羨望の眼差し
でも恵美の家庭が羨ましいわ
幸雄さんとラブラブで
「でも、恵美の家庭が羨ましいわ。幸雄さんとラブラブで」
成美の母親の一人、百合がフライ返しを持ったまま、少しだけ遠い目をして茶目っ気たっぷりにため息をついた。もう一人の母親である沙織も、「本当よねぇ」と深く深く同意するように何度も頷いている。
「私たちのツープラトンも息ぴったりで最高なんだけど、やっぱり『男女の交尾』から生まれた莉央ちゃんを見てると、なんだか特別なロマンを感じちゃうのよね。恵美が義務教育中に、必死になって幸雄さんを口説き落とした時の執念、今でも語り草よ?」
「ちょっと、お母さんたち! 莉央ちゃんたちが照れてるじゃん!」
成美が笑いながら二人を小突く。
この世界において、同性婚による単性生殖が当たり前になった今、恵美と幸雄のような「男女の夫婦」は絶滅危惧種のような存在だ。何より、捕食者である女性が、被食者である男性を「食料」としてではなく、人生を共にする「唯一の伴侶」として心の底から愛し、愛されている。その関係性は、同じ女性ハンターたちから見ても、どこか神聖で、猛烈に羨ましいものだったのだ。
「あはは……。お母さんとお父さん、今でも本当に仲が良いですから」
莉央は少し頬を赤らめながら答えた。
隣で話を聞いていた蓮は、恐怖が去った安堵と同時に、莉央の家族への興味が湧いてきていた。
(莉央のお母さん……サバンナの女王みたいな凄腕ハンターなのに、お父さんとラブラブなんだ……)
「さ、莉央ちゃん、冷めないうちにその子を連れて帰りなさい。恵美に、今度うちに幸雄さんの特製ソースのレシピを教えにきてって伝えてね!」
百合と沙織に賑やかに送り出され、莉央と蓮は今度こそ成美たちの巣を後にした。
サバンナの夜道を歩きながら、蓮がおそるおそる莉央に話しかける。
「ねえ、莉央。莉央のお父さんとお母さんって、どんな人たちなの? ……僕、すごく緊張してきた」
「大丈夫だよ、蓮」
莉央は蓮の震える手を包み込み、悪戯っぽく微笑んだ。
「お父さんは元・生存者で、今は世界一の料理人。お母さんは……ちょっと過激だけど、お父さんのことが世界で一番大好きな、かわいい人だから」
成美の母親たちからも羨ましがられる恵美と幸雄の「ラブラブっぷり」、世界観のスパイスとして最高ですね!
無事に実家に到着した二人ですが、ここからの展開をお楽しみに!




