羽田で見た女の子
とうとう、日本に来た。
そう実感したのは、小さなスーツケースをコンベアから持ち上げた瞬間だった。お父さん、お母さん、そして僕の三人は、羽田空港の駅につながるエリアに立って、それぞれ自分の荷物を引きずっていた。床は磨かれすぎていて、そこに映る自分の顔が、ぼんやりと見返してくるみたいだった。
空気は、バンドンとはまったく違う噛み方をしていた。冷たくて、鋭くて、金属みたいな匂いがかすかに混ざっている。名前のつけようがない匂いだった。息を吐くたびに、白い煙が細く立ちのぼって、頭上の蛍光灯の下で消えていった。
四方から人の波が押し寄せてきた。天井に隠れたスピーカーからは、アナウンスがパチパチと響いていて、その言葉は短く区切られていて、聞き慣れたインドネシア語とは全然違った。無数のスーツケースの車輪が床にガラガラと鳴って、それが一つの連続した音になって、駅全体を満たしていた。
お父さんとお母さんは、歩きながらいつもの調子で話していた。お金のこと、泊まるホテルのこと、日本にいる間に行く場所のこと。正直、僕にはあまり興味のない話だった。だから目だけを自由に動かして、周りの景色を吸い込むように眺めていた。
すれ違う人たちが、僕にはわからない言葉でぼそぼそと話していた。近くにいるほとんどの人が日本語しか話していなくて、その声は、聞き慣れないリズムで上がったり下がったりしていた。
それでも、一つだけはっきりしていることがあった。日本は美しい。それは、飛行機の中ですでに決めていたことだった。冷たい窓に額をくっつけて、屋根と、曲がりくねった川と、ちぎれた雲の下に広がる景色を、ずっと見ていたから。
そうやって景色に見とれていたとき、何かが僕の視線を横に引っ張った。
一人の女の子が、ホームの右端に立っていた。動かないまま、線路にあぶなく近い場所に。黄色い線を越えて立っているのに、周りの誰も気づいていないみたいだった。
後ろ姿の髪型に、どこか見覚えがある気がした。お父さんが夜遅くまでやっているゲームのキャラクターに似ていたから。
あれ、お父さんのゲームのキャラ、ハ*ウラ*に似てる。でも、なんで金髪なんだろう。日本人じゃないのかな。
最初、彼女はただ線路の方を見つめていて、まるで一枚の写真みたいに止まっていた。僕はその輪郭を、離れた場所からずっと目で追っていた。好奇心が、注意深さよりもずっと強く僕を引っ張っていた。僕の視線に気づいたのかもしれない。前触れもなく、彼女の頭がゆっくりとこちらを向いた。
その顔は、思っていたよりずっと綺麗で、繊細だった。でも表情は平らで、温かさも何もこもっていなかった。彼女はただ僕を見ていた。まばたきもせずに、興味も恐れも浮かべないまま、目だけが僕の目に重なっていた。
なんで、ハ*ウラ*みたいに嬉しそうじゃないんだろう。何か困ってるのかな。
背の高さは、僕とそんなに変わらなかった。少しだけ高いくらい。彼女は長袖の白い上着を着ていて、下には赤くて幅の広い、風が吹くたびにスカートみたいに揺れるものを穿いていた。足には木でできたサンダルを履いていて、体重をかけ直すたびに、カタッ、カタッと軽い音を立てていた。服装のすべてが見慣れないもので、子供が着ているものとしては、今まで見たどれとも違っていた。
バリやジャカルタに来ている日本人の観光客なら見たことあるけど、あんな格好をした女の子は、一度も見たことがない。




