4.無自覚め【3】
髪も服も心地好い風に吹かれて、一緒に乾かされていきます。この風はヴォルと私の周りにだけ吹いているのです。ふと気付くと、ヴォルが不自然に視線をよそに向けているではないですか。私はそちらの方が気になりました。まさか、また魔物とか来ていませんよね?
「…何をしている。」
「え?…ヴォルが何を見ているのか気になりまして。」
何気なく、ヴォルに近付いて彼の視線の先を追おうとしたのですが。何故そんなに怖い顔をするのです?だいたい、私達の距離は手を伸ばしたら届く程です。今も私、ツイッと一歩だけ近付いただけですけど。
「…無自覚め。」
「えっ?」
ボソリと呟いたヴォルの言葉が聞き取れず、小首を傾げて問いました。すると一瞬ヴォルが息を呑み、フイッと顔を逸らされました。あれ?何でしょう。おかしいですね。
「ヴォル?」
「…もう少し色の濃い服を着た方が良い。」
はい?色の濃い?…何を言いたいのか…。今は私、白いワンピースでしたよね?私は確認の為に自分の服を見下ろしました。って?!…お気付きですか?そうなんですっ。白い服は、濡れたら透けるんですよ!本当に、この湖のように透け透けでした。
「ッキャッ!!」
今さら遅いですが、両腕で胸を抱くようにして座り込みました。服の下には胸を寄せて上げる系のブラをしているのですが、それがしっかりと見えています。
「み…、見ました…よね…?」
もう恥ずかしすぎます。顔が…いえ、耳まで熱いです。無駄だとは思いましたが、聞いてみました。
「…すまない。」
視線を逸らしたままで謝られてしまいましたが。こう言う時には嘘でも…いえ、それはそれで良くないですね。あ~…、こんなことならもっと可愛い下着を…って!!そうじゃないですよ、私っ!見られても大した代物ではない事は嫌と言う程分かっていますが、これでも私は嫁入り前の身です。も~、お嫁に行けないですよ…?…あ、私はヴォルのお嫁さんになるのでした。………形だけのですが。
「もう…良いです…。」
何となく別のショックを受けているのは何故でしょう。と、とにかく落ち込んでいても仕方がありません。私、立ち直りは早い方なんですから。ヴォルも悪気があって見た訳じゃないですし。あ、もしかしたら被害者なのはヴォルの方かも。見たくないものを見せられたのだとしたら…、何となく申し訳なく感じてしまいます。挙げ句に加害者のような扱いをされたなんて、屈辱的でしょうね。




