パーティー【ブラックセイバー】解散
兵士に助けられて、エステルは一命をとりとめた。
エステルが倒れる事件があった後、
アクトはいつも以上にエステルに当たり散らすようになっていた。
理由については、
・20階への到達がすんなりと行かなかったこと。
・エステルが衰弱して倒れたことで、ギルド長に怒られたこと。
・散財でお金を使い果たしたこと
と、すべてアクトに原因があったが、
アクトは原因のすべてをエステルのせいにした。
全部エステルが悪い!あいつのせいで俺はひどい目に合ってるんだ!!
エステルは俺に謝罪して俺に金を渡すべきだ!!
ギルドで報酬が強制的に半分ずつにして渡されるが、それが間違っている!!!
優秀な俺が多くもらうのが当然だ。
そうだ、エステルから正当な報酬をもらうのが当然なんだ!!
アクト「おいエステル、お前仕事が出来ねーんだから俺に正当な報酬を払えよ!!」
エステル「これは生活に必要なお金」
アクト「黙って出せよ!!!」
アクトはエステルを殴り倒した。
エステルの有り金を全て奪ってアクトは去っていった。
シンが町を歩いていると、エステルの姿があった。
「げ、アクトが居たら厄介だな!」
俺はさっそうと気配を消して隠れようとした。
すると、俺に気づいたエステルが、
「アクトは居ないよ。」
と声をかけてきたので、俺は姿を現した。
「やあエステル。何してるのかな?」
「何も・・してない」
エステルを良く見ると、ほおがこけていて、不健康そうに見えた。
そこでエステルのおなかがぐーーーっと鳴った。
エステルが立っていたのは、飲食店の前だった。
「エステル、入らないの?」
「お金、無い」
「エステル、たまにはご飯でも一緒に食べないか?おごるよ。」
「何も、返せるもの、無い」
「気にしなくていいよ。断食してるわけじゃないんだろ?」
「・・・うん」
俺はエステルの背中を押して強引に飲食店に入った。
「エステルは何にする?」
「・・・でも」
「・・・チキンサンド2つでお願いします。」
俺はエステルが何か言うのを無視して店員にお願いした。
「良いから食べるんだ。人の善意を断りすぎるのは良くないよ。」
「はい」
エステルの顔は少し赤くなっていた。
ここのお店は値段の安い大衆食堂だ。
パンに肉と野菜がサンドされたものと、スープがついてきて、
500ゴールドと安めで、ボリュームが多い。
各メニューの違いは肉の種類を選ぶくらいの差しかない。
パンサンドとスープを受け取ると、
「エステル、食べよう。」
そういって俺は食べ始めた。するとエステルはこちらを伺いながら食べ始めるが、食べ始めた途端、パンサンドを飲み込むように口に押し込み、スープで流し込んだ。
・・・よっぽどお腹がすいてたんだな。
食事が落ち着いたタイミングで、俺は話し出した。
「所で、金が無かったのはなんでだろ?お金は稼いでそうだと思ったけど?」
「・・・アクトに・・取られた」
「あいつ、クズだな。そっかー。いつも大きなバックを背負っているのは、全部エステルが荷物を持ってるからかな?」
「・・・うん」
「アクトと一緒にパーティーを組んでるのは、理由があるの?」
「他に・・行くとこ無い」
「ソロでも生活できると思うけど?パーティー解散したらダメなの?」
「アクトと話をすると話がおかしくなる。」
「すんなり解散出来るならそれでOKってことかな」
「・・・・・うん」
「ホークに相談はしてみたのかな?」
「してない。」
「裏で俺が相談してみても大丈夫かな?」
「シンが危なくなるかも」
「俺が危なくなかったら問題無いのかな?」
「・・・うん」
俺はエステルと別れた。
アクトってやっぱりやばいやつなんだな。
それにしても、エステルは無口だな。
悪いやつではないから良いか。
俺は食事のあとホークの所に行って話をした。
「・・・・と言う事があったんだけど?どうにかならないかな?」
ホーク「アクトを呼び出してきつめに注意したんだが、逆効果だったか。アクトは話をしても、話がおかしくなることが多くてな。シン、良い案は無いか?」
「うーん、こういう案はどうだろ?」
俺はホークに作戦を伝えた。
「・・・その案ならいけるかもしれないが、シンに被害が来るかもしれん。大丈夫か?」
「いざとなったら、ダンジョンに逃げてこもるよ。一回やってみよう」
後日、ギルドで、アクトがエステルにあたり散らしたタイミングを見計らって、俺とホークが間に割って入った。
シン「当たり散らすのはやめよう。」
アクト「あ!お前には関係ねーだろーが!!口をはさむな無能が!!!」
シン「エステルに甘えて寄生するのはやめようか。」
アクト「お前馬鹿じゃねーのか!!!俺が面倒見てやってんだよ!!ちゃんと物を見てしゃべれよ!!」
シン「って言って、エステルに寄生し続けるんだろ?アク」
俺がしゃべり終わる前に口をはさんできた。
アクト「お前喧嘩売ってんのか!!」
ホークは殴りかかろうとしたアクトの腕をつかんだ。
ホーク「手を出すのはやめろ。」
シン「アクトはどーせエステルと一緒に居なきゃ冒険者を続けられないか」
アクトはまた途中で口をはさんできた。
アクト「てめー!!喧嘩売ってんじゃねーぞ無能!!」
ホークはまたアクトを抑えた。
ホーク「やはりアクトはエステルが居ないと何もできないようだな。」
アクト「人の話を聞けよ!!俺が面倒を見てやってるんだよ!」
俺たちはこのループを30分以上続けた。
そう、アクトにエステルなんて必要ねーんだよと言わせるまで
あおり続ける戦法だ!!
アクトは自分一人だけの方がうまく行くと口では言うが、
エステルを決して追放しようとしない。その矛盾を突くのだ。
ただこの作戦は根気が必要だ。アクトは質問に批判で返してくる特殊な人間のため中々話が進まなかった。
根気強く、アクトを煽った所、
アクト「パーティーを解散してやるよ。俺一人の方がうまくやっていけるんだよ。おいお前ら!後でエステルの面倒を見るようにって泣きついてきても知らねーからな!!!」
よし成功した!!
ホーク「早速パーティーの解散手続きを開始する。」
俺はその後、アクトに「あやまれよ!!」などとぼろくそに言われ続けながらも無事、ブラックセイバーのパーティーは解散した。
エステルは、俺の袖を掴んで「ありがと」
と言って去っていった。
アクトが居なくなって間をおいて、俺とホークはハイタッチをした。
妙な連帯感が生まれていた。
こちらをちらちらと伺っていたギルド員のみんなから拍手が鳴り響いた。
アクト、どんだけ嫌われてるんだ・・・・
俺は殺される可能性も出てきたな。
逃げよう。
「ホーク、アリスを説得してほしい。ボッチキャンプ潜伏をしたい。
でもアリスにボッチキャンプを反対されてるんだ。」
「協力しよう。シン・・・・すまなかったな」
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