第一王子視点
子供達の事は、ローレンスに任せるとして、私は、ダントン伯爵の裏で手を引く者を突き止めなければならない。
執務室で特殊部隊からの報告書を読んでいると『レオナード様、そろそろお時間です』と侍従に言われ、重い腰を上げた。
今日は国王と大臣達との定例会だ。
紛い物の魔石が問題となって以来、大臣達からの追及が激しくなる一方である。
私は席に着き、大臣達の顔を眺めた。
財務大臣ヴァレーロ公爵。
防衛大臣シェディオン公爵。
外務大臣ネーベルフ侯爵。
最後に宰相リーズベルト公爵。
なかなかの曲者揃いである。
そして、王が現れ、定例会が始まった。
「早速だが、定例会を始めよう。
では、リーズベルト公爵。よろしく頼む」
「はい。まずは、財務大臣から報告をお願い致します」
リーズベルト公爵の進行で全ての報告が終わり、王が再び口を開いた。
「レオナード、魔石の件は何か分かったか?」
「申し訳ありません。まだ、調べている最中でございます。もう少し、お時間をいただきたく存じます」
すると、シェディオン公爵が、被せるように口を開いた。
「早期解決出来ないと、国の信用問題に関わります。
長引けば長引くほど、治安の悪化にも繋がってしまう。
レオナード殿下に解決出来ないのであれば、我々も対応にあたらせてもらいますぞ」
・・・これは、国の安寧を心配して言っているのか、それとも、私を無能扱いし、次期王として不適格だと烙印を押したいのか・・・
もし、後者だった場合、次期王はローレンスになる。
だが、ローレンスを知っている大臣達は、皆思っているはずだ。
ローレンスでは、王になれないと・・・。
最近はだいぶ変わってきたが、これまでのローレンスは何にも興味を示さなかった。
知識があろうと、国や民を守りたいと思う心がなければ、王にはなれない。
そうなると、王家と血の濃い公爵家から次期王を選ぶ事になる。
・・・それが狙いか?
私が熟考していると、ヴァレーロ公爵が口を開いた。
「まぁまぁ、シェディオン公爵。
その言い方ですと、レオナード殿下の機嫌を損ねてしまいますぞ。
殿下も、もっと私達を頼って下さると嬉しいのですがね」
そう言ってニヤリと笑ったのだ。
・・・本当に食えない奴らだ。
すると、ネーベルフ侯爵が口を開いた。
「私からも一つ、宜しいですか?
最近、アーデンヴァルト王国周辺で、きな臭い話を耳にしましてね。
アーデンヴァルトでは、子供の誘拐が多発している事を、皆さんご存知の事だと思いますが、その首謀者がアーデンヴァルトの上層部ではないか、という噂が広がっています」
ここで、アーデンヴァルトが出てくるとは・・・。
もちろんだが、特殊部隊で調べ上げた内容は、ローレンス以外に開示していない。
余程、アーデンヴァルトが酷い状態なのだろう。
また内乱などになれば、我が国にも被害が出るかもしれない。
そして、その言葉にシェディオン公爵が吠えた。
「それは真実か?
落ちるとこまで落ちたと思っていたが、まだ、その先があったとはな・・・。
王よ。
近隣諸国として、我々も何か対策を採らなければなりますまい。
ご英断の程を」
「・・・そうだな。
では、防衛大臣のシェディオン公爵にアーデンヴァルトへの警戒に当たってもらう。あちらの情勢が分かり次第、報告を頼む。
その後は私が動こう。
そしてレオナードは、魔石を早急に調べてくれ。
他の三人も気付いた事があれば、都度報告を頼む。
我が国を危険に晒す事のないよう、皆、頼むぞ」
「「「「「はい!仰せの通りに」」」」」
そうして、定例会は終了した。
これは、のんびりと構えている場合ではないな。
ローレンスには悪いが、早急に子供達へ話を聞くように手筈を整えなければならない。
その後、レオナードは執務室へと戻り、すぐにローレンスを呼び出したのであった。




