ローレンス視点
その頃のローレンスは・・・。
アレンは、何処へ潜入調査をしているのだろうか・・・。
俺は窓から外を眺めていると、レノンが話しかけてきた。
「ローレンス様。
アレンさんは、まだ帰って来ませんね。
もう、夜も更けて参りましたし、就寝のご準備を致しましょうか?」
「いいや、まだいい。
アレンが帰るまで待つ」
「・・・本当にローレンス様は、アレンさんが好きなのですね。
私では、ダメなのでしょうか?」
・・・は?
また、何を言い出しているんだ?
「ダメに決まっている。アレンがいいんだ」
「そうですか。
昔は、私でもよかったのに・・・残念です」
・・・レノンがよかった事など一度も無い。
「レノン、何の話だ?」
すると、真顔で『子守唄です』と返してきたのだ。
予想の遥か斜め上を行く返答に、目が点になる。
確かに、小さい頃はレノンが歌ってくれた事もあった。
だが、何故そんな昔の話を引っ張り出してきたのか。
「レノン、いったい俺を何歳だと思っている?」
「21歳でございます。忘れるわけがないではないですか。あの頃のローレンス様は、可愛らしかったですね」
と、宙を見つめて話している。
可愛らしいって・・・。
4歳しか変わらないレノンに言われたくはない。
「・・・もう部屋へ戻っていいぞ」
「いいえ。
アレンさんが戻るまでは居ると約束しました。
反故にする事はできません」
変なところで堅いレノンにため息が出た。
すると、扉から赤い髪が覗き、『ただいま戻りました』とアレンが帰って来たのだ!
「レノン、もう大丈夫だ。
遅くまでご苦労だった。ゆっくり休むと良い」
そう言って、レノンを帰す事に成功したのである。
「アレン、今日の任務は大丈夫だったか?」
「はい。恙無く終わりました。
ローレンス様は、まだお休みにならないのですか?」
「アレンが心配で眠れないからな。
・・・それより、髪が濡れてないか?」
「!?
は、走って来たので、汗をかいたのだと思います。
早速、お風呂へと行って参りますね」
そう言って、そそくさと準備をしているアレンの様子に違和感を覚えた。
・・・何かあったのだろうか。
だが、本人が話さない以上、詮索するのは良くない。
俺は、気付いていないフリをして見送る事にした。
【アレンシア視点】
ふぅ、焦った。
あの後、師匠が渋々お風呂を貸してくれたので、ササっと入って出たのだ。
そして、任務に行く時のローレンス様の顔を思い出す。
きっと、私が帰るまで待っているはずだ。
早く帰らなければと、髪を乾かす時間も惜しかったので、急いで戻って来たのだが、まさか、そこに気付くとは思わなかった。
そして、準備を整えて、部屋を出ると、ローレンス様がこちらを見ている。
・・・やっぱり、汗は不自然だっただろうか。
今は春先。だいぶ暖かくなったとは言え、夜はまだまだ冷える。
だが、咄嗟にそれしか浮かばなかったのだ。
すると、ローレンス様が『行っておいで』と笑みを浮かべて言った。
私は、またここの湯殿を使うように言われるのかと思って身構えていたのだが、ただの杞憂に終わった様だ。
「行って参ります」
と頭を下げて部屋を出たのであった。




