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『犬神物語』〜転生少女と不思議な絆〜 《改稿版》  作者: 犬神 匠
第二章 巡り合う運命

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第5話『がんばる理由が、ひとつ増えた日』

部活の時間が近づいてきたので、私は練習着を手に持って更衣室へ向かった。

扉をそ〜っと開けると、すでに何人かの部員が着替えを終えて、鏡の前で髪を整えているところだった。


ロッカーを開けて、制服のボタンを外しながら――

ふと鏡に映る自分をチラッと見る。

窓からの光が髪に差し込んで、ほんのりキラキラしてて……なんかちょっとカッコいいかも?


よしっ、気持ち切り替えてっ。


「さて、と……」


制服を脱いで、

パパパッと部活ジャージに着替え完了っ☆


いつもやってるはずの動作なのに、なんだか背筋がピンって伸びる感じ。やっぱり、部活って始まる瞬間が一番ドキドキするんだよね〜。


よ〜し、最後にポニテ準備っ♪

髪ゴム、どこだどこだ〜〜っ!


長めの髪を両手で集めて、ぐっと上に持ち上げる。

ふわ〜って髪が揺れて、ちょっと気持ちいい♪


指先でゴムをくるくるっと巻いて、キュッと締めると――耳元にさらっと髪が落ちてきて、ちょっとだけゾクッとした。


ポニーテールにすると、視界が広がって、気持ちもシャキーン!


「深呼吸して……うん、今日もがんばろっ。」


鏡の中の自分に、そっと小さく笑いかけて――

それから、部室でラケットや水筒を準備して、ゆっくりテニスコートへ向かった。

すでに新しい部員たちが集まってて、ラケット片手にウォーミングアップ中!

みんなやる気まんまんだ〜っ。


コートに出ると、夕方の光がふわっと包み込んでいて、

空はうっすらオレンジ。

昼間の暑さもすっかり引いて、風が涼しくて気持ちいい〜。

ラリーしてる先輩たちを見ながら、私も自然と気が引き締まってきた。


練習が始まると、私はもう夢中でボールを追いかける、追いかける!


(テニス部、入ってよかったなぁ……)


正直、最初はちょっと迷ってた。

でもいまでは、部活が楽しすぎて仕方ないっ!

ボールを追いかけるのが本当に楽しくて、毎日が待ち遠しいくらい!


先輩たちと一緒に練習してるとね、

なんかこう――ふわ〜っと、前の人生のことが、よみがえりそうになる瞬間があるんだ。

……でも、まだぼんやりしてて、よくわかんないし。

誰にも言えてない、私だけの、ひみつっ。


そして――今日の練習試合。

相手は、なんと――高橋たかはし玲奈れな先輩!


試合が始まると、ひたすらボールを追いかけて、走る、走るっ!まるで前世でボールを追ってた犬みたいに――って、まんまじゃん!?


でもその感覚が、気持ちよくて、楽しくて。

気づけば、夢中でコートを駆け回ってた。


……だけど、最後の最後でミスしちゃって、負けちゃった〜〜〜!


「素敵な粘りでしたわ、犬神さん。

あんなふうに楽しそうにプレイされていると、見ているこちらまで気持ちがよくなりますわね」


嬉しくて、顔がじんわり熱くなる。


「今日の試合、本当に勉強になりました!

もっと練習頑張るので、またいつか挑戦させてくださいっ!」


「ええ、楽しみにしていますわ」


玲奈先輩は、やわらかく微笑んでくれて――

それだけで、背中を押された気がした。



部活が終わって、私は部室へ。

汗をかいたままだと、なんだかお肌がベタベタして気持ち悪いから、タオルでやさしくポンポン♪ それから制服に着替える準備っ!


部活ジャージを脱いで、制服のシャツを羽織ると――

ふぅ〜って汗が引いていくのがわかる。

鏡越しに髪の乱れも、手ぐしでそっと整えて……

よし、これで大丈夫っ。

ゴムをほどいてポニーテールを解くと、髪がふわっと広がって、ちょっと落ち着いた感じ♪


リボンをキュッと結んだら、よしっ、切り替え完了っ!


(ふぅ…今日もがんばったなぁ)


静かにドアを開けて――私は、ゆっくりと部室をあとにした。


テニスコートの横を通って、廊下へ出ると……


あっ――前から歩いてくるのは、長谷川はせがわ信也しんや先輩!?


「おっ、犬神じゃないか」


「長谷川先輩っ!」


長谷川先輩は高校三年生で、バスケ部のキャプテン。

クールで大人っぽいのに、すごく話しやすくて――ズルいくらい頼れる先輩!


「さっきの試合、すごかったな。ラリー、めっちゃ続いてたじゃん」


わ〜〜〜〜!?見てたの!?

うわぁ……照れる〜〜〜っ!!


「え、見てたんですか!?うわ、ありがとうございますっ!」


思いっきり笑顔でそう返した。

顔、ちょっと熱くなってたけど……っ!


先輩は、なんでも真剣に取り組む人で、

後輩のこともさりげなく気にかけてくれて――

私がすごく尊敬してる先輩のひとり!


「次も頑張れよ。応援してるからさ」


その一言で、胸の奥がじんわりあたたかくなって――

「よーしっ、もっと頑張っちゃうぞ〜!」って思えた。


学校の門を出て、いつもの下り坂を歩き出すと、

夕方のやさしい風がほっぺを撫でてくる。

空はほんのりオレンジで、街灯がぽつぽつ灯り始めてる。


「今日は、疲れたけど……すっごく充実してたなぁ〜♪」


独り言みたいに呟きながら、私は家までの帰り道を歩いていく。

住宅街はしんと静かで、どこからか夕飯のいい匂いが……あれ?お腹鳴りそう。


いつもの通学路をのんびり歩きながら、今日の出来事を頭の中でぐるぐる振り返る。

試合のこと、先輩の笑顔……うぅ〜、思い出すたびに顔が熱くなっちゃう〜〜!


家の近くまで来ると、ちょっと安心。

窓の向こうから家族の気配がして、ほっとする感じ。


玄関を開けると――

台所から、夕ごはんの匂いがふわっと流れてくる。


「ただいま〜っ!」


声をかけると、キッチンからママの声が返ってきた。


「おかえり、千陽。部活おつかれさま」


「ありがと〜!ちょっと着替えたら、ゲンキのお散歩行ってくるね!」


「ご飯の前には帰ってきなさいよ〜」


「うんっ、すぐ戻るー!」


自分の部屋に入りながら、制服のリボンをほどいて、クローゼットをゴソゴソ。お気に入りのカジュアルコーデに着替えて、髪をちょちょっと整えて、いざリビングへ!


玄関では、ゲンキがリードの前で「まだ〜?」って顔して待機中。しっぽをフリフリしてて……もう、かわいすぎかっ!


「はいはい、お待たせ〜!今日はいっぱい歩くよっ!」


ゲンキの頭をなでなでして、リードをしっかり握って、玄関のドアをオープン!


ゲンキは私の隣でテッテケ歩きながら、たま〜にこっちを見上げてくる。

そのたびに「なに〜?」って笑いかけると、しっぽぶんぶん振って満足そう。

まるで「ちゃんとついてきてる〜?」って確認してくれてるみたいで、もう愛おしさ爆発!!


「だいじょうぶだよ〜、ちゃんといるって♪」


ゲンキの背中をポンって軽く叩いて、歩くテンポを合わせる。


夕日に照らされたゲンキの毛並みが、ふわっと金色に輝いてて…… うん、ほんとに可愛い。尊い……。


そのとき、ふと思ったの。


――あのね、私……前世で犬だった頃の“ご主人様”の気持ち、ちょっとだけ分かった気がする。

そばにいてくれるだけでうれしくて、ただ一緒にいる時間があったかくて。


……たぶん、ご主人様も、私と同じ気持ちだったんじゃないかな。

だから、私もゲンキをもっともっと大切にしたいなって思う。


今日は、いつもより長めにお散歩しようっと♪


そんなことを思いながら、

私はそっと、ゲンキの頭を優しく撫でた。


そのぬくもりを、確かめるみたいに――


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