表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『犬神物語』〜転生少女と不思議な絆〜 《改稿版》  作者: 犬神 匠
第一章 この世界で、もう一度

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
4/15

第2話『ただいまの、その先に』

授業が終わると、私はすぐに家に帰ることに決めた。

春の風が心地よくて、温かい日差しが頬を撫でていて。

歩くたびに、足取りがどんどん軽くなっていく。


最近なんだか疲れてたけど、ゲンキが待ってると思うだけで、急に元気が湧いてきちゃう。


玄関のドアを開けると――あっ、やっぱり待ってた!

ゲンキ、しっぽをフリフリしながら、私の方に猛ダッシュ!

柴犬のオスで、目がキリッとしてて、あったかそうな茶色の毛がフワッフワ!


この子、きっと毎日こうやって待っててくれるんだよね。


「ゲンキ!ただいま〜っ!」


私は笑顔でゲンキに駆け寄って、膝をついてぎゅっと抱きしめる。


「ワンッ!」


ゲンキはすっごく嬉しそうにしっぽを振って、顔を腕にすり寄せてきた。

このあったかさ、やっぱり落ち着くなぁって思う。


ああ、ゲンキ、ほんとに大好き……!


そのとき、ふと――


「ワン……」


あれ?あれあれ?

ちょっと待って、今、私……何言おうとしたんだろう。

ワンって、私、犬じゃないよね?

でも、なんで無意識に出ちゃったんだろう。


そうだよ、私は人間だってば!

……あれ、なんか変な感じ。でも、まあいいや。


「もう、私は犬じゃないんだから……。」


ふぅーっ……。

思いっきり深呼吸して、胸の奥まで空気を吸い込む。

ちょっとだけ、落ち着いてきたかも。


そんな私の気も知らずに、ゲンキはしっぽをブンブン!

私の腕に、すりすり顔をうずめてくる。

も〜、くすぐったいってば〜!


……でも、その温もりがね、なんかこう、心にじんわり染みるんだよね。

あったかくて、柔らかくて――ちょっとだけ、安心しちゃった。


でも、心のどこかに、もや〜っとした違和感が残ってた。


……たぶん。

前の記憶が、まだ消えてないせいかも。


だって、気を抜くと、つい「ワンっ」て言いそうになっちゃうんだもん!

おかしくない!? いや、おかしいでしょ!?(自覚はある!)


でも、そんな私のことを丸ごと受け止めてくれるのが――ゲンキなんだよね。


ゲンキは、私のいちばんの親友で、どんなときも味方でいてくれる。

泣きたくなったときも、へこたれそうなときも、

ゲンキがそばにいると、「うん、なんとかなるかも!」って思えるんだ。


ほんとにもう、頼れるワンコなんだからっ!


「今日は何して遊ぼっか〜?」


「ワンッワンッ!」


ゲンキはパァーッとしっぽをブンブン振って、おもちゃのある方へ一目散!


うわっ、いきなりスイッチ入った!?


「待って〜っ!」


思わず笑いながら、私もダッシュでゲンキを追いかける。

そのままリビングへレッツゴー!


……で、その途中。なんとなく視線が窓の外に向かっちゃって――


「あれ? 空、なんか霞んでる……。春の黄砂かな? それとも花粉のせい?」


なんて思ってたら、ガチャッて玄関のドアが開く音が聞こえた。


「――あっ、ママが帰ってきた!」


リビングにいたゲンキが、ぴくっと耳を動かして――

あっちへこっちへ、そわそわしながら玄関のほうへ駆けていく。


「おかえり、千陽」


聞き慣れた、あったかい声。

耳に届いた瞬間、私の顔が自然にほころぶ。


「おかえりなさ〜い、ママっ!」


ママはにっこりしながらバッグをソファに置いて、まずはゲンキをなでなで。

ゲンキも「へへ〜ん♪」って顔でしっぽをふりふり。

私のところに来て、そっと手を置いてくれた。


その瞬間、心がふわっと溶けるみたいに安心して――


(ママの手って、なんでこんなに落ち着くんだろう……)


「今日はどうだった? 学校。」


「うんっ、元気に過ごしたよ! 《《ちょ〜っとだけ》》寝ちゃったけど、楽しかった!」


私がちょっと照れながら言うと、ママがふふって笑って――


「また寝ちゃったの?」


「えへへ。でも、そのぶん勉強もがんばったんだよ! 健康のことも、いっぱい調べてきたの!」


「さすが千陽ね。健康には気をつけないとね」


その言葉が嬉しくて、

思わずにっこにこでうなずいちゃった。


そのとき、ゲンキが「ボクも忘れないで〜!」って感じで、部屋の隅をくるくる回ってた。


「ゲンキも元気ね〜」


「うん! 彼はほんっと、私の元気の源っ!」


私がニッコリ言うと、ママも同じように微笑んでくれる。

ゲンキは私たちの会話を聞いてるみたいに、しっぽをぴょこぴょこ振りながら、楽しそうに見守ってた。


「さぁ、今日は何かおいしいものでも作りましょうか?」


ママの声に、私の目がぱっと輝いた!


「うんっ! ヘルシーなやつがいいな〜! 最近、気になるレシピ見つけたんだ〜!」


ゲンキはそんな私たちのやり取りが楽しいみたいに、またまたぴょんぴょん駆け回ってる。


――毎日、こうしてゲンキと過ごせる時間があるってこと。

それがきっと、私にとっての一番のしあわせ。

……うん、ほんとに、そう思うんだ。



ゲンキと一緒に外に出ると、ひんやり爽やかな風がほっぺをすり抜けて――


「うわぁ〜! これはもう、お散歩日和ってやつじゃん!」


思わず、ぴょんっとその場で跳ねちゃう。


空はどこまでも青くて、ぽかぽかの日差しがちょうどいい感じ。

歩くだけで、体も心もぽかぽかしてくる。

うん、これはもうテンション上がるしかないっ!


「行こっか、ゲンキ!」


ゲンキは、しっぽをぶんぶん振りながら、足元にぴょこんと駆け寄ってきた。

そのまま、並んでいつもの散歩道へ。


「ねぇゲンキ、今日もいい運動になるね〜!」


ゲンキはピン!としっぽを立てて、ちらっとこっちを見た。

その顔がなんだか得意げで、「えっへん!」って言ってるみたいで――思わず笑っちゃう。


「ふふっ、いいねいいねっ。元気がいちばん!」


すると、「ワンッ!」って、ぴったりのタイミングで返事。


ほんと、会話してるみたい!


そのまま、ゲンキが軽やかに駆け出して――

つられて、私も走り出す。


道の先には、あたり一面に野菜畑が広がっていて、

春の日差しの中で、葉っぱが元気に揺れてる。


しばらく歩いていると、見覚えのある人影が目に入った。


「あっ、新居田にいださん!」


「おや、千陽ちゃん、ゲンキも元気だね」


にこにこと笑いながら手を振ってくれる新居田さん。

近くで畑をやっていて、こうして季節の野菜を分けてくれる、やさしいご近所さんだ。

手には収穫したばかりの新鮮なお野菜がたっぷり入った袋!


「こんにちは、新居田さんっ! ゲンキも絶好調ですよ〜!」


私が元気よく答えると、ゲンキはうれしそうに駆け寄っていって、「なでて〜♪」って顔でしっぽふりふり。

新居田さんは優しくゲンキの頭をなでなでしてくれた。


「いい子だねぇ。元気が一番だよ」


「はいっ! ゲンキと一緒だと、なんだか安心するんです」


ちょっと照れながら言ったら、新居田さんはにっこり笑って、なんと! お野菜の入った袋を私に手渡してくれた!


「それじゃあ、これ、持って行きなさい」


「えっ!? わ、わぁ〜! ありがとうございますっ!

こんなにたくさん……!」


袋の中をチラッと覗いて、もうテンションMAX!

私の大好きな野菜がカラフルにぎっしり。

これはもう、ヘルシーメニューまつり決定♪


「うんうん、新鮮だから、しっかり食べなさい。

これを食べると、元気が出るぞ!」


「はいっ! いっぱい食べて、元気になりますっ!」


「健康には気をつけなきゃね、特に若い時からしっかり食べることが大事だ」


「はーいっ、覚えときますっ!」


私はしっかりうなずいて、大事そうに袋をぎゅっと抱えた。

ゲンキは、うれしそうに私の足元でそわそわしながら、しっぽをふりふりしてる。


「本当にありがとうございます! 新居田さんの野菜、いつもおいしくって、家族も大好きなんです!」


新居田さんは嬉しそうに目を細めて、うんうんと頷いた。


「そう言ってくれると嬉しいよ。

……そうだ、夏になったら、収穫体験してみるかい? トマトがちょうどいい頃になるからさ」


「えっ、いいんですか!? やってみたいですっ、楽しそうっ!」


「ふふ、元気があっていいな。じゃあ、またね。

元気でな!」


「はいっ、また〜っ!」


手をぶんぶん振ると、新居田さんはにっこり笑って、畑のほうへと戻っていった。


私はゲンキと並んで歩きながら、手にした袋をじ〜っと見つめる。

中には新居田さんから頂いた新鮮なお野菜がたくさん!

新玉ねぎに春キャベツ、それにスナップエンドウも入ってる〜っ!

ぴっかぴかで、見るだけで元気出そうっ♪


「ゲンキ、これでまたお野菜生活スタートだよっ♪

一緒に元気に過ごそ〜!」


よ〜し、サラダにスープにおひたしに……ふふふ、私の健康レシピがまたひとつ進化しちゃうかもっ♪


ゲンキは「ワンッ!」と応えてくれて、私の横をぴょこぴょこ歩き続ける。


――ほんと、今日はいいお散歩日和だなぁ。


こうやってゲンキと歩く時間が、なんだかどんどん宝物になっていく気がする。


さてさて、次は何しようかなっ? 

楽しいこと、いっぱい考えちゃお〜!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ