また会うその時まで:4-4
「準備ですか」
「わたしがさわるだけでだいじょうぶですよ」
「そういうわけにはいきません。これは神聖なる儀式。神官たちを集めて段取りを決めて行わなくては」
ぽかんとするミアとエリオ。
思いもよらぬ事態になってきた。
フラワーヴェールの人間はどうやら信心深いらしい。
クリスタルにマナを注ぐのを『儀式』として、町を挙げて執り行うことに決まったのだった。
町の代表者たちが町長の屋敷に集まり、儀式の段取りを決める。
他の者たちは儀式の日のための準備を行う。町を飾り付けたり、踊りの練習をしたり。
まるでお祭りだった。
実際、お祭りなのだろうとエリオは思う。
いけにえに捧げられる少女を祭る儀式なのだ。
そして三日が経った。
「エリオ。儀式はいつになったの?」
「七日後です」
「結構時間があるんだね」
今日は比較的晴れていたので、ミアとエリオは外に出て雪遊びをしていた。
ミアはついさっきまで町の子供たちと雪合戦をしていた。
大人たちは『聖女さま』が儀式の前にケガでもされたら困ると眉をひそめていたが、ミアはそんなのお構いなしにめいっぱい遊んだ。
そして今はエリオと雪だるまを作っている。
小さな雪の球を転がしてどんどん膨れ上がらせていく。
そうしてできた大きな雪玉の上に頭部にあたる小さな雪玉を乗せた。
「あとはこれとこれをつけて――」
ミアは雪だるまの顔に赤い木の実を二つつける。
雪だるまの目だ。
木の枝をその下につけて口にする。
「できたーっ」
かわいらしい雪だるまができあがった。
しかし、これひとつでは飽き足らず、ミアは二つ目の雪だるまを作りにかかった。
「エリオは身体を作ってね」
「かしこまりました」
エリオは雪玉を転がして膨れ上がらせていく。
「あっ、そこまで!」
少し大きくなったところでミアが止めた。
「これでいいのですか? こちらの雪だるまよりも小さくなりますが」
「それでいいの」
二つ目の雪だるまは子供みたいに小さなものになった。
大きな雪だるまと小さな雪だるまが仲良く並ぶ。
「大きいほうがエリオで、小さいほうがわたしだよ」
なるほど。
エリオは納得した。
思わず微笑んでしまった。
「くしゅんっ」
ミアがくしゃみをする。
「風邪を引いてはいけません。屋敷に戻りましょう」
「うん」
ミアとエリオは町長の屋敷に帰ってきた。
町には宿屋はあったが、いかんせん古くて『聖女さま』が泊まらせるわけにはいかないというわけで、この町で一番立派である町長の屋敷に泊めてもらっているのだ。
「うわー、びしょびしょ」
外にいたときは気付かなかったが、二人の服は解けた雪が染み込んでだいぶ濡れていた。




