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約束

「なるほど。彼女の父親から聞いた話とは違った話も聞けて良かったよ」


 モニカの話が終わるとドロシーは満足そうに頷いた。

 

 それと話している途中に頼んでいたステーキが来たのだが、これまで食べたご飯の中で一番美味しかった。感謝したくないけどドロシーに感謝だ。


「……そういえばドロシー様はどうして僕達に話を聞きたかったんですか?」


「それは彼女の父親からこの村で1番一緒にいたのは君達だって聞いたからね」


「そりゃ当たり前だろ! なんてたってモニカはグレン冒険団のコックだからな! あれ? でもドロシーはなんで今になってモニカのこと調べてんだ?」


 モニカが勇者の力に目覚めたのは2年前だ。別にモニカに何かあったわけじゃないならなんで今?


「こう見えても私は忙しい身だからね。それが最近ようやく一息つけるようになったからここに来たってわけさ」


「ふーん……どれくらいここに居るんだよ」


 別にドロシーが忙しかろうが、そうじゃなかろうがどうでもいい。問題はこいつが帰るまでに何が何でも勝たないといけないと言うことだ!


「7日くらいの予定だね。もう2日ほど経っているからあと5日だね」


 何!? あと5日で帰ってしまうのか!? それまでにこいつをどうやったらこいつを倒せるだ……殴っても全部止められるし蹴りは当たらない。

 俺は魔術を使えないし……サムに手伝ってもらうか? サムは魔術が使えるし。


 いやいやダメだ! 俺1人でこいつを倒さないと最強になったっていえないだろ!


「ん? 私のことをそんなに見てどうしたの? もしかして私と離れたくなくなっちゃったかい?」


「…………」

 

 ファサッと髪をかき揚げポーズをとるドロシーに殺意を覚える。


「冗談さ、そんなに睨まないでくれよ」


 余裕そうに手を竦めるドロシーが余計にムカついてくる。


「今に見てろよ! 絶対俺がお前を倒して最強になってやるんだからな!」


 机に乗り上げてそう宣言すると周りにいたサムや大人達の顔は真っ青になりドロシーは愉快そうに微笑んでいる。


「今日で力の差を実感したはずだけど諦めないんだね、君は」


「別に今日勝てなかったからって明日も勝てないわけじゃないだろ! 頑張って修行してお前に勝てるようになればいいだけだ!」


「ぷっ! あはははは!」


 俺の言葉を聞いたドロシーは笑い始めた。


「何がおかしい!」


「ははは……はぁ。ごめんごめん。グレン、君はおかしくない。君の言う通りだよ……じゃあこうしよう。明日から私がここにいる間の5日間で1日1回私に挑戦する権利をあげよう」


 えぇー!? と村のみんなが騒いでいるが無視だ無視。


「その間でグレンが1回でも勝てたら最強を名乗るといい。ただし私が勝った日は君達には私の労働力になってもらうよ」


「労働力?」


「君達って……もしかして僕も入ってるの!?」


「そうだよ、調査には色々と面倒くさいこともあってね。その手伝いを君達がやるんだ」


「上等だ! 俺が負けたら調査でもなんでもやってるよ! まっ、そんな事は起こらないけどな!」


「ねぇ、待ってよ! 僕の話を聞いてよ!」


「よし、それじゃあ契約成立だね。明日からよろしくね」


「その余裕、すぐに後悔させてやるからな!」


 俺は立ち上がりドロシーに宣言して店を走って出て行く。


「ちょっと僕の話を誰か聞いてってー!」


 店の中からサムの悲鳴が聞こえてくるが、俺が勝てば問題のない話だ。って、あ……

 俺はあることを思い出して、店のドアを開ける。すると全員が俺に注目した。


「ごめっ……さい」


 すごーく小さい声でドロシーへ向けて謝罪した。


「これでよし!」


 全員が頭にはてなマークを浮かべている中勢いよくドアを閉めて今度こそ店を後にするのだった。


 これで家に帰れる! 帰ったら修行するぞー!



 


「……ごめんなさい?」


 グレンが店に帰ってきたと思ったら何か小さい声で呟いて店を出て行くとドロシー様がそう呟いた。


「突然どうしたんですか?」


 僕はドロシー様が何故謝ったのか気になって尋ねてみた。


「グレンが店に戻ってきた時にそんなことを言っていたからね」


「聞こえていたんですか!?」


 なんで聴力だ。人類最強は伊達じゃない。あんな虫の羽音よりも小さな声を聞き取ることができるなんて……


「うん。それにしても彼はなんで謝罪の言葉を口にしたんだろうね」


「うーん……あっ!」


 少し考えるとグレンがドロシー様に謝るまで家に帰ってくるなと言われていたのを思い出した。


「何か分かったのかい?」


「はい、多分……」


 僕が今日あったことをドロシー様に話すとドロシー様は笑い始めた。そしてそれをつまみにするかのように酒を飲み始めた。


「彼、変なところで真面目だよね。私の研究中に仕事だから今はダメって言ってみたり……本当に面白い子だよ」


「……え!? 隠れて見ていたの知ってたんですか!?」


「当然だろ? とはいえ、隠れている人に対してツッコミを入れてしまったのは今日が初めてだけどね」


 あの時ドロシー様もツッコミしたんだ……


 僕の幼馴染は凄いのかもしれない。多分叡智の魔女にツッコミをさせたのはグレンだけだろう。


「あの、それとグレンがごめんなさい。いっぱい失礼な態度だったりいきなり攻撃したりして……グレンはドロシー様のことが嫌いなんじゃなくてただ強くなりたいだけなんです」


「大丈夫、分かってるよ。だからかなぁ……」


「?」


「ううん。なんでもないよ。それよりもいいのかい? 明日からは私にこき使われるんだ。もっといいものを食べておいた方がいいんじゃないかい?」


 ……巻き込んだのはドロシー様なのに傍若無人だ。もう遅いし家に帰っても僕のご飯は作られていないだろう。


「……じゃあ野菜定食を一つお願いします」


「分かった。野菜定食を一つ追加でお願いできるかい?」


「かしこまりました!」


 ドロシー様は頷くとレオンおじさんに注文をしてくれた。


 ここで1番高いものを注文できるグレンのメンタルが羨ましいよ……


 やっぱり僕幼馴染は凄いのかもしれない。


 

 

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