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灰色王子のバラ色観察日記  作者: こさか りね


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第一王子視点

「兄上、失礼します」


ローレンスの声に返事をすると、侍従と共に入って来た。


「早かったな。

早速だが、話そうか。ここに座ってくれ」


そう伝え、前の席へと腰掛けるように促した。

私は、机の書類が山積みになっているのを退けようと整理をしていると『兄上?俺も執務を手伝いますか?』と聞いてきたのだ。


私は感動のあまり、手に持つ書類を落としてしまった。

まさか、弟の口から、私を気遣う言葉を聞けるとは・・・。


嬉しさで胸がいっぱいになる。


「ローレンスが気にかけてくれた事に、私はとても嬉しいよ」


と、思わず口から出ていた。

だが、大変勿体無いが、今はそんな余韻に浸っている場合ではない。

そして、すぐに我に返り、口を開いたのだ。


「ローレンス、有難いが、今はこちらが優先だ。

今日、急遽定例会が行われたんだ。

とりあえず、順を追って話すから聞いてほしい」


そうして私は、定例会を振り返りながら話し始める事にしたのだった。


※ーーー※ーーー※ーーー※ーーー※


「シェディオン公爵、アーデンヴァルトの件は、何か分かりましたか?」


と、リーズベルト公爵の進行で話が始まった。

今日は急だった為、父上は出席していない。


「まずは、ネーベルフ侯爵の言っていた通り、噂は本当であった。

魔石の採掘量も年々減り、財源がない為、平民の子供を売って足しにしているようだが、焼け石に水だろう。

平民達は鬱憤が溜まっているようだが、貴族に魔力で敵うはずもなく、静観状態だ。

今のところ、我が国への被害はないと思うが、国境の警備は、これからも続けて行う事を推奨する」


「ご報告、ありがとうございました。

他の方は何かありますか?」


すると、ネーベルフ侯爵が話し始めた。


「実は、その子供達の売買先ですが、他国の貴族相手に行なっているようです。

隣国メーヒェンでも同じ事件があり、経緯を教えていただけたのです。

低位貴族が主に魔石の製造、販売を行い、それを斡旋していたのが高位貴族だったと言うのです」


それに驚いたように返したのはヴァレーロ公爵だった。


「なんと!高位貴族でそんな恥知らずな者がいるとは・・・。

理由が気になるところではありますが、それよりも、レオナード殿下、現状は如何ですかな?」


・・・白々しい。


特殊部隊から、ヴァレーロ公爵の使用人で間違えないと報告を得ている私には、そう感じた。


そして今日、ダントンと密会するのにも関わらず、私に調査進捗を聞いて来るなんて、面の皮が厚いにも程がある。


「ええ、調査は順調ですよ。

近々報告ができる事を楽しみに待っていてください」


私は、ヴァレーロ公爵からの宣戦布告を受けたのであった。


※ーーー※ーーー※ーーー※ーーー※


「定例会の内容は(おおむ)ね、子供達に聞いた内容と相違なかった。

だが今になると、ヴァレーロ公爵の態度も気になる。

事が明るみに出る可能性があるというのに、躊躇いの仕草さえなかった。

・・・もしかしたら、何か策があるのだろうか」


やはり、今日の報告を待つしかないのか。

何としても、特殊部隊には証拠を持ち帰ってもらいたい。


すると、静かに話を聞いていたローレンスが口を開いた。


「本当にメーヒェン国でも同じ事件があったのでしょうか?」


「・・・なに?どう言う事だ?」


「いえ、ただ気になっただけですが、シェディオン公爵の話は子供達と一致していた。

だが、ネーベルフ侯爵の話は、裏が取れていないので、本当に信用していいのか、分からないだけです」


・・・確かにそうだな。


ネーベルフ侯爵は他国とのやり取りも多い事から、当たり前の様に信用してしまった。


ヴァレーロ公爵が、ああなのだ。

簡単に信じる事はできない。


「そうだな。

メーヒェン国へも事実確認をしてみよう。

それと今夜、ダントンとヴァレーロ公爵が密会する予定だ。

特殊部隊からの報告があり次第、また声を掛ける。

だから、そのつもりでいてくれ」


その後、ローレンスは侍従を連れ、退出して行った。



今夜が勝負だな。

・・・皆、頼むぞ。


そして気持ちを切り替え、山積みの書類に手を伸ばしたのであった。


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