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『犬神物語』〜転生少女と不思議な絆〜 《改稿版》  作者: 犬神 匠
第三章 交わる記憶、覚醒の契り

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第9話『夕暮れに重ねた約束』

家に帰ると、玄関まで迎えにきたゲンキが元気よく尻尾を振ってる!


「ただいま、ゲンキっ!」


「ワンっ!」って一声鳴いたゲンキは、私の足元をぐるぐると回って大歓迎モード!

くすぐったくて思わず笑いながら、しゃがみこんでゲンキの頭をなでなで。


「ちょっと待ってね~、お散歩行く前に、ちょこっとだけお部屋で作業してくるから!」


ゲンキは「え~」って顔でちょこんと座り込んだ。お利口さん!


部屋に戻ってノートパソコンを開き、電源をぽちっ。

ホーム画面が立ち上がると、いつもの編集ソフトを開いて動画ファイルを表示させた。


「さてさて、どこまでやってたっけ…?」


クリックしながら前のデータをチェックしてたら、ふと思い出しちゃった。あの春のこと——。


高校に入る少し前、日向町に引っ越してきて、環境に慣れるのが大変だった頃があって。

そんな私に、両親がサプライズでくれたのが、このパソコン!


「千陽、前からパソコンに興味あったでしょ?これでいろいろ挑戦してたらどう?」って、ママがにっこり笑って言ったんだ。


嬉しすぎて、思わずその場でくるくる回っちゃったの。

今思い出しても笑っちゃう。


私はそれから、すぐにパソコンの使い方を調べ始めて、気がつけば健康系の動画を作ってみたいな~って気持ちになってた。


健康のこと、もともと大好きだったから。

食べ物とか、ストレッチとか、睡眠とか――集めた情報をまとめて、誰かの役に立てられたらいいなって。


最初のうちは、文字や画像を並べるだけのシンプルな動画だったんだけど——


「う~ん……字幕、ここで出すのがいいかな? でもちょっと早すぎ?」


そんな感じで、編集ってめっちゃむずかしいって思いながら、何度もやり直しして、やっとできた一本目……!


投稿しても、再生数は伸びないし、コメントもゼロで…。


「うぅ…やっぱり動画作りって、甘くないなぁ…」


だけど、やめたくなかった。

誰か一人にでも伝わったら、それだけで嬉しいから!


「ふぅ…あの頃に比べたら、私も少しは成長したかも♪」


画面に映る新しい編集動画を見つめながら、ちょっとだけ自分を褒めてみたりして!


「よーし、もうちょい手直ししたら、ゲンキとお散歩だっ!」


ゲンキはドアの前でお座りして、しっぽパタパタ。かわいすぎ~!


夕焼けが空をぽわっとオレンジ色に染めるころ、

待ちきれずにソワソワしてたゲンキと一緒に、お散歩に出発っ!


「さぁゲンキ、今日はちょっとだけ遠出しよっか!」


「ワンっ!」


今日の目的地は、ちょっと足を伸ばして天照寺てんしょうじ。そこから日向公園までのルート!

静かで風も気持ちよくって、鳥のさえずりがチュンチュン聞こえてくる。


ゲンキもごきげんでトコトコ歩きながら、私の方を振り返って、しっぽフリフリ~!


お寺の境内に入ると、縁側でおしゃべりしてるおなじみの三人組を発見っ!


「おや、千陽ちゃんじゃないか」


にっこり手を振ってくれたのは新居田さん! お手製の野菜いっぱい入った袋を手にして、いつもの優しい笑顔!


「こんばんは、新居田さん!」


「おやおや、今日も元気そうじゃな~」


隣には、大泉住職(和尚さん)と、サッカーと歴史大好きな森本さんっ! 三人とも湯飲み片手にまったりトーク中っぽい。


「何のお話してるんですか~?」


ってウキウキで近づくと、森本さんがぐいっと身を乗り出してきて——


「いやね、犬神神社で幽霊を見たって噂が出てるんだよ」


「えぇっ!? 幽霊!?」


もう、びっくりしすぎて飛び上がりそうになった!


大泉さんが「まぁまぁ、落ち着きなされ」と言いながら、静かにお茶をすすりつつ説明してくれた。


「夜中に神社の前を通った人が、白い影を見たと言っておってな」


「し、白い影って……え、えぇ~!? 本当に幽霊だったりして…?」


思わず前のめりになったら、新居田さんが「光の加減じゃろ~」って、顎に手をあてて考え中。


「でも、犬神神社は昔から不思議な話が多いからな~」って、森本さんがニヤリ!


「や、やだな~……こわい話って、聞いたら気になっちゃうんですよぉ……」


(でも……そういえば――)


ふと、あのときのことがよぎる。


犬神神社の祭殿の屋根の上で、

白くて、ふわっとしたものが見えたような気がして――


(……気のせい、だよね?)


ぞくっ……。


「う、うぅぅ~やっぱり夜の神社って怖いかも……」


「おいおい、千陽ちゃんまで信じるんじゃないよ~?」って新居田さんが笑うけど、私、思わずむくれちゃった!


「ち、違いますよ! でも……やっぱりちょっと気になるんですっ!」


そんなふうに盛り上がっていた、そのとき——


「幽霊じゃなくて、ただの勘違いじゃない?」


えっ?


振り向くと、そこにはヒカリが静かに立っていた。


「ヒカリっ!」


「こんばんは、犬神さん」


「え、ヒカリもここに来るの?」


「うん。私、ここのお寺に住ませてもらってるの」


「えええーっ!? お寺に!?」


思わず声が跳ねる。


「大泉住職にお世話になってるの」


——そのとき。

ヒカリの足元に、ふわっと白い影が揺れた。


「ワン」


「シローっ!」


ゲンキがぴくっと身構える。

でも、シロは落ち着いた様子で、静かに尻尾を揺らしていて——


「大丈夫だよ、ゲンキ。シロと挨拶してみよっか?」


リードをゆるめると、ゲンキはそろりと近づいていく。


「……ワン」


「クゥン」


鼻先をちょんっと寄せて、

ふたりとも、何かを確かめるみたいに静かに向き合って——


気がつけば、並んでちょこんと座っていた。


(わぁ……もう仲良し!?)


「ふふっ、なんだかすぐに仲良くなれそうね」


ヒカリがやさしく微笑む。


その様子を見ていたら、ふと昼休みのことを思い出した。


「ねぇヒカリっ、そうだっ! またあの展望台に行ってみない?」


「展望台?」


ヒカリが首をかしげる。


「うんっ、この前ふたりで会った日向公園の展望台!

あそこ、本当に好きな場所なんだ~。

ゲンキとも何度も行ってて……」


少しだけ照れくさいけど、ちゃんと伝えたくて。


「この前ヒカリと会ったときのこと、なんかずっと心に残っててさ」


「今日の空も、きっときれいだと思うんだ。

だから……また一緒に行けたらいいなって♪」


ヒカリはふわっと目を細めて、それから——


「うん。いいね。また行ってみようか」


やさしく、うなずいてくれた。


やったぁ~っ!


次の展望台デート(?)、決定っ!!

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