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王宮へ着き、ローレンス様は、子供達を医者に診せる手配と第一王子への報告書の作成などで、忙しく動かれていた。
私は、レノンさんに『特殊部隊へ報告して参ります』と話し、部屋を後にしたのである。
特殊部隊室へ入るとヴィンセルがデスクワークをしていた。
私はヴィンセルの横に立ち、話しかけたのだ。
「ヴィンセル、この二日間で何か引き継ぎとかある?」
すると『ひっ!!?』と息を呑む音が聞こえた。
何だろうと思い、覗き込むと『な!?なに!?なんの用なの!?』と慌てふためいている。
しかも、慌てすぎて、書類をグシャグシャに握り潰しているではないか。
「えっと、その書類は平気?」
そう私に言われて気付いたのだろう、頭を抱えている。
「私も手伝おうか?」
「いや、いい。大丈夫だ。
・・・だから、どっか行ってくれる?」
・・・はい?
先日は、上手くやっていけると思ったのに、この二日間で、なんで元に戻った?
・・・私、何かしたかな?
と考えるが、全く思い浮かばない。
なので(まぁ、いいや)と結論を出して返事をした。
「そう。じゃあ、また」
それから私は、団長室をノックして入室したのだ。
「アレンか。どうしたんだ?
茶でも飲むか?」
私は「頂きます」と伝えると、師匠自ら淹れてくれた。
そして一口飲み、口を湿らせてから、話し始める。
「実は、昨日、ローレンス様と再度ダントン伯爵の屋敷まで行って来たんです。その報告で来ました」
「・・・は?
なぜ、ローレンス殿下が一緒なんだ?」
なので、私は昨日の成り行きを話した。
すると、師匠はため息をつき、口を開いたのである。
「お前も、その侍従も、いいように転がされてるだけじゃねーか」
「いえ、そんなことは・・・」
「・・・いいか?
まず、お前がすべき事は、俺に報告だろ?
結果、何もなかったから良かったものの、何かあったら、責任取れるのか?」
「・・・取れません」
「フン!だろ?
次からは、ちゃんと報告しろよ!
それと話は変わるが、潜入調査でヴィンセルに女とバレたんだって?」
!!?
なんで、私よりも先に言うかな!?
それに、安心してって言ってたよね!?
「えーっと、そうです。報告が遅くなって、すみません」
師匠は、二度目のため息をつき、話し始めた。
「状況は全てヴィンセルから聞いている。
斬られたんだってな。
・・・大丈夫か?」
・・・あれ?
・・・怒ってない?
「はい。大丈夫です。怪我もありません」
「それならいい。ヴィンセルにも、俺から口止めしておいたからな。
それと、お前の裸は、ガキには刺激が強かったみたいだぞ」
「ぶっ!!?
はっ・・・裸って!?
なんの話ですか!?
私、裸になんてなってませんよ!!」
「あ!!?・・・っおい!
茶を吹き出すな!汚いだろ!」
「吹き出すような事を言ったのは師匠です!
というか、裸って、ヴィンセルが言ったんですか?」
師匠は、私が吹き出したお茶を拭きながら答えてくれた。
「ああ。そんなような事を言っていたぞ。
服を切られたってな」
「少しですよ!あれは、断じて、裸ではありません!」
「そうか、そうか。
そんなムキになるな。
まぁ、そんな感じだから、とりあえず、頑張れよ」
「・・・え?何をですか?」
すると師匠は『その内、分かる』とだけ言い『昨日の事を詳しく教えてくれ』と、仕事の話に戻ったのであった。
報告をし終えた私は、団長室から出ると、すでにヴィンセルはいなかった。
裸なんて見せた覚えはないのに、なんて事を言っているのだ。
プリプリしながら部屋へ帰るとローレンス様とレノンさんが何かを話していた。
「アレン、今いいか?」
ローレンス様に呼ばれ、レノンさんの横に立つ。
「先程、医者から報告があった。
ルーナは打撲で骨には異常ないようだ。
テオは、やはり精神的なもののようで、声が出せるようになるまでは、時間を要すると言っていたな」
「そうなんですね。承知しました。
それと、子供達は今、何処に居るのでしょうか?」
「・・・ああ。
落ち着くまでは、三人一緒の部屋で過ごさせる。
話を聞くにしても、少し経ってからになるな」
すると、扉をノックする音が聞こえた。
レノンさんが出迎え、侍従から話を聞いてから戻って来た。
「ローレンス様。
レオナード殿下が、お呼びのようです」
「分かった。では、行こうか」
そうして私達は、第一王子の執務室へと向かったのであった。




