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灰色王子のバラ色観察日記  作者: こさか りね


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26

ガチャリと、無情にも扉が閉まる音が室内へと響いた。



私は部屋を見回すと、食事が出来るダイニングテーブルとソファ。奥の部屋にベッドが2つ並んでいた。


そして、湯浴みを終えたローレンス様は、ソファに腰掛けている。


「アレンも湯浴みをしてくるといい」


「・・・はい。では行って参ります」


浴室へと入り、服を脱ぐ。


・・・ど、どうしよう。

女だとバレない様にしなければ。


それと、寝る時もサラシを着けなきゃダメかな・・・。


そう思い、私は手早く済ませて部屋へと戻った。


そして、部屋へ戻るとローレンス様が何かを書いていたので、私は、邪魔をしないようにと音を立てずに扉の前へ立ったのだ。


私は自分の格好を再度確認した。


女だとバレる要素はないだろう。

サラシを着けて寝た事はないが、いつもより緩く巻いたので、多分大丈夫だ。


そんな事を考えていると、視線を感じ、顔を上げた。


すると、ローレンス様がジッと私を見ている。


・・・・・・。


え?

・・・なに?


バレたのかと急に不安になる。

そして、目を逸らせず、暫く見つめ合っていると、ローレンス様が口を開いた。


「アレン、今日は疲れたろう?

もう寝ようか」


と言い、寝台へと移動し始めた。


「では、私はそのソファで休みます」


「ベッドは2台あるから遠慮なく使ってくれ。護衛なら大丈夫だ」


そう言って、片方のベッドを勧めてくる。


あまり、(かたく)なに断るのも変に思われるかもしれない。


「では、お言葉に甘えて、失礼します」


と言い、ローレンス様の隣のベッドへと腰掛けた。


すると、ローレンス様が『誰かと一緒に眠るのは初めてだ』と頬を赤くしている。


・・・い、居た堪れない。

私は、どんな反応を返せば良いのか・・・。


そして、考えた末に『私も、誰かと一緒なのは、初めてです』と答えたのだ。


その返事を聞いたローレンス様は、嬉しそうに『そうか』と一言呟き『おやすみ』と言って横になったのであった。


夜も更け、寝室では・・・


(チ、チ、チ、チ、チ)


と、時計の秒針の音が聞こえる。


そして、隣には、静かな寝息と共に、横になっているローレンス様。


・・・ね、眠れない。


とりあえず、羊の数でも数えようかな。

と、気を取り直して数え始めるアレンシアだった。



【ローレンス視点】


・・・アレンの寝息が聞こえる。


さっきまでは、もぞもぞとしていたので、なかなか寝付けなかったのだろう。


俺はアレンの寝ている方に顔を向けた。


コバルトブルーの瞳は閉じられ、赤い、綺麗な髪が顔に掛かっている。


・・・まさか、一緒の部屋で寝られるとは思わなかった。


いつもは見せない、気の抜けた顔を眺める。


そして、切りが良いところで、自分も眠りについたのであった。


そして、朝方・・・


アレンの(うな)される声に飛び起きた。

隣を見ると、苦しそうに首を掻いている。


ただ事ではないと思い、アレンに声をかけた。


「アレン?どうした?どこか痛いのか?」


近くで見ると、酷く汗をかいていた。

俺は、汗を布で拭ってやり、再び声を掛ける。


「アレン!起きてくれ!」


すると、ハッとして目を開けた。


「ロ、ローレンス様が、何故ここに!?」

と、昨日一緒の部屋で寝た事が頭から抜けているようだ。


「昨日、同じ部屋で寝ただろう?

それより、酷く(うな)されていたが、何があったんだ?」


やっと、状況を理解したようで『失礼しました』と言い、居住まいを正してから話し始めた。


「昨日と同じ夢を見まして・・・。

それが、悪夢だった為に魘されてしまいました。

ご迷惑をお掛けし、申し訳ありません」


「大丈夫だ。

良ければ、どんな夢か話して貰えるか?」



「昨日は、真っ赤に燃え上がった炎の中、動けない私に女性が手を伸ばしてくる夢でした。

そして今日は、昨日の続きなのか、その女性が私に触れ、何かを話しているのです。

そして、最後に・・・

その・・・

私に向かって、()()()()

と告げたのです」



アレンはそう言い切ると、一度瞳を閉じた。

そして、再び口を開いたのである。


「夢なのに、熱さや肺に入る空気が息苦しいと感じるなんて、不思議ですよね?」


と、そう言って、微笑んだのだ。


「今は、もう大丈夫なのか?」


「はい。なんともありません。

ご心配をおかけ致しました」



そうしてアレンは、湯浴みをしてくると言い、寝室を出て行った。


すると、入れ違いにレノンがやって来たのだ。


「ローレンス様、おはようございます。

これから、準備をさせていただきますね。

それと、子供達の準備は既に終わっております」


「そうか。では、頼む」


準備をしてもらっている中、先程の事を考える。


アレンの夢はいったい何だったのだろう。

しかも、同じ夢の続きを見る事など、なかなかない。


・・・もしかしたら、アレンも覚えていない昔の記憶ではないだろうか?


と、そう思ったのだが、シルバリー家が火事になったと聞いた事は、今までに無い。


俺が熟考していると、レノンから『お待たせ致しました』と声を掛けられた。


意識を戻し、周りを見るとアレンも既に準備が整っていた。


それからは、皆で食事をし、王宮へと戻ったのである。


そして、その後の対応に追われ、アレンの夢の件は、そのままになってしまったのだった。






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