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No.03

「————————————っ!!!!!!!」


目から大量の水が頬を流れて男の服に次々と落ちていく。

音の出ない喉から感情の渦が漏れていく。

空気の出入りする音だけが聞こえる。


そんな私を見て男は何故か黙りこくりこっちを見ているだけだった。


「わかった。私はお前のことを離さない。お前と一緒にいる。」


「ジェイド様……多分泣いている理由は……ジェイド様の言葉ではないかと……」


そばでこの様子を見ていた先ほどの侍女が呆れたように言う。


「そもそもジェイド様、こんな小さな女の子に汚い顔なんて言うものではありません!きっと傷ついてしまわれたのですわ。それだけでも傷つくことですが……こんな小さな女の子の顔を鷲掴みにするとは何事ですか!お謝りください。」


堂々と物怖じせずに侍女は真っ直ぐにジェイドと言われた男を見た。

侍女に言われたジェイドはこちらを見ると自分の袖を水が流れている目に押し当てた。

何も言わずに水を拭っていく。

口の汚れたところもゴシゴシと拭う。


鼻から垂れる水をズビッとすするとジェイドはポケットから真っ白なハンカチを取り出し私の鼻にあててきた。

何をすればいいのかわからず呆然としているとジェイドは思いっきり鼻をつまんできた。

少し痛い……

そのままジェイドはハンカチを取り傍にいた侍女にポイッと渡す。

侍女はそれを受け取り通りすがった侍女に洗濯に出すように言いつける。


ジェイどの突然の行動にボーッとしていたらいつの間にか目から流れる水が止まっていた。

何か暖かなものが身体中に広がる。


なんだかその暖かさが心地よくてついつい顔が緩んだ。

そのまま、ジェイドに抱きつく。

今度はジェイドは何も言わずに受け止めてくれた。


「おい、私もこいつと風呂に入る。着替えを部屋から持ってきておいてくれ。」


「はい。かしこまりました。」


そして私を連れて侍女に案内されながら水場に向かった。

不思議なことにジェイドも一緒に来るということを聞いてあの嫌な予感は体を覆うことはなかった。


そして水場に着いたジェイドと私は着いてこようとする侍女をジェイドが扉の向こうに残して扉を閉めた。

ジェイドの腕から一度降ろされる。


「おい、服ぐらい自分で脱げるだろう。脱いだ服はそこに置いてある籠に入れておけ。あとで侍女が洗濯してくれる。」


それだけ言うとジェイドは自分の服をバサバサと脱ぎ始めた。

私も自分の服と格闘しながら脱ごうとするがなかなか難しい……。

私がいつまでもモゾモゾやっている事に焦れたのか既に脱ぎ終わったジェイドが、脱げかかった服を上から一気に引っ張って脱がしてくれた。

自分の体が露わになる。


「……お前……いや、何でもない。」


私の体を見て言葉を濁すジェイド。

こころなしか眉間のシワが増えたような気がする。

何を見てそんな顔になったか不思議に思って自分の体とジェイドの体を見比べる。

ジェイドの体はボコボコしていて硬そうだ。

服を着ているときは気がつかなかったが腕も足もお腹も程よく筋肉が付いている。

肌は白い。

たまに傷跡のようなものも見えるがそれでもジェイドの体は綺麗に見えた。


ん?

白い……ああ!


自分の体を見る。

色が変わっているところが沢山ある。

確かエディーが説明してくれてたアザというものだ。

お腹、腕も、足も……顔にも少し付いている。


ジェイドが黙ってしまった理由に気がつき思わず口角が上がる。

そしてそのままアザを指差す。

するとジェイドが反応した。


「……ああ。別に気にするな。ただ単に気になっただけだ。」


反応を返してくれた事に体がウキウキとする。

そのままこれはあの男に“なぐられて”できたものだと身振り手振りで説明する。

ジェイドが喜ぶかと思ったのにジェイドは顔を益々顰めさせ何も言わずに水があるところに連れて行かれた。

水が入った小さな桶を頭上でひっくり返した。

頭からドバッと水が降ってくる。


「!」


驚いて固まっているとジェイドも自分に水を被る。

置いてあった白い塊を縦に長いタオルに擦り付けるといい匂いがそこから匂ってきた。

少し見ているとタオルが泡立ち始めた!


「!」


思わず駆け寄ってそのアワアワを掴もうとするがその前に水場に貼ってあるタイルで足が滑った。

幸いな事にジェイドがずっと見ていてくれていたらしく完全に地面と額をつき合わす前に腕を掴んで止めてくれた。


「おい、ここは滑る走るな。足元をよく見ろ。」


ジェイドがそう言って私を立たせてくれた。



そのままジェイドに頭や腕などを優しく洗われジェイドも自分で自分の体を洗った後、水場を出てタオルを私に巻きつけ自分の腰のところにも巻いてドアの向こうにある寝室に向かった。


寝室のベッドには新しいシーツが掛けられており、汚れは跡形も無くなっていた。

ベッドの上には二人分の着替えが用意されていた。

それに着替えるタイミングよく扉からノック音が響いた。


コンコン


「ジェイド?俺とユーリ殿だ。あの子の目が覚めた話を聞いて来た。」


知らない声にビクリとする。

咄嗟にジェイドの後ろに隠れた。


そんな私をジェイドはチラリと見て扉の方に向かった。

躊躇いもなく扉を開けるとそこには二人の若い男がいた。

一人は藍色の髪と薄い空の色の瞳。

もう一人は金色の髪に深い緑の瞳だった。

ジェイドの影から覗いている事に二人は気がつかない様子だ。

ベッドの方をジェイドを避けて見ている。

そんな二人を見てジェイドは口を開いた。


「殿下方あの子なら私の後ろに隠れております。」


淡々と言うジェイドに何故か二人は微妙に及び腰になりながら視線を下に向ける。

そして私と目があった。

最初に口を開いたのは藍色の方だった。


「おはよう。初めまして俺の名前はリオンよろしく。」


表情を緩ませて言う藍色に続くように金色の方も口を開いた。


「僕はユーリって言うんだ!よろしくね!初めて見たときから思ってたけど…君の目すごく綺麗だね!」


グイグイと迫ってくる二人になんだかジェイドと同じような心地よさは感じない。

……さっきのように逃げたい衝動のようなものが湧き上がる。

ジェイドの足に必死にしがみつく。


それに気がついたジェイドが私を軽々と抱き上げた。

その行動に私は勿論他の二人も驚く。

ちゃんとしたしがみつく所ができて遠慮なく首にしがみついた。

そんな私をジェイドの腕はしっかりと支えてくれた。


「……ジェイド……?どうした?」


藍色が不思議そうに聞く。


「いえ、怖がっているようでしたので。」


「そうなのですか?よくお分かりになりましたねジェイド殿。」


感心したように金色が言う。

そんな言葉を交わしていると藍色が何かに気づいて、ジェイドに声をかける。


「ジェイド、その子とお前の髪が乾いていないじゃないか?なんでさっさと乾かさなかったんだ?」


「それは殿下方が丁度お越しになったからですよ。」


「な……なるほど……すまん。」


淡々と言い返すジェイドに怯む藍色。

すると藍色が手を私たちの前にかざした。

ジェイドと私の体に暖かな風が勢いよく通り過ぎる。

恐る恐る髪に触れると……乾いてる。


しかし今のは一体なんだ?


その疑問はすぐに解消された。


「リオン様水飛ばしの魔法をかけて下さらなくとも自分でやったものを……。とにかくありがとうございます。」


……ジェイドは今魔法と言ったか?


驚きのまま目を見開いてリオンと呼ばれた藍色の青年を見る。

その視線に気がついたのかリオンがこちらを見た。

目を合わせたまま青年の内側を探る。


ジェイドの静かな波とは違い、滝から流れ落ちる水のように荒々しい波の奔流があった。

無秩序な流れにリオンという青年は、無理やり柵を作って流れを変えてなんとか自分でその水を汲み取れるようにしているらしい。


とりあえずリオンが魔族だと分かってホッとした。

その思いのままジェイドの腕の中からリオンに腕を伸ばす。


それに気がついてリオンが私を抱き上げた。

真近でリオンの薄い青を見つめた。


そして私はリオンの魔力の滝を整理した。

どこに行けばいいのかわからなくて、右往左往している水に正しい出口へと導くだけの簡単で単純な作業だ。


しかし、突然自分の中が勝手にいじられているのが分かったのか距離を取ろうと慌てて私を離してしまう。

そのまま私は地面へと落下した。


今回もお読みいただきありがとうございます!

もう気づいてるとは思いますが……前回エルの声が出ないことが判明しましたが今回はそこにはあまり触れてはいないのです!

それは次回へと持ち越しになりました!

さて、今回でジェイドの優しさが垣間見えたのではないでしょうか?

言葉は圧倒的に少ないですが……あれでもジェイドの精一杯のゴメンなんです!

許してやってください笑

ではではまた次回でお会いしましょう!

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