114 限度
最近どうにも困った事がある。
消したはずの助っ人の件が、どうにも再燃しそうな感じなのである。
またぞろ何かやられた感じもするが、それとは別に毎日楽しそうなオレ達を見て、すっかり遊んでいると思われているのである。
それぐらいなら手伝って欲しいと言われているが、自分の部の事ですら見ているだけだった部員に、他の部の世話など焼けるはずもない。
それが教師命令ならいざ知らず、自発的になど無理だろう。
そもそも、オレ達以外の3人は、部活以外はかなり勉強に打ち込んでいるらしく、とてもそんな暇は無いと断っているしな。
そうなるとお鉢はまたオレ達に向いてくる。
そうなってから教師が動くのにも意趣を感じるが、派手に動けないだけに下手に断れない。
オレの特典もいつの間にかなし崩しにされており、オレ達に他の部を手伝えと教師命令だ。
「もういい加減にして欲しいぜ」
「まあまあ、オレが適当にするからよ」
「スキル全開かよ」
「見ていれば分かるさ」
まずは文化研究会ね。
この町の文化の研究らしいが、どうにも主題が決まらないままに意見を出してくれとか、他の部員に言う事かよ。
意見が出ないなら部を止めろと言いたくなるような不甲斐なさだ。
なのでこの際、ちょっとイタズラを仕掛けてみる。
「文化なら何でも良いのか」
「この町の文化だぞ」
【調整】……【街には色々な文化がある。中でも風俗店の文化は一見に値する。初代の苦労話から中でのトラブルなど、それの展示は素晴らしい】
「どうかな」
「よし、オレ達はそれで良いな」
「「異議無し」」
《くっくっくっ、あれはヤバいだろ……知るかよ。ちゃんと自分達で意見を出した事になってるさ……しーらねっと……クククッ》
☆
「えっ、課題曲が決まらない? そんなの適当で良いだろ」
「そうはいかないよ。発表会は僕達の晴れ舞台。それに相応しい曲が必要なんだ。さあ、意見を出してくれ」
自分達の晴れ舞台なのに、他人に意見を聞くなよな。
【調整】……【この国が生み出した、世界に誇る文化、その主題歌こそ我々の晴れ舞台に相応しい。立ち上がれ、我らの英雄よ】
《今度はアニメの主題歌かよ、くっくっくっ……自分達の事を他人に任せようとするからこうなるんだ……まあそうだよな。けど、それを言うならうちの部員達も同じだろ……体験する事が良いんだ。見ているだけに何の意味がある。それに人は人だしな……まあそうだよな……いよっ、ミツヤ君26才……うがぁぁぁ、それを言うなぁぁぁ……クククッ、未成年と言われながらも酒に手が伸びるのはそういう訳だよな……ああそうさ。しかも身体がちゃんと受け付けてくれて、飲んでもそこまでって事もない。なのに世間では未成年扱い。それがちょっとアレだけど、それに慣れねぇといけねぇんだよな……精神の老いは朽ちる元。朽ちたら永久には存在出来んぞ……つまり、朽ちなければ……ああ、ひたすら精進も可能さ……ガキっぽい言動か……恥とかプライドとか、そんな毒があれば老いるぞ……そっか、それでか、うっし……だから殊更にイタズラもやるのさ……確かにイタズラとかはガキのする事だよな。オレもそういうのをしてみるか……お前にはゲーセンがあるだろ……そっかそうだよな。うしっ、あれもまた行ってみるか……買い食いもしようぜ……そうだな》
(そういうのをすっかり忘れてたぜ。ダメだな、オレはすぐに初心を忘れちまう。もっとガキの思考でやらねぇと)
それからもあちこちのクラブからの要請を受けるも、色々とお茶を濁すに留まる。
そしてそれらは後に修正され、またしてもシナリオの関連なのを知る事になる。
しかしな、オレ達は縁切りしてんのにどうしてこうなるんだ。
まさか……確かにあんな熟練者なら、引っ掛かった振りぐらいは簡単にやれるか。
つまりオレはコケにされてんだな。
そうじゃなければこんな事に巻き込まれる訳が無い。
やりおおせたと思う油断を突かれたか、まだまだ甘いな、オレは。
そうと決まれば準備を始める。
色々と供給して減ったり無くなったりした品々の補給、新規に目に付いた品の買占め。
それと同時に口座からの引き落としもやっていく。
こっちが夜ならあっちは昼と、外国で買いまくっていく。
下手に人形など据えては動きを教えるようなもの。
確かに派手に買物をしてもバレはするが、変装必須で買いまくる。
それと共に個数の少ない品はまとめ、多い品は一塊にして枠を節約し、より多くより預金が減るように、より他世界で役立てる品という風にひたすら溜め込んでいった。
テストは手を抜いて木本トップに躍り出る。
必至で頑張った甲斐があったと、派手に嬉しそうだ。
ミツヤは3位、抜きようが甘かったと言っていた。
やはり同じような考えをしているらしい。
早速、毒を抜きにかかったか。
買い込んだ品をミツヤに流し、オレはまたしても買占めに走る。
そんなオレの意図を見抜いたのか、ミツヤも休日は買物に走る。
走らないのは体育祭ぐらいで、オレ達は他の事に一生懸命になっていた。
そうしてもうじき始まる文化祭。
結局、魔術師マネキンとモンスター剥製と異世界ジオラマの展示に留まり、あいつら3人が案内役を努める。
まあそれぐらいはやってくれと、それとなく言ったからではあるが、言わないとただの傍観者で終わりそうだったらでもある。
これはオレからの誘いになるが、普段は発散で遊ぶのも良いが、こういう時ぐらいはそれらしく見せたほうが内申が……これで終わった話だ。
オレ達はもうこの世界で大学に進学する気が無くなっており、高卒後は世界から出る予定だ。
本当はもっと早く、可能なら今日にでも出たいが、折角の高校生体験ぐらいは終えてからと思っての事。
だけど限度はあるからな。
高を括っているといきなり消えちまう事になるから、あんまり図に乗らないでくれよな。
買い出しと共に始めたのは、シルフ関連と思しき株への攻撃。
自動指定での乱買い乱売り。
ガツンと買って値が上がるとガツンと売る。
そんなのを繰り返すと株価が不安定になり、なかなか上がらないようになる。
下手に買って下がっては困ると、皆が手離す事になるからだ。
そして底値で全力買いで取得割合を一気に増やし、ひたすらひたすら投入していく。
対抗が入ってもひたすら購入で、経営権の危機まで買い尽くす。
ああ、ちなみに桜崎へは経営権の要求はしない旨は伝えてある。
だから今頃は安心しているだろう。
ただの支援だと言ってあるから。
そしてシルフ関連の大量の株に対する経営権を桜崎に貸与する。
桜崎はそれをかなり喜んで受け取り、早速、色々活動を始めたようだ。
シルフの危機、クククッ。
秋も深まり残暑の時期もそろそろ終わりとなった頃、遂に痺れを切らした通達が来た。
《さすがにやり過ぎじゃ》




