011-006 自分のことは棚に上げて何を言っているのだろうか?
「お疲れ様です」
テスト期間。
本来であれば、部活動には制限が入り、活動休止となる期間だ。
しかし、うちの部室は空いている。
2年生の学力トップ3が所属するうちの部活は例外的に部室が空けられるのだ。
とは言え、表向きの理由は部室で勉強するためであって、その信憑性の疑わしい理由を実力で黙らせているのが実態だ。
九鬼先生を、(正確には)ゲーム部を目の敵にしている教頭先生は、時折部室に顔を出しては、ゲームをやっている先輩達を注意するらしいのだが、先輩達の嘘丸出しな「息抜きの最中」と言う言い訳で丸め込まれてしまうそうだ。
そんな訳で、唯一ゲーム部を注意していた教頭先生も顔を出さなくなり、去年の暮れぐらいからは、テスト期間中にゲーム部が活動することは黙認されている。
「おっす。MoMoちゃん。テスト期間中だぜ」
ゲームの片手間で僕に注意するyou先輩。
自分のことは棚に上げて何を言っているのだろうか?
「ええ、すぐ帰りますよ。ちょっと、you先輩に報告したら」
「オレに報告?」
「はい」
僕は、勉強のこと、ゲームのことについて、感じたことをyou先輩に伝えた。
「なるほどね。んじゃ、1つアドバイス」
「なんでしょうか?」
「その練習、無駄だからやめとけ」
「どう言うことですか!?」
「簡単な話さ。目的意識のない練習は無駄。そんだけ」
「目的意識ですか?」
「ああ。これが上手くなりたいから、こうしよう。あれが上手くなりたいから、ああしよう。そう言う風に目的意識を持って練習してないなら、それはただ遊んでるだけだぜ」
「なるほど」
「ま、オレは別にそれでも良いと思うぜ。ただ、成績ギリギリのMoMoちゃんがテスト期間中にやることじゃあねぇと思うけどな」
「そうですね。それは僕の思いにも反します。アドバイスありがとうございます。何か、具体的な目的を持って練習します」
「ああ、それが良い」
「では、僕は帰ります」
「ちょっ!?もう!?ちょっと遊んでけよ」
「いや、勉強しなきゃなので」
「およよ。せっかくアドバイスしたんだから、少しくらい付き合ってくれても良いのに…」
you先輩は下手な泣き真似をする。
「…わかりましたよ。少しだけですよ」
僕がyou先輩に格ゲーでボコられて帰るのは、また別のお話。




