迫りくるアクト
アリスの家に着いた俺は、椅子に座って、しなびた植物のようにこうべを垂れていた。
アリス「シン、大分しおれてるわねー。」
シン「散髪のあの質問攻めにつかれた。」
アリス「でもエステルの髪、似合ってるよー。」
エステル「シンのおかげ。」
シン「明日は、ギルドに行ってエステルの銀行口座をやって、その後はその他の物資の買い出しをしよう。明日中にはダンジョンキャンプに行きたいんだ。」
アリス「私は明日用事があるんだけど、あれだったらキャンセルしようかー?」
シン「いや、大丈夫だよ、さすがに明日すぐアクトに見つかる可能性は低いと思うんだ。」
アリス「それなら良いけどー」
シン「ただ、もしもアクトに会った場合の事も考えておこう。もし見つかったら、ホークの所に逃げて、それが無理なら、ダンジョンに逃げるよ。エステルは、俺が見つかったら何食わぬ顔で目立たないでいて欲しい。」
エステルは昨日変装したので、アクトに見られてもばれないはずだ。
アリス「エステルは、かわいくなったから、アクトに気づかれないかもね。」
シン「後、エステルは俺と少し離れてついてきて欲しい。さすがに、俺の隣に居たらエステルだってばれるかもしれない。」
アリス「徹底してるねー。」
シン「やりすぎてるかな?俺はこのくらいは普通だと思うけど?」
アリス「ほめてるんだよー。さすがホークが認める実力だねー。」
エステル「シン、すごい。」
アリス「エステル、今日は家に泊って行ってねー。」
エステル「ありがと」
こうして次の日、俺とエステルはギルドへと向かった。
ギルドカウンターにて
ホーク「これで銀行口座の開設は終了だ。」
シン「ホーク、ありがとう。後は物資を買ってダンジョンにこもるよ。」
俺は小声で言った。
ギルドを出て少しすると、後ろから声が聞こえた。
アクト「おいシン、待てよこらあああ!!!!」
アクトは町の人を押しのけながら俺を追ってきた。
まずい!方向的にギルドに逃げられない!
ダンジョンに逃げよう!
俺は全力でダンジョンに逃げ出した。
するとなぜかエステルも俺についてきた。
アクト「お前、エステルか、お前ら待ちやがれ!!!」
エステルの変装が一日でばれたぞ!
まずは走って逃げるんだ!
俺たちは全力で北門を通り抜けた。
後ろを振り向くとアクトは待ち人を押し倒しながらこちらに迫ってきた。
兵士に「アクト!何をやっている!」
とアクトを止めようとしていたが、兵士を振り払い、さらに追ってきた。
アクトがどんどん俺たちとの距離を詰めてくる。
俺は「エステル、20階にワープするぞ!!」
と大声で叫んだ。
そしてダンジョンの1階へとワープした。
ダンジョンの1階へとたどり着いた俺たちは、全力で走って5階へと向かった。
そのころアクトは、ダンジョン20階へと来ていた。
「どこだ!!隠れてないで出てこい卑怯者が!!」
20階を見渡し、シンたちを見つけられなかったため
すぐに19階へワープしたが、シンとエステルは見つけられなかった。
「逃げやがって、くそがーーーーーー!!!!!!」
ダンジョン5階
「ふー。ここまでくれば大丈夫か。ふっふっふ。アクトのバカが、簡単なフェイクにひっかりおってふぉっふぉっふぉっふぉ」
「シン、すごい。」
「あ、え?うん、冗談で言ってるだけだからね。なんか真顔で言われると恥ずかしくなってくるよ!」
「シン、本当にすごい。やっぱり!やっぱり光るもの。感じる」
もうやめてくれ!冗談で言っただけなのに!なんか恥ずかしくなってくるぞ。
「と、所で、エステル。無理についてこなくても良かったんだよ。もうアクトに変装がばれてしまったね。」
エステルはすっとうつむいた。
「すんだこと。しょうがない。」
「それでこれからだけど、もうキャンプを始めてしまおうか。アクトの性格を考えると、ダンジョンの奥までは探しに来ない気がするんだ。だから、5~15階の、しかも道から離れた所でキャンプをする方針で行きたい。とりあえずやってみないとどんな問題があるか分からないから5階で3日ほどキャンプをしたいんだ。どうだろ?」
「うん。やる。」
「じゃさっそく奥に行って魔物を呼び寄せるね」
「うん」
俺たちはダンジョン5階の奥に到着した。
「魔物呼び!」
しばらくすると、魔物と戦闘になったが、格下なので問題なく魔物を倒していく。
エステルも問題なく魔物を倒していたが、エステルはたぶん俺より強い。
そう思った。
魔物を倒した後、キャンプ用具を出して俺はテントを設営した。
エステルには火を起こしてもらっていたが、あっという間に火をつけていた。
手馴れているな。
「エステル、ご飯を作ろう。」
「私、作っていい?」
「お?お願いできるかな?」
エステルはこくりと頷いた。
「俺しばらく採取や魔物狩りしてきても良い?さっき逃げた時に俺の足が遅くて危なかったから、レベルアップしておきたいんだ。」
エステルはこくりと頷いた。
しばらくしてキャンプ地点に戻ってくると
「お?良いにおいがする。」
「野菜と肉のスープ。作った。」
「おいしそうだね。早速もらっても良いかな?」
エステルはスープを入れた器とスプーンを一緒に俺に手渡した。
「おー。おいしい。二人で食べよう。椅子は一つしかないからエステルが使って。」
俺は地べたに座り込んでスープを食べようとした。
するとエステルは、俺に密着するように一緒に地べたに座った。
ン?距離近くない?
椅子はただぽつんと役目を果たさずにそこにたたずんでいた。
「エステル、ご馳走様。おいしかったよ。エステル、今日はキャンプでゆっくりしよう。俺は回復スキルを持っているから夜まで採取や魔物狩りをしてくるね。」
「うん。」
俺は皿を回収して洗おうとしたが、
「私、洗う」
「そっかー。お願いするけど、ちゃんと休んでね。」
エステルはこくりと頷くと、皿を洗い出した。
エステル。性格が良く分からないなー。
3日間ダンジョンの5階でキャンプをしてみたが、問題はテントが1つしかないことだったが、エステルは1つで大丈夫とのことだったので、気にしないことにした。
他には何も問題が無いどころかキャンプ生活なのに、エステルはどんどん元気になっていった。
エステルの顔色も良くなり、こけていたほおは、どんどん健康的になっていった。
キャンプは続けて大丈夫そうだな。
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