115 追放
楽しかった学生生活……みんなで行った米国旅行……思い出に残った関西旅行……
やはりタヌキだったらしい。
それにしても、そうやって毎回言えば止まると思われているのは、やはり舐められているんだろうな。
《ああもうしない。何もしない。全くしない……株から手を引くのじゃ……だからしないと言ってるだろ、しつこいな【切断】》
(ううむ、通信切断とはの。いきなりやられると神経に響くのじゃがの。それにしても、妙に苛立っておるようじゃが、困ったのぅ)
くそっ、もっと上が調整しやがったか。
斉藤さん、フタの事を忘れてるぞ。
もうダメだ、オレにはやってられん。
こんな操り人形を強制するような世界、とっとと……待てよ。
斉藤さんと言えば相当の熟練者だ。
それに対する気付かれない調整とか、一体誰がやれる?
それこそ、トップの奴かそれに準ずる……いや、もしかして、だとするとそう仕向けようと。
つまり、オレ達が出るのを望んで……そうなのか?
なら、出る事で何かが始まるのか?
だから早く出ろと催促?
なら出たほうが?
はぁぁ、推測だけじゃ動けんな。
何か確証が1つ欲しいところだが。
まあ、斉藤さんに対する調整で、その確証のようなものだが。
せめて卒業ぐらいしたかったぜ。
この未練も消せって事かよ。
はぁぁ、どうすっかな。
ああ、まあ、言わんとする事は分かるよ。
こういうのがダメなのもよく分かっているとも。
だが、オレはまだ良いとして、ミツヤはこの世界が最初だろ。
だからせめて……一生とまでは言わなくても、高校生ぐらいは卒業させてやりたいと、なのにそれもダメなのかよ。
文化祭前日、どうにもならない事態になった。
どうやらオレのジオラマのモンスターが版権を侵しているとクレームが付き、賠償問題がどうのこうのってよ。
誰が訴えたのかは知らんが部外者の入れない部室の中の、発表前のジオラマのモンスターが版権に関わると調査したと言うんだな。
しかもだよ、斉藤さんは勝てないと言うんだよ。
見てもないジオラマのモンスターなのに、どうして勝てないと思うんだ。
しかもその賠償額がまたとんでもない額で、どうして兆の単位なんだよ。
それもちょうど5つのネトギンと都市銀の残高を合わせた額とか、あり得ないだろ。
3桁の兆の預金全てとか、もうね、これは早く出ろと言う催促にしか感じんよ。
ひたすらの買物もやったし、そう言う事ならとっとと出るけどな、オレの身体とミツヤの身体は持って行けない予感だ。
つまり偽者作って据えた後、オレ達は身体をしまって精神体で世界を出る必要がある訳だ。
確かにミツヤの技能も上がりつつあるが、【転移】じゃなくて世界を出るとなると、長期になる可能性もある。
その場合……ああ、そうか、【共用】を使えば可能か。
まさかこれも導きじゃ無かろうな。
もうホントね、色々とあり過ぎて疑心暗鬼になっちまうぜ。
「限界だな」
「やっぱそうかよ」
「ああ、どっかの誰かが出ろ出ろと催促してやがんだ」
「斉藤さんをいじくるとか、とんでもねぇ奴だな」
「見たかよ、あの賠償金額」
「ああ、あり得ねぇ額だったな」
「でな、オレ達の偽者を作るから、その身体しまって精神体で世界を出るぞ」
「長期はちょっときついぜ」
「ああ、【共用】してやるから心配は要らん」
「わりぃな、まだまだ未熟でよ」
「良いさ。ただな、世界を出たら恐らく、どっかに飛ばされる事になる。だからな、オレから絶対に離れるなよ」
「ああ、ひたすらくっ付いてるさ」
身の回りの物をかき集め、オレ達の偽者を据えた後、雑魚の魂をそれに収め、共にもどきにした後。
【共用離脱保持】
オレのスキルを共用し、精神体になってそれを保持する。
そして共に身体を収納する。
【共用皮膜視探表層】
共用追加で精神体の皮膜を付け、仮に隣の世界を見るが、なんかよく分からない世界だけど、途中でスキルを切るから関係無い。
そして飛ばされた先での記憶封印対策に表層の設置。
【転移切断】
彼らはどこに行くのだろうか?
何処に飛ばされるのでしょう。




