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『犬神物語』〜転生少女と不思議な絆〜 《改稿版》  作者: 犬神 匠
第五章 命の輝き

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第19話『おそろいのキーホルダー』

春の風が、新しい制服のスカートをふわっと揺らした。


中学校の校門を出たところで、


「千陽。中学入学、おめでとう」


ママが、にこにこしながら私の肩をぽんっと叩いた。


「今日は、おじいちゃんが来るよ。それにみっちゃんの家族も、一緒にお寿司食べに行くからね」


その日の夜、ちょっとした特別イベントが決定! 

なんと、家族みんなでお祝いのお寿司を食べに行くことに!


「えっ、みっちゃんの家族も!?」


なんか意外でびっくり。

でも、ちょっとワクワクする。


「そうよ。せっかくだし、みんなでお祝いしましょうってことになったの」


みっちゃんとは幼稚園のころからずーっと仲良しで、

お互いの家族同士も顔なじみ。

でも、こんなふうにみんなで一緒にお祝いするのは、なんだか新鮮だった。


夜になって、みんなで近くの回転寿司へ!


おじいちゃんは、


「千陽も中学生かぁ〜。すっかり大きくなったなぁ」


って、しみじみした顔で私を見ていた。


私、おじいちゃんのことだ〜いすき!


小さい頃からたくさん遊んでくれて、

いっぱいお話もしてくれる。


おじいちゃんが来ると、なんだか特別な日になるの。


「ちーちゃん、お寿司なにが好き?」


みっちゃんが隣でお皿を取りながら聞いてくる。


「マグロかな〜。みっちゃんは?」


「私はエビ! でも今日は、いっぱい食べるよ!」


「わたしも〜!」


「ぼくはたまご!」


元気に声をあげたのは、向かいに座ってた弟のさとし。


小学三年生になったばっかりで、

最近は、とにかく食べるのが大好き!


「さとしくん、たまご好きなんだ?」


みっちゃんが楽しそうに聞く。


「うん! 甘くておいしいし、何個でもいけるよ!」


「それなら、もっともっと食べなきゃね!」


みっちゃんが笑うと、さとしは得意げに胸を張った。


「あとね、ぼくピアノもすき! こないだ、新しい曲ひけるようになったんだ〜!」


「へぇ〜! すごいねっ!」


さとしが自慢げに話す横で、

おじいちゃんがやさしそうに耳を傾けていた。


「そっかそっか。じゃあ今度、また聴かせてくれなぁ」


「うんっ!」


おじいちゃんが嬉しそうに笑うと、

さとしは元気いっぱいに頷く。


そんなあったかい空気の中、

みんなでわいわい笑いながら、お寿司を堪能!


おじいちゃんが「好きなもの、どんどん取っていいぞ〜」って言ってくれたから、私も遠慮なくマグロを二皿目!


おなかも心もぽっかぽかで、なんだか幸せな気持ちだった。

こうやって、大切な人たちと笑い合える時間って、

やっぱりいいなぁ。


* * *


そして次の日の放課後、

みっちゃんと一緒に、ちょっと寄り道することに。


「ちーちゃん、雑貨屋さん見に行かない?」


「いいね〜!いくいくっ」


その雑貨屋さんには、なんと犬グッズがずら〜っと並んでて、ふたりして大興奮!


「見て!このキーホルダー、ユキに似てない!?」


みっちゃんが白いワンちゃんのキーホルダーを手に取ったの。


「ほんとだ〜! かわいい〜!」


「おそろいで買おっか?」


「うんっ、買う〜!!」


ふたりでおそろいのユキそっくりキーホルダーをお買い上げ!


「これで、いつでもユキと一緒にいる気分だね♪」


みっちゃんの言葉に、私もつられて笑っちゃう。

キーホルダーをぎゅっとにぎりしめながら、心の中で思った。


(中学生になっても、みっちゃんと私は、ずーっと一緒なんだ)


*


みっちゃんは、初めて会ったころからず〜っとサッカーが大好き!


パパがサッカー大好きで、家でもサッカーの話ばっかり。

観戦にも連れて行ってもらってて、

気づけば本人も、すっかりサッカーっ子に!


休み時間も放課後も、いつもボールを蹴ってたっけ。


『プロのサッカー選手になりたいんだ!』


ってキラッキラした目で言ってた。

あのときのみっちゃん、めっちゃカッコよかったよ〜!


私はというと——


あの日、迷子になったときに受け取ったあのボールがきっかけで、なんとな〜くテニスに興味が出てきたの。


ボールを打つのって楽しいなって思って、

気づけば、ラケットを持ってコートへ行くのが日課になってたっけ。


『ちーちゃんは、プロのテニス選手になったりするの?』


って聞かれたことがあって——


『なれるかわかんないけど……でも、テニスはすごく好き!』


って素直にこたえたの、今でも覚えてる。


スポーツは違うけど、

夢を持って、お互い応援しあって――


なんだか戦友(?)みたいな感覚だったなぁ。


ある日の放課後。

夕焼け色に染まった学校のグラウンドで、

みっちゃんがサッカーボールをぽんっと蹴りながら言った。


「ちーちゃんもサッカーやってみる?」


「えっ、わたし? できるかな〜?」


「大丈夫! ボール蹴るだけでも楽しいから!」


おそるおそるボールを蹴ってみたら、びっくりするくらい楽しくて!


「ちーちゃん、意外とやるじゃん!」


みっちゃんが笑ってくれて、それだけでうれしくなっちゃった。


「ボール追いかけるの、楽しいかも……」


二人で何度も何度もボールを蹴って、笑って、転んで、また笑って——そんな時間が私の宝物だった。


「またやろうね!」


「うん!」


そのとき、みっちゃんが言ったんだ。


『ちーちゃんのテニスの試合、応援しに行くからね!』


「ほんとに!? めっちゃうれしいっ!!」


うれしすぎて、思わず顔がにやけちゃう。

みっちゃんの言葉のおかげで、

「よーし、絶対勝つぞー!」って気合も爆上がり!


そして迎えた試合当日——


「ちーちゃん、がんばれー!!」


みっちゃんの声が聞こえた瞬間、

背中をぽんって押されたみたいに力が湧いた。


試合に勝てたのは、あの声のおかげだって、

今でも思ってる。


「みっちゃんが応援してくれたから、頑張れたよ!」


「当然でしょ! ちーちゃんは絶対勝つって信じてたもんっ!」


夢中で笑って、全力で走って、ただただ楽しかったあの頃。


……でも、そんな毎日が少しずつ変わっていくなんて、思いもしなかった。


——あの時までは。

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