また会うその時まで:4-2
それからもミアとエリオの列車での旅は続いた。
いろんな町に立ち寄りながらの旅。
荒廃した町もあれば、クリスタルのおかげで繁栄している町もあった。
町によって文化はさまざま。
町並みも、法律も、食べ物も、ときには言語すら違った。
新しいものを見るたびにミアは目を輝かせていた。
そんな彼女を見るのがエリオの楽しみだった。
おいしいものを食べて笑顔になるミア。
エリオのひざを枕にして眠るミア。
繁華街の曲芸師の曲芸や旅の楽団の演奏を見入るミア
いろんなミアを見られた。
エリオはミアと出会ってそんなに時間は経っていないのに、長い月日を共にした旅のパートナーのような気がした。
この旅が永遠に続くとすら錯覚することもあった。
だが、この旅には終わりがある。
それも、そんなに遠くない。
モーングレイヴから出発して一か月、ついに二人は目的地に着いた。
「寒いね」
身体を震わせるミア。
分厚い防寒着を着込んでいてもかなりの寒さ。
雪合戦や雪だるまどころではなさそうだ。
灰色の空からはしんしんと雪が降っている。
立ち並ぶ家屋はいずれも屋根に雪を積もらせている。
白い雪に覆われた地、フラワーヴェール。
「町長のいる屋敷に行きましょう」
「はやく暖炉であったまりたいよー」
フラワーヴェールの町長には事前に手紙を送っている。
聖女がこの雪を解かしにきたとなれば歓迎してくれるはず。
酒場を見つけたのでそこに入り、食事を頼む見返りに町長の屋敷の場所を尋ねた。
「町長の屋敷はここからまっすぐ道を進んだ先にある大きな家だ」
気難しそうな白髪の店主がぶっきらぼうに答えた。
愛想は悪いが、料理はおいしかった。
二人は野菜たっぷりのポトフとコーヒーで身体を芯から温めた。
カウンターに並んで座って食事をとっている間、店主がじろじろと二人を見てくる。
ミアは居心地が悪そうに、なるべく顔を上げないようにしてポトフを食べていた。
黙って観察していた店主が口を開く。
「あんたら見ない顔だな」
「よそ者が来るのは珍しいのですか?」
「こんな雪しかない町に用のある人間なんていないからな。なんの用だ」
エリオは正直に答えた。
「なるほど。あのクリスタルをよみがえらせにきたのか」
「クリスタルにマナを注げば雪が解け、もとの暖かい気候に戻ります」
「その小さなお嬢さんがやるのか」
その口ぶりから半信半疑なのが伝わってきた。
それも仕方あるまい。
10代前半の小さな子供が世界を救うだなんて、ふつうは信じられない。




