冒険の覚悟
そう思って進んでいると次の魔物が現れた。
ゴブリン戦士 3体
ゴブリン盗賊 3体
ゴブリン魔道士 2体
が現れた。
ゴブリン盗賊は刃物を持って襲ってくる。攻撃的で素早さが高いのが特徴だ。
「少し多いな。」
レオナルドが言う。
「先手必勝だね。」
俺がそう言うと無詠唱で“火炎弾”を2発放つ。
ゴブリン魔道士2体に命中した。2体とも悲鳴を上げて倒れる。
残ったゴブリンが一斉に仕掛けてくる。
レオナルドが
「任せろ。」
と言い、戦士2体を切る。2体とも一撃で倒れた。
戦士1体と盗賊2体が俺に攻撃してくる。
「甘い。」
それくらい一撃だ。
頭と胸を狙い、一体は胸の真核を壊し三体とも倒す。
倒した。そう思ってあと一体いることに気づいたが、連携もある。二人の方で一体はな
んとかしてもらおうと振り向いた時だった。
ゴブリンが1体、こちらに向かってくるのは見える。
リサとシルベーヌが攻撃しようと構えている。
シルベーヌが、
「私が出ます。」
そう言ってナイフでゴブリンを切りつけた時だった。
カシュッ。
シルベーヌがナイフで切ろうとしたが浅かった。不意の攻撃動作に体が追いついていな
かった。
ゴブリンの首に傷は入ってはいるが、効いてないようで、そのままシルベーヌを攻撃した。
シルベーヌは肩に刃で切りつけられた。傷は浅かったようだが、血が出ている。
「はっ。」
予想外の事態に過呼吸になるシルベーヌ。
「なんで、体が動かない。」
そう思っているようで目が白黒している。
慌ててリサがゴブリンを倒すが、シルベーヌは、
「うわっ。」
とガクガク震えている。
「シルベーヌ。」
慌てて駆け寄る俺達。
しゃがみこむシルベーヌ。
ヒールをかけるリサ。
俺はどうしたらとパニクっていた。
あれだけの魔法が使えてLvも50以上あってなにも心配ないと思っていた。
だが、目の前の光景は自分が守れなかったと告げている。
仲間を守れなければ一緒だ。それはいじめている奴らに荷担するのと変わらない。
不意にあの時の自分と重なって何とかしないとと思った。
とその時レオナルドが
「シルフィー、俺だ。レオナルドだ。」
そう言うと肩に手をおき、顔面蒼白のシルベーヌにきつい事を言い始めた。
「まず次の戦闘まで少し休む。
それから今まで後ろにも敵を回していたがそれもしない。だけど、シルフィーが王女
を守らなければいざってとき後ろを守れないし、俺たちも攻撃できない。まして
や王女の護衛で、自分が怖かったから王女に怪我させたなんて事になったらお前だけで
なくお前の家も取り潰しだぞ。しっかりするんだ。
戦闘に慣れないと。それにいつかシルフィーも戦争に駆り出されるだろう。俺たちも
武官、文官として民衆も兵も率いなきゃならねぇ。だから今は立つんだ。」
レオナルドの言葉にシルベーヌが、
「わかってるわよ。レオ。ごめんなさい、リサお嬢様。」
謝るシルベーヌ。
リサも涙を浮かべ
「気にしなくていいの。」
と言っている。
「僕も初めて魔物を倒した時は怖くて震えたよ。血が出たし、怪我もした。」
と俺が言うと、レオナルドが、
「今まで魔物を倒したことがなかったのか。俺は今回が初だが。冒険の覚悟を決めろ。」
シルベーヌが、
「魔法で倒してたし、ノーダメージだったのよ。」
と元気を取り戻してきたのかぶっきらぼうに言った。
「・・ありがとう。」
と震えて言うシルベーヌ、大丈夫かと気になる。
「大丈夫。的確で参考になったよ。ゴブリンも攻撃を受けて遅くなっていたし。
攻撃がダメなら後衛の回復ポジションも考えるけど、しっかり立ち回っていて決して足
手まといなんかじゃない。」
アルスとして誠意を見せようと思った。シルベーヌが一生懸命やっているのは分かって
いたから。
シルベーヌは口を開くと、
「2人の意見はよく分かるの。私はそんなに強くないし、モンスターも怖い。
昔、モンスターに襲われたことがあって恐い思いをした事がある。その時は、魔法で
倒したんだけれど魔物自体を怖がるように・・なっていたのよ。実家では直接言われな
かったけど、見抜かれてて鈍ってるんじゃないかって言われてた。
でも私もしっかりと参戦する。自分の事ばかり考えていた。確かに後衛だしリサ王女を
守るために魔法メインだと思っていたけどけど次にゴブリンが来たらこのナイフを突き立
ててやる。レベルが上がったら攻撃力にも振らないとね。」
シルベーヌは断固たる決意で自ら武器を取ると言った。恐怖を乗り越えた彼女のその目
は輝いていた。
「それがシルベーヌらしいね。」
俺が言うとシルベーヌが顔を赤らめる。
隣を見ると、レオナルドがハハッと笑っている。
「まずは実践だ。階段は左手だが奥の部屋がまだ残っている。スライム以外も倒せるよ
うにならないとな。」
「本当にありがとう。でも、うっさいわね。あたしの舵取りを見てなさい。」
シルベーヌは不敵に笑った。
俺たちはまずは奥の部屋へそのまま進む事にした。ダンジョンのレベリングもあるので
上の階へ戻る事もあるが、ここをぐるぐる回る事になるだろう。笛は貰ったが薬草も見つか
るので、笛は要らなさそうだ。
なによりパーティーのギクシャクした感じが取れた。団結力も士気も上がっている。
これならいける。




