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枯れゆく世界と旅立つ少女  作者: 帆立
また会うその時まで
23/31

また会うその時まで:4-2

 それからもミアとエリオの列車での旅は続いた。

 いろんな町に立ち寄りながらの旅。

 荒廃した町もあれば、クリスタルのおかげで繁栄している町もあった。


 町によって文化はさまざま。

 町並みも、法律も、食べ物も、ときには言語すら違った。

 新しいものを見るたびにミアは目を輝かせていた。

 そんな彼女を見るのがエリオの楽しみだった。


 おいしいものを食べて笑顔になるミア。

 エリオのひざを枕にして眠るミア。

 繁華街の曲芸師の曲芸や旅の楽団の演奏を見入るミア


 いろんなミアを見られた。

 エリオはミアと出会ってそんなに時間は経っていないのに、長い月日を共にした旅のパートナーのような気がした。

 この旅が永遠に続くとすら錯覚することもあった。


 だが、この旅には終わりがある。

 それも、そんなに遠くない。

 モーングレイヴから出発して一か月、ついに二人は目的地に着いた。


「寒いね」


 身体を震わせるミア。

 分厚い防寒着を着込んでいてもかなりの寒さ。

 雪合戦や雪だるまどころではなさそうだ。


 灰色の空からはしんしんと雪が降っている。

 立ち並ぶ家屋はいずれも屋根に雪を積もらせている。

 白い雪に覆われた地、フラワーヴェール。


「町長のいる屋敷に行きましょう」

「はやく暖炉であったまりたいよー」


 フラワーヴェールの町長には事前に手紙を送っている。

 聖女がこの雪を解かしにきたとなれば歓迎してくれるはず。

 酒場を見つけたのでそこに入り、食事を頼む見返りに町長の屋敷の場所を尋ねた。


「町長の屋敷はここからまっすぐ道を進んだ先にある大きな家だ」


 気難しそうな白髪の店主がぶっきらぼうに答えた。

 愛想は悪いが、料理はおいしかった。

 二人は野菜たっぷりのポトフとコーヒーで身体を芯から温めた。


 カウンターに並んで座って食事をとっている間、店主がじろじろと二人を見てくる。

 ミアは居心地が悪そうに、なるべく顔を上げないようにしてポトフを食べていた。

 黙って観察していた店主が口を開く。


「あんたら見ない顔だな」

「よそ者が来るのは珍しいのですか?」

「こんな雪しかない町に用のある人間なんていないからな。なんの用だ」


 エリオは正直に答えた。


「なるほど。あのクリスタルをよみがえらせにきたのか」

「クリスタルにマナを注げば雪が解け、もとの暖かい気候に戻ります」

「その小さなお嬢さんがやるのか」


 その口ぶりから半信半疑なのが伝わってきた。

 それも仕方あるまい。

 10代前半の小さな子供が世界を救うだなんて、ふつうは信じられない。

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