課せられた使命:3-4
白い光の爆発は三つ数えるうちに収まった。
ゆっくりと目を開けるエリオ。
「もう、エリオ。痛いよ」
彼に抱きしめられていたミアが苦笑いを浮かべていた。
「すっ、すみません」
急に恥ずかしくなったエリオは慌てて抱擁を解いた。
「見て、エリオ!」
ミアがクリスタルを指さす。
二人の前にあるクリスタルは内側にまばゆい光を宿し、ゆっくりと回転していた。
クリスタルがよみがえった。
二人は急ぎ足で神殿を出た。
外で待っていたアルタイルやモーングイレヴの人たちが皆、崖際から地上を見下ろしていた。
ミアとエリオもその中に混じって地上に目をやる。
荒廃した赤褐色の大地。
その中で、自分たちがいるモーングレイヴを中心にした周囲に草木が生い茂って緑豊かな自然になっていた。
皆がいる山も、木の枝に瑞々しい緑の葉が茂っていた。
なにかの音に気が付いてエリオは耳を澄ます。
ドドドドド……という音。
おそらく高い場所から水が落ちる音――滝だ。
草木だけでなく、水も取り戻したのだ。
「やったあっ」
ミアがよろこぶ。
それをきっかけに、モーングレイヴの人たちも次々と歓喜の声を上げた。
そして口々にミアをほめたたえた。
「聖女さまのおかげでモーングレイヴはよみがえりました。まさしくあなたたちは救世主です」
「作物もたくさん実るでしょう。これで食料問題も解決します」
「えへへー」
「小さき聖女よ。よくぞ使命を果たした」
「わたし、がんばったよ。アルタイル」
ニコニコするミア。
それに対してエリオは不安げな表情をしていた。
「ミアさま。手を見せてください」
「……」
しかし、ミアは沈黙したまま応じない。
「ミアさま」
エリオがもう一度言うと、ミアは怒られた子供みたいな面持ちでおずおずと手を差し出した。
手のひらに描かれた聖印。
聖印の中心から伸びる枝は――1本。
エリオは驚愕した。
最後に見たとき、聖印の枝は3本あったはず。
それが1本に減っていた。
長い間放置されてマナが枯渇していたモーングレイヴのクリスタルを復活させるのに、1本の枝では足りなかったのだ。
「わ、わたしもおどろいちゃった。2本減ることもあるんだね」
ミアは不安をさとられまいと笑ってごまかす。
エリオは動悸を抑えきれなかった。
もはや猶予はない。
次にクリスタルにマナを注いだとき、ミアの命は尽きる。
運命の時がついにやってきた。
エリオは決めなくてはならない。
力ずくでもミアを止めるべきか。
あるいは聖女としての使命をまっとうさせるべきか。
「わたし、知ってるんだ」
ふいにミアが言う。




