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灰色王子のバラ色観察日記  作者: こさか りね


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第一王子視点

まさか、こんなに早く会える事になるとはな。


私は時計を見ながら、あと10分程でやって来るであろう、ヴァレーロ公爵を待つ。


すでにローレンスは来ていて、私の隣に座っていた。


私達の背後には、それぞれの専属護衛が待機している。


そして、扉のノック音が響き、入室の許可を出した。


「お呼びとの事で、参上致しました。

・・・これはこれは、ローレンス殿下もご一緒でしたか。

しかし、レオナード殿下からお手紙を頂いた時は驚きました。

まさか、私を頼ってくださるとは、嬉しい限りです。

して、ご相談とは、何でしょうか?」


平然としているヴァレーロ公爵を見つめて口を開く。


「忙しい中、呼びたてして申し訳ない。

公爵に聞きたい事があるのだ」


「ええ、何なりと」


そう言い、笑みを見せたのだ。


・・・なんだ、この違和感は。


まるで、何も分からずに、この場に居る素振りだ。


私は、ローレンスにした事と同じく、公爵に魔石を差し出した。


「まずは、これを見て欲しい」


「魔石、ですか。

では、拝見致しましょう」


そうして、一つ目の魔石が見終わる頃、ヴァレーロ公爵の背後に立っていた使用人は、顔色を失っていた。


「レオナード殿下。

こ、これは、まさか、人身売買の件ではないですか!

早く、大臣達に報告しなければなりますまい!」


そう慌てふためいている。


「ヴァレーロ公爵、白々しい真似はやめてくれ。

私は、全部知っているのだよ。

この事を全て話すのなら、多少の温情を頂けるように、王に話そう。

貴殿は、国の為に貢献してくれていたからな」


「な!?なんの事ですか!

私は関係ない!」


「そうか。

では、こちらも見てもらえるか?」


そして、もう一つの魔石を差し出し、公爵は恐る恐る、それを受け取った。


再生されている途中に『これは・・・マ、マティスじゃないか!?なんで、お前が!』と息巻いているが、私は『公爵、お静かに』と促し、魔石に目を向けさせたのだった。


そして終盤、公爵邸へ入る使用人を見届ける時には、ヴァレーロ公爵の魔石を持つ手が震えていた。


「公爵、これでも言い逃れができるとお思いか?」


「レオナード殿下、神に誓って、私ではありません!

私は、何も知らない!」


すると、公爵の後ろでマティスがガタガタと震えている。


「マティス!!一体どういう事なんだ!?

理由を言え!!」


すると、マティスが口を開いた。


「これは、私じゃありません!」


その言葉に、ヴァレーロ公爵が顔を真っ赤にして吠えたのだ。


「何を言うか!!

お前以外の何者でもないだろう!

誰に言われてこんな事をした!!

この国を貶める者は、誰であろうと、ただでは済まさんぞ!!」


その迫力に、マティスは気圧されている。


「わ、私は・・・し、仕方なかったのです。

仲介役をすれば、金をくれると言われて」


「誰にだ!?」


「それは・・・・!!?がっ!?」


と、その時、マティスが膝から崩れ落ちた。


その異様な光景に、私の専属騎士が、前へと躍り出る。


だが、ローレンスの専属騎士は全然出て来ない。

おかしいと思い横を見ると、ローレンスに手を掴まれ、阻まれていた。

そして、あろう事か、自分の背後へ戻している。


・・・ローレンス。

それでは、どちらが専属騎士か分からないではないか。


と、一瞬現実逃避をしてしまいそうになった。


そして時は少し経ったが、マティスはピクリとも動かない。


私は、騎士に確認する様に伝えたのだ。

すると・・・


「レオナード殿下、すでに事切れています」


「なに!?

身体に何かないか調べてくれ」


騎士が調べているなか、ヴァレーロ公爵が静かに口を開いた。


「レオナード殿下、誠に申し訳ない。

この状況であれば、私が疑われるのは当たり前だ。

私の管理不足で、この様な事件を起こしてしまい、申し開きの余地はございません」


そう意気消沈している。


「いや、今の会話で、ヴァレーロ公爵ではないのではないかと感じた。

だから、もう一度問う、本当に貴殿ではないのか?」


すると、私の目を見つめながら『私ではありません』と頷いて見せた。


・・・であれば、誰なのだろうか。


そう考えていると、騎士からの報告があった。


「レオナード殿下、ネックレスを着用している以外に特に異常はありません」


そう言って、差し出したのは、黒焦げのネックレスだった。



すると、それを見たローレンスが口を開いたのだ。


「兄上、これは【拷問の首輪】です。

遠い昔に、国では使用が禁止されている物です」


「ローレンス、もっと詳しく説明をしてくれ」


そして、その内容が驚くべきものだったのだ。


【拷問の首輪】


罪を犯した者の口を割らせる為に作られた物で、嘘をつくと、軽い電流が流れ、その者に苦痛を与えるのだという。

電流の出力を変える事もできるそうで、最大にすると、死に至らしめる程の威力が出るそうだ。


だが、非人道的とされ、相当昔に廃止されている。


ローレンス(いわ)く、今でも【拷問の首輪】を使用している国が、少数存在しているらしい。


私達が知らないだけで、口封じの為に、ある事柄を話すと作動するように、開発されていてもおかしくはないと言うのだ。


「だがローレンス、これは自分で外す事は出来ないのか?」


「その者が息絶えるか、着けた者の手によってでないと、外せないと本には書いてありました」


すると、今まで静かに話を聞いていたヴァレーロ公爵が口を開いた。


「レオナード殿下、私も、協力させて下さい。

マティスも、こんな事がなければ、勤勉で良い使用人でした。

それにこれ以上、この国が貶められる事は許せない。

公爵家として、何もせずに、見過ごす事はできないのです」


その瞳には、確かな責任感と誇りを感じた。


「ヴァレーロ公爵、その言葉、信じても良いのだろうか?」


すると、臣下の礼をとり、話し始めたのである。


「私は、代々ハインデルト王国に仕えてきたという誇りがあります。

だが一番は、この美しい国が好きなんでしょうな。

貴方様が王となられる時、私は引退しているかもしれません。

ですが、ヴァレーロ公爵家は王を支えられる様にと後任をちゃんと育てております。

我が公爵家はこれからも、この国の為に、尽力して参りますぞ」


そう言って、微笑む公爵は、本当にこの国を思っているのだと分かった。


もしかしたら私は、大臣達を斜に構えて見ていたのかもしれない。

今まで、揶揄(やゆ)され、見下されているのではないかと感じていたが、そうではなく、この国をよくする為の忠言だったのだ。


「公爵、私からも一言伝えたい。

私は貴殿ら大臣を、いまひとつ信用出来ずにいた。

相談する事で、弱みを握られるのではないか、と思っていたんだ。

だが、この事件で、腹を割って話す事が出来て良かったと思う。

私はもっと、貴殿らを信用しよう。

これからも、よろしく頼む」


私と公爵が握手を交わすと、ローレンスが口を開いた。


「兄上、それは時期尚早かと」


「・・・どういう事だ?」


「魔石の内容を思い出してください。

マティスはアーデンヴァルトの国境警備が続くと言った。

お気付きだと思いますが、その内容は大臣、兄上、兄上から話を聞いた俺しか知りえない内容です」


!!?


「ま!?まさか!?」


すると、ローレンスは頷いた。


「そうです。

ここにいるヴァレーロ公爵は、話を聞く限りでは白でしょう。

私は、他の三大臣がこの事件の首謀者である可能性が限りなく高いと思います」


その話に、ヴァレーロ公爵はワナワナと震えた。


「そんな恥知らずな者が大臣だとは!!

・・・全く(もっ)て、許せん!」


公爵の気持ちは分かる。


けど、息巻いたところで、解決する話ではない。


「公爵、協力をお願い出来るか?」


「もちろんでございます!

何なりと、お申し付け下さい」


そうして、各々(おのおの)、調べる事を割り振ったのであった。


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