖い…そんなお話、巷でよく聞きますものね。
そういえば、かつてはアーデ将軍たちと一緒に、王様の旅の一行の戦闘要員だったって…
う~~ん、私も気をつけよう…
で?
…王様と大臣は、何故こちらに?何か御用でも…
え?もう今日、あっちに行くのですか?
いつもながら、急ですね?しかも、大臣様もご一緒ですか?
それは助かります。なにより心強いですし…
王様?…妙にお顔がすぐれませんが?
で?
早速繭に入ります。ちゃんと大臣様用も有ったのですね。
てっきり王城へと向かうものだとばかり思って居ましたが、
初めて見る様な…アーラントからは結構離れた場所で…
見たところ、どこにでもある様な…いかにも田舎らしい、
とても小さな集落ですが…
集落の外で繭から出て、ゆっくりと集落に向かって歩いていきました。
途中、草陰に誰か居ると…
ちょっと驚いたのですが、どうやらうちの国の…兵隊さん…の方々の様ですね。
わざわざ音を立てたのは、こちらに存在を知らせるためだった様です。
なる程…
だって…居たのはアーデ将軍とその部隊ですからね…
通常なら、決して誰にも見つかる様な方々では有りませんよね。
ましてや私如きに…ええ知っていますよ。
集落に入り、驚いた事にアーラントの前国王様に、お出迎えされました…
ええビックリですよ?壁に有った肖像画を何度も見てましたから、絶対に間違いじゃ無いと…
でも確か…うちの王様ご本人の手で、粛清されたとお聞き…
『まあ…アーラントの王だからな…当然、全ての責任の所在では有ったんだが、実質は后と軍の上官による身勝手なクーデターだったからな…』
なんと前国王様…いえ、王位は剥奪され、しかも王族からは除籍されたそうなので、もう一般人だそうですが…
うちの王様から、更に新しい名前と戸籍を与えられて、今後ここからアーラントの復興の手助けをしていかれるのだと…
当然ですが…生きているとなれば、必ず大きないざこざに発展しますので、あの立派なおヒゲも剃って…
すっかり見違えましたが…
やはりそれでも、どこか威厳が有りますよね…
で?…
なんとアーラントでの新名物の開発のアドバイザーとして、意見を聞くために訪れたのだそうです。
『よお、元気でやってるか?ゼイルよ?』
「ハッ…その節はわたく…」
うちの王様がスッと手を上げ、前国王様のお言葉を途中で遮りました。
『そりゃもう、終わった昔話だ…そうだろ?』
前国王様は深く膝をつき、「ありがたく…」ただ一言、そう仰っいました。
『おいエトラン、茶を頼む…』
突然、王様の背後から、お茶のセットの乗ったワゴンが現れまして…
は、はい、直ちに…
毎度毎度の事なのですが…毎度毎度驚きますよ?
…スミマセン…若干、固まってしまってました。まだまだ修行が足りぬ様です…
王様のご用意されたお茶…なんとコーヒーでした。
なんでもアーラントの南のこの辺りでの、新しい産業として、コーヒーの栽培などが計画されて居るらしく、
数種類の豆と、それぞれの豆が用意されていました。
そのコーヒーを頂きながら、アーラントの気候や特色などを、私と大臣様でが聞いております。
王様?隣の部屋にいた小さな男の子二人と遊んでますね…
粛清…亡くなった軍の上官さんの息子さんだそうで…
流石に、反逆者の息子って肩書は簡単に消えないだろうし、
そうなると生きづらい社会ですから…
元国王様はそのお爺さん、二人は戦争で亡くなった息子の子…孫って設定だそうです。
皆ここで余生を過ごすとの事でした。
まあ…未来のことなど判らないですが、子供さんらには罪などないでしょうに…せめて幸せな暮らしを送れるように、私も何かしら…
ささやかでしょうが、この子らの支援も出来れば良いなと、思いますね。
軍事力が幾ら強くったって…大量発生したバッタには勝てず…
かといって武装しなければ、たちまち悪い人間の餌食ですし…
本当に難しいですね…
軍部のクーデターですが、
うちの場合、軍の監視を騎士団が、騎士団の監視を軍が、それぞれの責任でちゃんと見てますからね。
そして、その両方を大臣様らが、
その大臣様らを王様が…
いや、そもそも王様のお力を知っていて尚、それでも裏切ろうとか思える人間なんか、普通まあ、居ないでしょうが…
それどころか、うちの上層の皆様は全員、王様に対しては、心底忠誠を誓ってますからね。
どうやら本当に、うちの国だけは、例え何があっても絶対に揺らがない…そんな気がします。




