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ビショップの一刺し

本作はフィクションですが、難病や医療制度についての描写には


できる限り現実の知見を参考にしています。


ただし、医学的な正確さよりも「登場人物の心」を優先しています。


気軽に読み進めていただければ嬉しいです。

行政は、政治が決断さえすれば即時に動ける。

草薙みどり総裁が方向性を示した瞬間、

厚労省と文科省の内部では、

まるで冬眠から覚めた獣のように、

優秀な官僚たちが一斉に動き始めた。


省内の反対派が炙り出され、

建設的な提案が次々と上がり、

その中に――

官民合同での新薬創造スキーム があった。


「民間が科学の力を活用して新薬開発に拍車をかける時代になる。

厚労省が従来の許認可体制を維持していては、

スピードアップは望めません」


そう述べたのは、

厚労省医薬局に新たに配置された若手のエース官僚だった。


彼女は、

草薙総裁が直々に指名した人物である。


「そこで――臨床試験の開始前から薬ごとに担当者を宛てます。

許認可のプロセスを、薬と共に“伴走”させるのです」


その役職名は、

リエゾン(Liaison)。


行政と民間、

科学と制度、

AIと本草学――

それらを斜めに貫いて結びつける、

まさに ビショップの駒 であった。


◆リエゾンの任命

リエゾンは薬ごとに配置される。

臨床試験の計画段階から企業と連携し、

データセンターと情報を共有し、

省内の審査官と調整し、

許認可の障壁を事前に取り除く。


「薬が生まれる前から、薬の“道筋”を作るのです」


その説明に、

民間企業の研究者たちは息を呑んだ。


五菱+安倍のAIデータセンターも、

リエゾン制度の恩恵を受けることになる。


俊は、

厚労省から届いた通知を見て、

思わず椅子から立ち上がった。


「……これで、涼香さんの薬も……」


胸の奥が熱くなる。


リエゾン制度は、

彼女の治療薬の開発を

“国家の優先案件”として扱うことを意味していた。


◆AIデータセンターの奮闘

俊の職場では、

世界中のPCが研究に駆り出されているかのように、

シミュレータが休みなく分析を繰り返していた。


新しいアイディアが共有され、

誰かの失敗が改善され、

誰かの応援が励ましとなり、

本草学の古文書がデータ化され、

日本語の語彙がAIの思考を変え始めていた。


「……すごい……

まるで、世界が一つの研究室になったみたいだ」


俊は呟いた。


その背後で、

リエゾン担当者からのメッセージが届く。


『小瀬川涼香さんのケースは、

厚労省として最優先で扱います。

データの共有をお願いします』


俊は深く息を吸った。


(ビショップが……動いたんだ)


◆涼香の訓練は続く

秋田駐屯地では、

横田恵一佐が次の訓練を開始していた。


丹田瞑想で器を整えた涼香は、

歩行訓練へと進んでいた。


「足を前に出すのではなく、

身体の中心を前に運ぶ感覚を掴んでください」


横田一佐の声は静かで、

しかし芯があった。


涼香は汗を拭いながら、

ゆっくりと歩いた。


秋田の空気は澄み、

風は優しく、

彼女の身体は確かに強くなっていた。



次には自立支援制度について、触れたいと思います。

これが経済的な自立を目指すものと思い込んでいる方も多いのでは無いでしょうか?

筆者は、作業所で社会復帰を目指す、つまり再就職への訓練と対になっている制度と思っていました。

実際は、生活面での自立を支援するという主旨のようで、このあたりのアナウンス不足は予算執行のバランスの悪さに起因しているように思います。医療面での課題や問題も洗い出しましょう。

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