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灰色王子のバラ色観察日記  作者: こさか りね


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ローレンス視点

アレンの休暇が始まって初日。


もう既に落ち着かない。


そして、扉の前には何故かヴィンセルがいる。


「レノン、ヴィンセルは何でここにいるんだ?」


「アレンさんの代理だそうですよ。

アレンさんが帰ってくるまでは、付きっきりで護衛をしてくれるそうです」


・・・。


「まさか、アレンの部屋で寝泊まりをするのか?」


すると、扉の前に立つヴィンセルが口を開いた。


「いいえ。

勤務が終わりましたら帰りますので、ご安心を」


・・・。


「そうか。

では、アレンが帰ってくるまで、よろしく頼む」


それから俺は、いつも通りに執務を終えて部屋へと戻った。


あの事件が解決してから、アーデンヴァルトへの懸念はあるが、それ以外は落ち着いた日常を過ごしている。


そして、思い出したのだ。

アレンが言う()()の調査をしなくてはいけない事に。


俺は、ヴィンセルに目をやる。

ちょうど、レノンが席を外しているので好都合だ。



「なぁ、ヴィンセル。

アレンの資格って何だか知っているか?」


「・・・資格とは、どういう意味ですか?」


俺の言った意味が分からなかったのだろう。

眉を寄せて聞き返してきた。


「多分だが、俺に言えない事や隠している事はあるのだろうか」


「えっと・・・それは、私にも分かりません。

直接、本人に聞かれたらどうですか?」


「いや、話せないと言われた以上、執拗に聞く事は出来ない」


すると、ヴィンセルが口を開いた。


「ローレンス様は、アレンをどう思っているのですか?」


・・・なんだろう。


アレンからは、あまり気持ちを口にしない方がいいと言われたが、ヴィンセルの真剣な眼差しを見ると、ちゃんと言わなくてはいけないと思ったのだ。


「俺は、アレンが好きだが」


その言葉に目を丸くするヴィンセル。

そして、絞り出す様な声で呟いた。


「・・・アレンは、男、ですが・・・」


やはり皆、そう思うのだな。


「ああ、知っている。

けど、そんな事は関係ないんだ」


そう伝えると、ヴィンセルは黙り込んだ。

そして、しばらく経って『勤務時間が終わったので、また明日来ます』と言い残して退出して行ったのである。



【ヴィンセル視点】



まさか、ローレンス様は男が好きだったのか!!

だから、アレンは濁して俺に言ったんだな。


俺は、あまりの事に頭がはち切れそうになった。


しかも、男のアレンが好きなのだ。

もし女と知ったらどうなるのか・・・。


怖くて想像もしたくない。


・・・アレンはこの事をどう収拾つける気なんだろう。


今はいいが、いずれ隠し通す事が難しくなってくるはずだ。


・・・まさか!

そうなる前に、騎士を辞めて姿をくらますのか!?


オレには関係ない事だが、気になってやまない。


・・・はぁ。

昔は、人の事で振り回されるなんて事はなかった。

常に、自分さえしっかりしていれば、周りはどうであろうと関係ないと思っていたんだ。


・・・だが、最近のオレはどうだろう。


終始、振り回されていないか?


先日だってそうだ。

本来の自分なら、間違いなく断っていた仕事だ。


なのに、アレンに頼まれると無碍(むげ)にはできない。


・・・参ったな。


そう考えながら帰るヴィンセルは翌日、散々な目に遭うのだった。


そして次の日・・・


昨日のように、ローレンス殿下を見守っていると、なんだか落ち着きがない。


・・・なんだ?


すると、おもむろに立ち上がり、こちらへと近づいてくる。


え?


と思った瞬間、抱き付かれた。


は?え?なにっ!?


すると『やっぱりデカいな』と呟いたのだ。


なんなんだ!?


俺が放心状態なのをいい事に、肩や頭を触ってくる。

そして、すぐに離れていった。


・・・・・。


な、何が起こったんだ?


・・・ま!?まさか!!

アレンやめて、オレに乗り換える気か!?


じょ、冗談じゃない!!

オレは男なんて嫌いだ!


「ローレンス殿下!オレは、男はダメですから!」


すると、()()()()とこちらを見ている。


「・・・何がだ?」


いやいや、今した事だよ!


「今の事です!

なんだったんですか!?」


「ただの確認だ」


・・・やっぱり。

オレをそういう目で見ているんだ!


ヤ、ヤバイ!

とりあえず、一時撤退だ。


「あ、あの、少し席を外していいですか?」


「ああ」


そして俺は、脱兎のごとく、その場を後にしたのだった。


・・・マズイ事になった。

どうすればいいんだ。

何かされたら殴ればいいのか?


・・・いや、待て。

ローレンス殿下に勝てる想像すらできない。


う、嘘だろぉ!?

・・・嘘だと、誰か、言ってくれ!!


そうしてオレは、廊下で頭を抱えたのであった。



【ローレンス視点】


アレンの資格をヴィンセルも知らなかった。

家庭の事か、それともアレン自身の事か。


謎は深まるばかりである。


そして、前に立つヴィンセルを見て思った。


そう言えば、アレンよりヴィンセルの方が年下だ。

なのに、体型はさほど変わらない。


アレンを抱きしめる時に、いつも思う。

こんなに細いのかと。


もちろん、男同士で抱き合った事など、アレンしかいないので普通が分からない。


だから、ヴィンセルを見て確かめたくなったのだ。


本当はアレン以外の男は嫌だが、仕方ない。


俺はヴィンセル目掛けて抱き付いた。

すると・・・


・・・全然違う。

背丈は一緒でも、ガタイが良くて硬い。


俺も知っている、男の身体だった。


じゃあ、アレンはなんだ?

明らかに健康な男とは違う身体つきだ。


・・・まさか!?

・・・何かの病気なのか?


そう考えが行きついたら、一気に不安になった。


アレンの言えない事って、これなのかもしれない。


すると、ヴィンセルがそそくさと退出して行くのが目に入る。


しきりに何かを話しかけて来たが、考え事で上の空だった俺は、適当に返事をしていたのだった。


アレンが帰って来たら、さり気なく確認しなくてはならない。


その前に、俺にできる事をしておこう。


こうしてローレンスは、病に関する最新の本を取り寄せ、時間が許す限り目を通したのであった。


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