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自分が描いたイラストの異世界に転移してしまった  作者: マホロ
第2章 邂逅(かいこう)

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第91話 古い建物は誰の物?

 商業ギルドで工房付き物件の説明を受けている。とりあえず2件について説明を受けたが条件に一致するものの決定には至らなかった。続いて3件目の物件について説明を受ける。


 ニルスさんが3件目の図面をテーブルの上に広げた。今度はお屋敷のような感じだ。見ただけで部屋がたくさんあるのがわかる。


「こちらは、行政区中心から東側に少し入った場所の家になります。ご覧いただければわかると思いますが、貴族の別荘として使われていたお屋敷です。庭も広く部屋数も多いので、どこか大きな部屋を工房へ改築すれば問題ないでしょう。ただ、退去時に元に戻す必要があります。そういった意味ではあまりお勧めできない物件なのですが、条件には当てはまるのでお持ちしました」


 確かに条件には当てはまるが、退去時に戻すのはちょっと面倒だ。それに広すぎて管理する手間を考えると住もうとは思わない。ついに最後の物件だ。これでだめならヴェニカに頼るしかない。


「これが最後の物件になります。これは行政区と商業区の境にあり、どちらに出るにも便利な場所です。庭も広く、薬草やハーブを植える畑、小屋を建てるスペース、そのどちらも確保できます。ただ、建物が古くどうしても改修が必要です。工房はありませんが、1階に大きなリビングがあるのでそこを工房にすることができます。その場合、居住スペースは1階にキッチンとダイニング、それと1部屋分のスペースがあり、2階に4部屋とテラスがあります」


 この4件目は建物が古いことを除けば、とても良い条件な気がする。後は金額次第だが4件目で良い気がしている。


「4件目は古いことを除けばかなり条件が良いように見えますが、借り手がいない理由とかあるのですか?」


「ええ、行政区側にある隣のお屋敷が、ヴェンティス様のお屋敷でして……それを伝えると皆様何故かここを借りようとしないんです。理由を聞いても答えてくれませんし……畏れ多いのも理解はできますが、それにしても怯えすぎな気がして……格安なので良い物件だとは思うのですが」


 なるほど、ヴェンティスの名前を聞いて何かあったら大変だと思っているのだろう。風評被害もいいところだが、気持ちはわからなくもない。


「説明ありがとうございます。紹介してもらった中では4番目の物件が候補になりますね。見ることは可能ですか?」


「ええ、大丈夫ですよ。これからご案内しますか?」


「お願いします」


 ニルスさんにお願いして4番目の物件を案内してもらうことにした。商業ギルドから徒歩で20分程度の距離とのことだが、馬車で行くらしい。


「馬車の準備をしますので、ここで少々お待ちください」


「隣の屋敷って大きいの?」


「多分な、私は行ったことないからわからんのじゃ、領主が勝手に用意した屋敷じゃからな……好きに使って良いと言ってあるから、何らかの用途で使っておるじゃろう」


「本人が行ったことない屋敷って……使ったら?」


「屋敷と言うくらいだから広いのじゃろ?そんなところで1人で住むくらいなら、宿屋の部屋の方が何倍もましじゃ。それに長く滞在することも少なかったからな」


「確かに……それなら使わないわね」


 しばらくするとニルスさんが戻ってきて馬車に案内された。豪華な箱馬車で優遇されている気がする。馬車に乗り込んだが内装も豪華だった。


『なんか、私たちが乗るにしては豪華な気がするけど……』


『どうせ、ギルドマスターの差配じゃろ?余計なことしかせんな……』


 馬車が静かに動き出したが、豪華であっても地面の凸凹がダイレクトにお尻に伝わってくる。椅子にクッションが敷いてあるのでマシだが、長く乗れば痛くなりそうだ。10分程度走った場所で停車した。


「こちらが物件になります。すぐに崩れたりすることはありませんが、傷んでいる箇所もあるので、修繕をお勧めします。ご自身で修繕していただくという条件ですので、賃料はかなりお安くなっています。こちらがカギになります。」


 ニルスさんからカギを渡されたので、入口のカギ穴に差し込んで扉を開けてみる。外見はそこまで古い感じに見えなかったが、中は埃っぽく空気が澱んでいた。土壁の一部には亀裂が入っており、一部の木材は朽ちてしまっている箇所も見受けられた。


「確かに修繕が必要ね……」


「そうですね、前より傷み具合が進んでいます。やはり人が住まないと傷みが早いですね。持ち主も放置されているようなので……」


『すまん、持ち主は私だ。この物件を持っているのを忘れとった……』


『そうなんだ……ここにするわ』


『わかった』


(……マッチポンプ……)


「これは一度大工に見てもらわないとダメね……わかりました。一応ここにします。ただ、修繕をしてくれる大工を紹介してください。修繕後の改築もたぶん頼むことになるので、腕の良い大工を紹介していただけたら嬉しいです」


 どのみちヴェニカの持ち物らしいので自由度はさらに高くなった。最悪、間取りはそのままで建て替えてもいい。そのあたりはヴェニカと相談すれば良いだろう。物件としては良い物が借りられたと思う。

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