表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
灰色王子のバラ色観察日記  作者: こさか りね


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

45/59

29

リオンからの話も聞き終わり、第一王子へと報告に向かうローレンス様の後ろを歩きながら、先程の事を思い返した。


「リオンは、何かしたい事はない?」


すると、恥ずかしそうに『文字が読めるようになりたい』と呟いた。


それから、(うつむ)いて『本を見れば、分かるようになるかと思ったんだけど、全然分からなかったんだ』と、一人で何とかしようとしていたリオンの姿を思い出すと、胸が痛くなった。


だから、私で良ければ、一緒に文字の勉強をしようかと提案したのだ。


すると『ありがとう』と、はにかんだのである。


もちろん、ローレンス様にも許可を得たので、時間がある時は、子供達の所へ行く事を決めたのだ。


そうこう考えているうちに、執務室へと着き、ローレンス様の報告が始まった。


・・・その途中・・・


「待て。ダントンは、彼の方(あのかた)と言ったのか?」


「はい。馬車の中で『彼の方の伝手(つて)に感謝しなくては』と言ったそうです」


「・・・そうか。

やはり、氷山の一角だったようだな。

・・・悪い、続けてくれ」


その後、第一王子は静かに耳を傾けていた。


「なるほど、分かった。

ネーベルフ侯爵が話していた噂は、この事だったんだな。

子供達は国へ帰りたがっているのか?」


(いず)れは帰りたいようですが、今は、そこまでの気力がなさそうです。

ですが、親の安否を気に掛けていました」


「・・・そうか。

今、父上の指示で、シェディオン公爵がアーデンヴァルトについて調べている。

何か分かり次第、報告があるだろう。

私も、親元へ帰してやりたいと思うが、今は難しい。

時期を見てからになる事を子供達に伝えてくれ」


「はい。分かりました」


「それと、私は【彼の方】について、調べてみる。

何か分かったら、また話そう」


そうして執務室を後にした私達は、部屋へと戻った。

窓の外を見ると、もう夕暮れ時になっている。


すると、レノンさんが『食事の準備を致しますね』と言い残して退出して行った。

そして、椅子に腰掛けたローレンス様が口を開いたのだ。


「アレン。

子供は親に会いたいと思うのが、普通なのだろうか?」


「・・・そうですね。

親と子の関係が、身近であればあるほど、その思いは強くなるのではないでしょうか」


「・・・そうか。

では、あの子達の親は皆、子供想いの良い親だという事だな」


そう呟き、書類をパラパラと捲っている。

それが何だか、寂しそうに見えた。


だから私は、お節介かと思ったが、口にする事にしたのだ。


「ローレンス様の事を大事に想ってくれている方はいますよ」


すると、書類から顔を上げたローレンス様の赤眼と目が合う。


「・・・それは、アレンか?」


・・・・・・。


思っていた返答では無かった為、少し間が空いてしまった。


「もちろん、私もそうです。

ですが、先日の会話で、レオナード殿下は、本当にローレンス様を想っているのだと感じました」


「・・・兄上か。

・・・そうだな。

俺は本当に、色々なものを見落としてきてしまったんだな。

・・・ありがとう、アレン。

そう思えたのは、君に出会えたからだ」


そう言って、嬉しそうに書類へと目を戻すローレンス様を見て『可愛い人ですね』と、口から勝手に出ていた。


すると、また、赤眼と目が合う。

ジッとこちらを見ていた。


・・・しまった。

思わずとは言え、王子に、しかも年上の男の人に言って良い言葉ではない。


「えっと、申し訳ありません。

口が滑りました」


「・・・いや、いい。

アレンの思った事を聞けて、嬉しい」


そう言って微笑むローレンス様に、心臓が跳ねた。

別に、好きだとか抱きしめられた訳ではない。


・・・なのに、何でだろう。


愛おしいと思ってしまうのは・・・。


私は、キュッと唇を結び、気持ちを押し込み、扉の前に立ち続けるのであった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ