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町では、例のいじめっ子三人衆がケニーに絡んでいる。
ケニーが町に入った途端に見つけるなんて、彼らは毎日ケニーを探しているのではないかと思ってしまう。
「またオトコオンナが来たぞー!」
「こいつはオトコオンナじゃなくて、オンナなんじゃなかったっけ? すっげー弱いから!」
「そうだったわ。ぎゃははは!」
三人は慣れた様子でケニーのことを馬鹿にし始めた。
しかし今日のケニーは、いつもとは一味違った。
「僕は弱くないですよ。少なくとも、集団で一人をいじめるようなあなたたちよりは強いです」
ケニーが言い返してくるとは思わなかったのだろう三人衆は、お互いのことを見つめてから、全員でケニーをにらんだ。
「お前……今、俺たちのことをけなしたのか!?」
「別に。事実を言っただけです」
「コノヤロー! 俺たちが何もしねえと思ってるのか!?」
三人の中で一番喧嘩っ早いのだろう少年が、ケニーに掴みかかった。
ケニーは掴みかかってきた少年の腕を自身の後ろへと引き、ぐらついた少年に体重をかけた。すると少年は地面に倒れ、その上にケニーが乗る形になった。
「……なっ!?」
ケニーから俺へのお願い。それは、向かってきた相手を倒す方法を教えてほしい、というものだった。
だが鍛え途中で身体の出来ていないケニーに格闘術を教えても、打撃が軽いため大した攻撃にはならない。
そこで思い出したのは、日本にいた頃に動画で見た合気道だ。合気道なら相手の勢いを利用するから、筋肉量の足りないケニーにも使えるはずだと思ったのだ。
そして俺の目論見通り、相手の勢いを利用することで、ケニーは見事にいじめっ子を地面に叩きつけることに成功したのだ。
「調子に乗りやがって!」
しかしいじめっ子は一人ではない。すぐに残り二人のうちの片方がケニーに向かって行った。先程の少年の状況を見たからか、今度は掴みかかるのではなく、体当たりをするつもりのようだ。
その少年を、ケニーが足払いする。
足払いをされた少年は、地面に叩きつけられて衝撃を受けている先程の少年の上に倒れた。
「「ぐえっ」」
少年たちから潰れたカエルのような呻き声が漏れた。
「くそっ、うおおおっ!」
ヤケになったのだろう残された少年が、身体を低くしてケニーの足に掴みかかった。この少年は攻撃をすると言うよりも、自分がケニーのことを押さえている間に、残りの二人にケニーを攻撃してほしかったのだろう。
残念ながら彼の希望虚しく、倒れた二人は呆然としたままだ。まだ心がこの状況を受け入れられていないのかもしれない。
一方で足を掴まれたケニーは、一瞬自身の足から力を抜いた。そのせいで踏ん張っていた状態からバランスを崩した相手の少年の隙を見逃さず、少年にのしかかった。ケニーにのしかかられた少年はあっけなく地面に倒れてしまった。
いじめっ子三人衆に砂の味を教えたケニーは、立ち上がってパンパンと自身の手を叩いてから、衣服の乱れを直した。
「なっ、お前、なんで……」
「弱いと思っていた僕に倒されて驚いているんですね。僕も驚いています。まさかあなたたちがこんなにも打たれ弱かったなんて」
それは俺も驚いている。
彼らは倒されてもすぐに起き上がり、再びケニーを攻撃してくると思っていたからだ。
それなのに三人は、一度地面に転がされただけで戦意を喪失してしまった。
彼らはいつも他人をいじめる攻撃側だったため、攻撃されることには弱かったのかもしれない。むしろ弱いからこそ、他人に攻撃をされないように、集団で先に相手を攻撃していたのだろう。
「オトコオンナ! 暴力をふるうなんて最低だぞ!」
「そうだそうだ! 力の強いやつが偉いとでも思ってるのか!?」
負け惜しみを言ってくるいじめっ子三人衆のことを、ケニーは冷ややかな目で見下ろした。
「僕は向かってくる相手にしか、技を使うつもりはありません。他人をいじめて喜ぶあなたたちとは違いますから」
こうしてケニーは、いじめっ子三人衆に勝利した。
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