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晩飯のベルが鳴らされ一番乗りで食堂に入る。間もなくしてリ行やダ行も来て同じ卓につく。
「何か分かったかい?」
「何も。四階の東端の隣の部屋はニュールベルンの騎士爵家の子の部屋だった。彼らは噂すら知らなかったよ」
「そうか。僕らは寮長の新しい噂を手に入れたよ。寮長は夜だけじゃなくて午前中も寮内を監視して回ってるんだって」
それって噂っていうか普通に仕事じゃないか?
「勝手にドアを開けて部屋の中まで見るんだって」
「それ、上級生も同じことしてるじゃないか」
「貴様ら、部屋を出る時はベッドメイキングを完璧にして床にもゴミひとつ残すな! ってね」
それは四階も同じことである。ただしちゃんとノックしてくれてからだけどね。チラリと部屋を見て頷くだけである。俺らの部屋は基本キチっとしてるからな。
「授業に出掛けて誰も居ない時に覗きにくるなんて気持ち悪くないか?」
「いや、別に、、、?」
俺たちは部屋に勝手にメイドや執事が入ってくるのに慣れてるからな。前世の頃の方がその件に関しては敏感だったかも。
そんな話をしてるとオッタヴィアーノ王子が姿を現した。今朝と同じように俺の隣に座る。
「どうだ?」
「今のところ特に何も。四階はニュールベルンのハーン家のご子息の部屋で彼らは何も知らないそうです」
「そして件の部屋は物置だと説明を受けているそうです」
「ふむ。三階は?」
「それなのですが、上級生の部屋ですので我々には少々荷が重いのでオッタヴィアーノ様にお願いできないかと存じますがいかがでしょう?」
「我は無理だ」
いや、それは無いぜ。俺たちだって無理だ。
「お主ら上級生に知り合いはおらんのか?」
「六十五期生に隣国のバルベリーニのマルキオッレ様と、あとはそのご同輩くらいしか、、、」
「そ奴らに頼めば良かろう」
「それが先日少々仲違いをしてしまいまして」
「何があったのだ?」
王子が俺を見たので俺から話す。
「それがですね、あまりにも食堂の食事に文句ばかり言うので嫌な顔をしてしまいまして」
「ああ、それは嫌だな。飯に文句を言う奴に碌な奴は居ない。我もそいつが嫌いになったわ」
それは心強いがそんなんで良いのか?
「まあ、我が出ても構わぬのだが、我はアカデミーでは鼻つまみ者でな」
「そんな馬鹿な」
めっちゃ親しみやすくて良い人じゃん。
「王都の王子に傷でも付けたら首を切られるのではと皆が怖気付いてしまってな。剣術の稽古すら相手がおらぬ」
あ、なるほど。それはそうかも。俺も嫌だわ。
「それでぶつかり稽古のない錬金術へ?」
「まあそんなところだ。早く卒業する必要もないし興味もあったのでな。そもそも剣術も馬術も兄たちにしごかれて育ったからアカデミーで学び直す事もなかったし、それにまあ、王族に戦以外の知識がある者がおった方が使いようがあろう」
そうだよな。王子が十五人も居るんだから能力に個性があった方が良さそうだ。
「では、、、?」
「調査はお主らに任せる」
いや、そんなこと言わずにちょこっと調べるだけでもいいからさ。
「どんな奴かも分からんのか?」
「何やら気難しいお方で、上の部屋の足音がうるさいと苦情を入れるようなお方のようです」
「そうそう。ハーン家のご子息が、俺を知らぬのかと一喝されたそうで、、、」
「ふーん、アイツかな。教会騎士を目指すとか言って神学を取ってる変人」
「変人ですか」
「軍で国に貢献するというからアカデミーで教育が受けられるというのに国ではなくて神に忠誠を誓うというのだから筋違いだろ?」
まあそうか。これでも一応税金が注ぎ込まれて俺たちがあれこれ勉強できるんだもんな。
「なんでも、写本にばかり明け暮れて、ちっとも武術が成長しないからもう六年も居るのだとか」
あ、留年してるのか。余計に厄介そうだな。
「普通、教会騎士というのは各領の三男四男それ以降が出家させられて就くものなのだ」
貴族が出家して修道士になって教会を盗賊から守るのが教会騎士だもんな。オッタヴィアーノ氏は『出家させられて』と言っていたが、やはり進んでなるものでもないのか。そりゃあ結婚するなって事だから若いうちから目指すものではないか。なるほど変態だ。
「それがどうだ。奴はシュトレニアの第一王子のはずだぞ?」
おお、王子の婚約者のキアラ王女のお兄ちゃんか。こんな所でそんな繋がりが出てくるとは。
すると王子が立ち上がって改めてオッタヴィアーノ氏に礼をした。
「オッタヴィアーノ様、その方をご紹介いただけませんか? その方は私の義兄になる人です」
オッタヴィアーノ氏は意外そうに大きく目を見開いた。
「そうか、、、我も面識はないのだが、そういう事ならひと肌脱ぐとしよう。人と人を繋ぐとのは王族の勤めでもある」
そう言ってオッタヴィアーノ氏は立ち上がった。
「ならば行くぞ」
え、今?
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皆さまGWはいかがお過ごしでしょうか?
僕は年末寒くてパスしたベランダの大掃除をしました。
地味ですが達成感はありました。




