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美しき雌豹のアサシン  作者: ピンクサターン
18/22

仕組まれた卍固め

恵美も莉央も義務教育の時、同じクラスの雌の子と付き合っていたが、恵美が幸雄に、莉央が蓮に惹かれたため、各々相手の雌の子を振ったのだ。

振られた雌の子は幸雄と蓮が卒業したら、各々絶対に仕留めてやると意気込んでいたが、幸雄は卒業と同時に恵美と婚約、蓮はそのことを察知した成美が実は蓮を捕まえるふりをして、助けていたのだ。

みなさん、イメージ湧きますか?

「……そういえば蓮くん」

温かいスープを蓮の前に置きながら、幸雄がどこか遠い目をして微笑んだ。

「成美ちゃんがあなたを『卍固め』で捕まえた時、近くに別のハンターの気配はなかったかい?」

「え……? そういえば、成美先輩に技をかけられる直前、クラスのもう一人の雌豹だった美咲(みさき)が、もの凄い形相で走ってくるのが見えました……」

蓮のその言葉に、莉央が「やっぱりね」と小さくため息をつき、恵美はニヤリと不敵に笑った。

この世界における「ジェンダー(雄雌カップル)」の誕生には、常に敗者である雌豹の強烈な怨念がつきまとう。

実は恵美も、そして娘の莉央も、義務教育中はクラスのもう一人の雌の子と付き合っていたのだ。それがこの世界の普通であり、マジョリティだから。しかし、二人は幸雄と蓮という「運命の雄豹」に惹かれ、付き合っていた雌の子をこっぴどく振ってしまった。

振られた彼女たちの怒りは凄まじい。

『義務教育が終わって放流された瞬間、絶対に私の手で仕留めて(食べて)やる』

それが、フラれた雌豹ハンターたちの絶対的な復讐の誓いとなる。

「私が15歳で幸雄を選んだ時もそうだったわ」

恵美が懐かしそうにワインを回す。

「元カノが卒業式の門の前で『幸雄をジャーマンでミンチにしてやる!』って狂暴な顔で待ち伏せてたの。だから私は卒業証書を受け取ったその足で、婚姻管理事務所に立てこもって幸雄と婚約手続きを済ませたのよ。あの時の元カノの悔しそうな顔、今でも極上の酒の肴だわ」

「僕は本当に生きた心地がしなかったよ……」

幸雄が苦笑いする。そして、今回の莉央と蓮の場合、その防衛戦を裏でサポートしたのが成美先輩だったのだ。

「蓮、成美先輩はね、あなたの元カノである美咲が、卒業と同時にあなたを確実に即死技(ジャーマン)で仕留めようと狙っているのを察知していたのよ」

莉央が蓮の目を見つめて言った。

「成美先輩は、私にとって可愛い後輩の莉央の大切な雄(蓮)が、別の雌に食われるのが許せなかったのね。だから美咲が突っ込んでくる前に、先手を打ってあなたを『卍固め』で捕獲したの。ハンターのルールでは『先に捕食行動(ホールド)に入った獲物への横槍は禁止』だから。成美先輩は、あなたを捕まえるフリをして、美咲の凶刃から守ってくれたのよ」

蓮は衝撃の事実に目を見開いた。

「じゃあ、あの卍固めは……僕を食べようとしたんじゃなくて……」

「そうよ。生かしたまま巣に連れ帰ったのも、私が買い戻し(引き取り)に来るまでの時間稼ぎ。成美おばさんたちの『ツープラトンで仕留めた肉があるから大丈夫』っていうのも、美咲に対する『この男はうちの身内(莉央)の獲物だから手出しするな』っていうカモフラージュのメッセージだったのよ」

すべてが繋がった。

成美先輩のぶっきらぼうでフランクな優しさと、張り巡らされたハンター同士の熱い絆。

「成美ちゃんたちには、今度私からとびきり上質な野生の獲物をお礼に贈っておかないとね」

恵美が満足そうに頷き、グラスを掲げた。

「さあ、美咲の追撃をかわし、見事に生き残った奇跡の男・蓮くんに。そして我が家の新しい『ジェンダー』の誕生に――乾杯」

「乾杯!」

グラスの重なる音が、夜のサバンナに響く。蓮は自分の命を繋ぎ止めてくれた莉央の、そして見守ってくれた周囲の圧倒的な愛の深さに、今度こそ心からの涙をこぼしながら、温かいスープを口にするのかった。

元カノの復讐劇と、成美先輩のファインプレーの全貌が明かされ、最高に熱いクライマックスになりましたね!

この物語の続きとして、次はどのようなシーンが見たいですか?

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