また会うその時まで:4-8
神殿に足を踏み入れる。
神殿の中はすでにろうそくの明かりがつけられていてほのかに明るい。
ミアは神殿の扉を閉めた。
「ミアさま、どうして……」
「わたし、このときはエリオと二人きりで過ごすって決めてたの」
いたずらっぽい笑みを浮かべた。
神殿を歩くミアとエリオ。
二人は手をつないでいる。
ちらりと横目でミアを見る。
彼女は今にも鼻歌でも歌いそうなくらい上機嫌に見えた。
視線に気づいた彼女がエリオに微笑みを向けた。
「エリオとの旅、楽しかったな」
「僕も……、とても楽しかったです」
「列車に乗っていろんなところを行ったよね。おいしい料理もいっぱい食べたし」
「充実した日々でした」
「わたし、そんな日々がずっと続くかと思ってた」
「僕もです」
「でも、この旅には終わりがあるんだよね」
「……はい」
「残念だけど、でもね」
ミアがエリオから手を離して小走りになって前に出る。
そして彼のほうを振り返る。
「なんだか、これでお別れじゃない気がするんだ」
「え……?」
「わたしはクリスタルにマナを注いだらいなくなっちゃうけれど、どこまでまた会える気がするの。どうしてかはわからないけれど、そんな気がするの」
エリオは黙りこくる。
しばらくの沈黙のあと、こう答えた。
「そうですね。また会えます」
「だよねっ」
にっこりと笑顔になる。
ミアがエリオに抱きつく。
「次に会うときは、兄妹? 親子? それとも――恋人がいい?」
「こっ、恋人ですか!?」
「えへへー。エリオってば照れてる!」
動揺するエリオ。
ミアにからかわれてしまった。
ばつが悪くなって頭をかくエリオ。
「わたしはなんでもいいよ。エリオとまた会えるなら」
「ミアさまにはわかりますか? 次に会えるのはいつになるのか」
「……たぶん、すごい遠い先だと思う。10年とか100年とかじゃなくて、もっともっと、気の遠くなるほどの時間が経ってから」
「それは……、さみしいですね」
「でもでもでも、また会えるんだよ。それは間違いないよ」
自分たちが再びめぐり会える根拠などどこにもない。
これはただのミアの願望。
にもかかわらず、エリオはその願望が本当に叶うと信じて疑わなかった。
「次に会うときは、僕は同い年がいいですね」
「同い年?」
「ミアさまと同い年がいいです」
「そうだね。わたしも子供扱いされたくないし」
ミアとエリオは同い年。
同じ学校に通って、同じ学級で同じ勉強をする。
そんな関係をエリオは夢想した。
聖女と従者の関係ではなく、友達として、ありふれた日々を送りたかった。




