No.03
本日は二話更新です。
ドスン!
勢い良く地面に倒れこむ。
衝撃が体全体を通り過ぎる。
痛い……すごく……
でも、あの男ほどじゃない……
痛みで呆然としているとユーリという青年がこちらに慌ててくるのがわかる。
「リオン!!何してるんだい?!こんな小さな子落とすなんて!」
ジェイドを見るとユーリに送っている視線が微かに鋭くなっているのが分かった。
その隙にユーリが私を抱き上げようと腕を伸ばす。
そういえばこの人は魔族なのだろうか?
じっとユーリの深緑を見つめる。
瞬きもせず見ていると何故か今度はユーリは自分の顔を触りながら慌てだした。
「なになに!?僕の顔に何かついてるの!?そんなじっと見つめられると照れるよ!」
それを無視してじっと見つめる。
今度は後ろを向いてリオンに助けを求めている。
「ちょ……ねぇリオン!これどうすればいいの!?抱き上げていいの?」
しかしリオンは自分の内側を探るのに忙しいようで全然聞こえてないらしい。
「……えと……」
ユーリはジェイドに助けを乞おうと視線を向けようとしたが何故か怯えて言い出せないで固まってしまった。
そんな事している間に私はユーリの内側を探り終えていた。
この人魔族じゃない……!
顔が引きつるのがわかる。
また目から水が出てくる。
喉から空気が締め出される。
「——っ!——っ!」
大粒の水が目から溢れる。
そばでユーリの騒ぐ声が聞こえる。
「え!?ちょ……えーーーっ!僕!?僕のせいなの!?僕怖い顔してた!?待って待って!!なにが怖いの!?この無駄にキラキラしてる金ピカの髪!?それともこの苔みたいな緑の眼!?なになに!?なんなの!?ちょとリオン!!君ボーッとしてないで助けてよ!!」
意識の外で、この逃げたくなるような気持ちって“こわい”って言うのかな?なんて思ったりしてその“こわい”に私は体を支配されていた。
ユーリの叫びでハッと現実に戻ってきたリオンはこちらに近づいてきた。
「……なぁ、ユーリ。この子ちょっとおかしくないか?ずっと声出てないけど……」
「あ……本当だ。」
そんなユーリたちを見かねたように後ろからジェイドが近づいてきた。
スッと後ろから抱き上げられる。
抱き上げた先にある首に思いっきり抱きついた。
落ち着く……。
「先ほどもこうして泣いていたのですがその時も声が出ていませんでした。偶然声が出なかっただけだと思っていましたが、そうでは無いようですね。医者に診てもらいましょう。」
少しずつ水の勢いが収まってくる。
それでもジェイドと離れたくなくて服にしがみつく。
それに気がついたジェイドが顔をしかめながらこちらを見た。
「服が皺になる。離せ。」
それに反対の意味を込めて首をブンブン振る。
それを見て諦めるようにジェイドはため息を吐くとリオンとユーリを見た。
二人はビクリとする。
「リオン殿下、外の衛兵に侍医を呼んでくるように言ってはもらえませんか?私はこの子供を持っていますので。」
「わ……わかった。」
そう言ってリオンは外に居るという衛兵に声をかけに行った。
私は部屋のソファに座らせられていた。
目の前には初老の男がニコニコして座っている。
左隣にはジェイドが仕方なく座っている。
私がジェイドの服を絶対に離さなかったからだ。
しかし座るためには離すことを余儀なくされたが、握る場所を移してジェイドの右腕の袖を握ることにした。
後ろにはリオンとユーリがこちらを覗き込んでいる。
そんな中一番最初に口を開いたのは一番不機嫌そうなジェイドだった。
「で、どうなんです?この子共の様子は。」
その声に後ろの二人はビクリと身を震わせるが初老の侍医は何事もないようにニコニコとしている。
そうだこの人の事はニコニコ侍医と呼ぼう!
そのニコニコ侍医が穏やかに口を開いた。
「これは精神面からきていますな。トラウマになる位の衝撃的なことが起こり口をきけなくなってしまったと考えられます。喉や口の中にはなにも異常はありませんでしたし……。時間が経てば治るものかと。」
トラウマの部分でよく反応したのがリオンとユーリだ。
侍医の説明にリオンたちは納得した。
そしてジェイドは侍医に「ご苦労」と伝えると侍医は部屋を出て行った。
よくわからない話を長々と聞かされて、私は水を流しすぎて疲れていたのか眠気が唐突に襲ってきた。
意識が朦朧として頭がガクガクと揺れる。
安定を求めてジェイドの腕に寄りかかった。
そして静かに意識が遠のいた。
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