高速レベルアップ
ダンジョン10階でキャンプ修行を始めてから、俺のレベルは24に上がった。
今は12階に来ている。
エステルは、魔装とHP自動回復のスキルを上げる為、ナイフを使わず素手で戦っていた。
数十体のイノシシの群れだ。
ザン!ザン!ザン!ザン!
俺はイノシシをナイフで何度も切り付け、倒していくが、一体一体倒すのに時間がかかっていた。
エステルは、イノシシの的になりながら、魔物をどんどん倒していくが、エステル自身もどんどん傷を負っていった。
エステルの修行は鬼気迫るものがあった。
魔物を全て倒した後、俺はエステルに話しかけた。
「エステルすごいな」
「そんなことない。それよりもシンの方がすごい。あまり寝ないで、ずっと魔物を狩ってる。」
「スキルのおかげで、3時間も寝たら大丈夫になってるんだ。後、食事も試しに一日一食をドカ食いしてみたけどそれで問題無かったんだ。」
「レベル、追い越されそう。」
「レベルね。お互い同じくらいのタイミングでレベル30になりそうだね。そうしたらまた話をしよう。」
こうしてしばらく修行を続け、俺たちはレベル30に到達した。
ダンジョン15階
俺たちはキャンプで料理をするところだった。
「ストレージのパンを全部食べ切ってしまった」
調味料のストックも少なくなってきた。
「小麦粉、ある?」
「あるよ。」
そういって小麦粉を出すと、エステルは小麦粉と水を混ぜてこね、木に蛇のように巻き付けて、焚火であぶりだした。
「ん?そうやって食べる感じかな?」
「うん」
面白いな。何か楽しみになってきた。
しばらく待っていると、
「できた」
と言い俺に枝を渡してくれた。
口に入れてみると、意外とおいしい。
「うん。いい感じだね。おいしいよ。」
エステルは嬉しそうに俺を見つめていた。
「さて、二人どっちもレベル30になったね。エステル、今まで取っておいたクッキーがあるんだ。食べてね。」
俺はエステルにクッキーを手渡した。
「シンは?」
「俺は、良いや。エステル。いつもご飯を作ってもらってるから、助かってるんだよ。小さいことだけど、お返しがしたいんだ。目標達成の節目でもあるから気にせず食べて欲しい。」
エステルの目から涙があふれていた。
「え?そんな泣くようなことかな?普通じゃない?」
俺は少し焦った。
「ママが死んでから、大事にされたこと・・・あまり・・・なかった、うっぐ、えっぐ」
そういうと大粒の涙がボロボロとこぼれた。
エステルは、今まで苦しい思いをしてきたんだな。
ダンジョンキャンプを始めてから、エステルは前より笑うようになった。
前より、顔色も良くなった。でも普通は逆だ。
ダンジョンでキャンプをすると、普通はどんどん疲れがたまってくる。
それにエステルはかなり厳しい修行をしていた。
それなのに、エステルはどんどん笑うようになって、顔色も良くなっていったのだ。
今までよっぽどひどい目にあってなければこうはならない。
そういえば、前、エステルがアクトに叩かれていたけど、その時エステルは、
表情一つ変えず、何も反応していなかった。俺はあの時、エステルは強い人間だと思っていたんだ。
でも本当は違ったんじゃないか?表情を殺すことで、感情を保っていたんじゃないか?
俺は強く思った。
アクトとエステルを会わせちゃいけない。
俺はまだ、力が足りない。
もっと強くなろう!
俺は決意を固くした。
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