33/58
33
西日が差し込んで、肌を刺した。壁に窓枠の形でオレンジの絵の具で色づけていく。ミサキさんの輪郭を塗り絵のようにつっとなぞって金糸雀色に塗りつぶされている。いつも暮らしている家の中はずいぶん大きくなったように感じた。
私もミサキさんも目の下も上もひどいくらいに腫らして、お互いに顔を見合っては笑った。薄いカーテンを貫いて刺さる光はいつもとは違って優しかった。光に温ためられた腕をさらりと撫でる。
十分に泣ききって、体の中の水分が全部抜けきったとき、ミサキさんは私にコップを差し出して言った。黒猫が描かれた小さなマグカップに注がれた水に浮かぶ氷がパキッとひび割れた。
「お墓、行く?」
からりとした声。きっとミサキさんも体の水分を全部出し切ったんだろう。カーテンを持ち上げ窓から差し込んだ風に混ざってミサキさんの声は溶けていく。私はコクリと喉を鳴らして水を飲む。喉を通って冷たい液体が管を冷やしながら潤していく。
私は何の抵抗もなくコクリと首を縦に振った。




