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枯れゆく世界と旅立つ少女  作者: 帆立
課せられた使命
21/31

課せられた使命:3-7

 モーングレイヴの町で防寒具を調達した後、ミアとエリオは次の場所へと発った。

 目指すははるか南。

 極寒の地にあるフラワーヴェールの町。


 汽笛が鳴り、列車がゆっくりと動きだす。

 徐々に加速していき、車窓に映る景色の流れが速まっていく。


 緑まぶしい草原。

 太陽を乱反射させる湖。


 そんな景色を楽しめたのも束の間、モーングレイヴの町を離れてしばらくすると、むき出しの赤褐色の大地が広がる不毛な風景に変わった。

 この景色が世界の大半。

 聖女たちがどれだけクリスタルにマナを注ごうと、根本的に世界を救ったことにはならない。


「いつか世界全部が緑でいっぱいになるといいね」

「……そうですね」


 ミアとエリオの列車での長い旅が始まった。

 車窓に映る景色のほとんどは乾いた大地だったが、ときおり緑豊かな土地を通過することもあった。

 どこかの聖女がクリスタルにマナを注いだのだ。


 その聖女は今頃どうしているだろうか、とエリオは思いをはせる。

 まだ旅を続けているのか。

 あるいはすでに力を使い果たして……。


「エリオ。この料理おいしいよっ」


 列車は毎日、整備と燃料の補給のために一晩駅で停車する。

 乗客たちはそこでいったん下車し、町の宿で宿泊する。

 二人も宿屋で部屋を借りた後、食事をとりに酒場を訪れたのだった。


 酒場は仕事を終えた町の男たちで賑わっている。

 いずれも屈強な肉体。近くの鉱山で働く炭鉱夫だと一目でわかった。

 そんな彼らに混じってミアとエリオは夕食を食べていた。


「エリオも食べてみて。はい、あーん」


 ミアがテーブルに手をついて身を乗り出し、フォークに刺した鶏肉を差し出してくる。

 エリオは頬を染めてきょろきょろと周囲をうかがう。


「あ、あの、お皿に置いてください……」

「いいじゃない。『あーん』して。めーれーよ」

「め、命令ですか!?」

「そっ。聖女さまのめーれー。従者は従わなくちゃいけないのよ。こういうときこそ使わなくちゃ」

「わ、わかりました……」


 エリオは高潔なる聖女さまの『めーれー』に従って『あーん』した。

 口の中に鶏肉が入る。

 口を閉じて歯で鶏肉を噛むと、ミアはフォークを引いた。


 もぐもぐもぐ……。

 鶏肉を噛む。

 噛み応えのある食感。


 ハーブの味付けがとてもおいしい。

 中までしっかり火の通った弾力のある肉と、パリパリに焼かれた皮がたまらない。

 肉体労働に勤しむ男たちが好む味だ。


「おいしいです」

「でしょ?」


 少々行儀が悪いのではないか、とエリオは思ったが、気にしないことにした。

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