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自分が描いたイラストの異世界に転移してしまった  作者: マホロ
第2章 邂逅(かいこう)

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第95話 襲撃

 新居で大工工房である千釘工房のバリムさんに家の状態を確認してもらっている。外では私たちに悪意を向ける者たちがこちらを監視していた。いつでも迎え撃てる用意はできているので、今は新居の修繕または建て替えの話を進める。


「2階もざっと見てきたが、中はやはりダメになっている場所が多い。使える部材を再利用しながら建て替える方向で良いか?」


「ええ、もちろん構いません」


「わかった。早急に解体作業に入ろう。使える部材の保管は、庭でやるつもりだが問題ないか?」


「はい、問題ありません。井戸も自由に使ってください。それから解体が終了した段階で一度呼んでいただけますか?基礎の確認をしたいので」


「ああ、もとよりそのつもりだ。それから地下への階段は板か何かで塞いでおく、使ってる形跡があるからな、なにか訳ありだろう?」


「ご配慮、感謝します」


「なに、こんな仕事をしてるとたまにあることだ。口外しないのも仕事のうちさ、解体の代金を先に貰ってもいいか?」


「ええ、おいくらでしょう?」


「丁寧な解体が必要だから少し時間がかかる。そのぶん少し増えちまうが……金貨5枚ってところだな」


「わかりました。今お渡ししても大丈夫ですか?」


「ああ、もらい受けよう。後で商業ギルドから解体の契約書を届けてもらう」


 ポーチから金貨5枚を取り出して、バリムさんに渡した。


「たぶん今日の午後から始める。解体の期間は10日程度だな、いつでも様子を見に来てくれて構わん」


「わかりました。よろしくお願いします」


 バリムさんにカギを預けた。一度工房に戻り、解体の書類を作ってから、午後の作業の準備をすると言っていた。バリムさんを見送ってから行動を開始する。


『フェシー、飛び立って私から見えない位置で監視をお願い』


『承知しました』


 そういうと、すぐに頭の上から飛び立っていった。


『じゃあヴェニカ、後のことは任せたわよ。随時念話で連絡するから』


『わかった。無理はするな、危険であれば即座に相手を排除するのじゃぞ』


『ええ、わかってるわよ』


「そしたら私は先に宿に戻ってるね」


「わかった。用事が済んだら私もすぐに宿に帰る。気を付けてな」


 声に出してヴェニカと別行動をとることを相手に伝える。多分聞こえているだろう。ヴェニカは宿に戻る方向と反対に歩き出した。私はそれを見送ってから宿の方向に歩き出す。


 人通りの多い所で襲ってくることはないはずなので、途中で路地に入ればいいだろう。しばらく通りを歩いていると、3人が後をつけてくる。そのさらに後方に監視員が1人ついて来ている。


 途中で人気のない路地に入った。後は3人がどういう行動をとるか次第で対応が変わる。


「ちょっと待ってくれ」


 早速声をかけてきた。警戒する振りをして後ろを振り向く。


「ああ、先日の方ですね。何か御用でしょうか?」


「いや、先日は悪かった。俺もちょっとイライラしてて暴走してしまった。申し訳ない」


「そうですか……謝罪は受け取ります。今後、あまり関わってこないでください」


「わかった。すまなかった」


 そう言って相手は手を出してきた。握手を求めている。


(……なにか仕込んでいるわね……毒かそれとも暗器か……)


 躊躇する様子を見せながら私も手を伸ばしていく。魔力視眼を使って相手の手元を確認すると、麻痺薬を塗った針があった。なるほど、これで麻痺させて運ぶつもりだろう。


『麻痺で一度倒れるけど心配しないで、すぐに回復できるわ』


『わかりました』


 相手の手を握る。チクッとした感覚が手のひらに走ったと思ったら全身から力が抜けた。その時、男の顔はいやらしく歪んでいた。


 地面にうずくまった私は体の状態を確認する。耳は聞こえる。息はできるが喋るのは無理そうだ。


「けっ、さんざん馬鹿にしやがって、俺がどんだけ恥をかいたと思ってるんだ。たっぷり可愛がってやるからな……おい、麻痺したぞ袋に詰めて運ぶから準備しろ」


「お、だんな、うまくやりましたね。俺たちにも楽しませてくださいよ」


「ああ、俺が楽しんだ後でなら好きなだけいいぞ」


「へへへ、だんなはわかってますねぇ」


「バレないうちにさっさと運ぶぞ、俺も楽しみになってきたぜ」


 ゲスいやり取りをしている間に、念話で報告する。麻痺の解除はもう少し後で大丈夫そうだ。


『麻痺薬ね、特に問題ないわ。どこかに運ぶつもりだから、追跡を頼むわ』


『承知しました』


『こっちは監視員に接触して、状況を伝えた。ミオの近くにも1人いるが手出しはしないように言ってある。その者が監視員として追跡するじゃろう』


『わかったわ』


 麻袋に詰められて担ぎ上げられた。3人のうち誰かはわからないが、どさくさに紛れて乱暴に胸を揉み、お尻をまさぐりやがった。気持ち悪い、後でぶん殴ってやる。


 運ばれている間に《ウィンドソナー》を使って周囲を確認すると上手く路地を使って移動している。大通りに近付くと馬車に乗せられた。それなりの距離を移動するつもりなのだろうか?だが、フェシーの追跡を逃れることは不可能だろう。

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