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自分が描いたイラストの異世界に転移してしまった  作者: マホロ
第2章 邂逅(かいこう)

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第94話 動きだす悪意

 数日後、商業ギルドから紹介する大工工房が決まったと連絡があった。連絡が来るまでは新しい家に置く家具を見に行ったり、ポーションや薬を作成して卸したりしていた。それなりに稼げたが、建て替え費用には足りないだろう。そこは、ヴェニカから拡張の鞄の報酬として貰う聖銀貨3枚分、30,000,000シルを当てることにしている。


「そろそろ行きましょうか、新しい家の前で待ち合わせよ」


「わかったのじゃ、じゃがちと腹に違和感がある、たぶん月の物じゃろう。前言ってた布ナプキンの使い方を教えてくれ」


「わかったわ」


 ヴェニカの月の物が始まるようなので、布ナプキンの使い方を教えた。そこまで難しくはないので、すぐに慣れるだろう。私にはまだ来ないが生理現象だ、そのうち来るだろう。

 ヴェニカの準備もできたので改めて新しい家に向かって出発した。この宿からは歩いて10分程度と近い場所にある。家の前には商業ギルドのニルスさんとドワーフ種の男性が待っていた。


「ミオさん、ヴェニカさんお待ちしておりました。こちらが今回、修繕や改築を担当してもらう千釘工房のバリムさんです」


「千釘工房のバリムだ。よろしくたのむ」


「ミオです。バリムさん、こちらこそよろしくお願いします」


「ヴェニカだ」


「では、私は用がありますので、細かい話はバリムさんとお願いします。何かありましたら商業ギルドにお越しください。では、失礼します」


 ニルスさんはそう言い残して帰っていった。


「それじゃ、中の様子を確認させてくれ」


「その前に、基本的にはほぼ同じ間取りで建て替えを希望します。その前提で見てもらってもいいですか?」


「ふむ、少し古いが外部は問題ないように見えるが……わかった建て替えも考慮して見るようにしよう」


 玄関のカギを開けて中に入る。バリムさんはランプに火を入れてあちこちを見始めた。ヴェニカが思案顔で私に念話を送ってきた。


『ミオ、こちらを監視している奴がいるのはわかったか?』


『ええ、いつもの監視員さん達ではないですね、距離も近いしあからさまでした』


『3人じゃが、その中にこの前の愚か者の気配があった。ミオがもう一度来ると言っていたが本当に来るとはな……』


『私たちを襲うのか、私だけを狙うのか……対応方法が変わりますね』


『そうじゃな、じゃが前のことがある。ミオだけを狙う確率が高いだろう。どうする?』


『そうですね、これが終わったら私が囮になりましょう。近くにフェシーを待機させて相手がどうするか様子を見ます。3人であれば私だけでも無力化は可能ですが、いざというときのためにフェシーを使います。ヴェニカには、監視員さんと連携をとってもらって衛兵の指揮をお願いしたいです』


『ミオさん、さすがに危険では?』


『フェシー大丈夫よ、それに貴方は《ソニックバレット》を使えるでしょ?』


『気付いていましたか……確かに使用可能です。内容は聞いてますし、地球の情報もありますから……』


『なら、安心じゃの、監視員と衛兵の方は任せてもらおう。じゃが、危険だと思ったら介入するからな』


『それで構いません』


 何もないかもしれないが、襲撃を受ける前提で計画を立てておく。その場で無力化するのか、わざと攫われてから無力化するのか、そこは臨機応変に決めればいいだろう。私の体が目的の節もあるので後者の可能性が高い。それでヴェニカを脅すというシナリオも考えられる。ゲス野郎なりに考えてるのかもしれないが戦力を測り損ねている時点で相手の計画はすでに終わっている。


「1階は見終わったぞ、基礎は問題ないが、居室は一部の木材が腐っているな。壁も一部は張替が必要だ。2階の状況次第ではあるが、確かに建て替えても金額はそこまで変わらんかもしれん。丁寧に解体すれば使える部材も多い、特に外装はかなり使えるだろう」


「わかりました。2階の状況を見てもらってから判断します。引き続きお願いします」


「おう、このまま見させてもらう」


 そう言ってバリムさんは2階に上がっていった。私たちはリビングで待つことにする。リビングの窓から外の様子を窺うと、こちらを見ている男が2人いる。ゲス野郎の姿は見えないが、《ウィンドソナー》で位置はわかっている。


「いつ仕掛けてくるかな?やっぱり1人になった方が相手も仕掛けやすいと思うけど……」


「私は警戒されているだろう。じゃがミオのことは薬師で戦闘力はないと思われているだろうな」


「私にとっては都合のいいことよ。やはりここを出たら二手に分かれましょう。フェシーもお願いね」


『かしこまりました』


 情報を集めれば私が薬師だというのはすぐにわかるだろう。ポーションや薬の納品をしているから、でも戦闘力を見せたことは一度もない。


SIDE:新居近くの路地


「だんな、2人が家に入ったぜ、どうするんだ?」


「薬師が1人になるのを待つしかない、あいつは戦闘職じゃないから攫うのは簡単だ。問題はもう1人の女だ。離れてくれればいいのだが……」


「そう簡単に離れるか?ここ数日見ていたがずっと一緒だったぞ」


「そのうちチャンスは来るはずだ。もう少し様子を見よう」


SIDE:新居近くの路地(終)

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