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自分が描いたイラストの異世界に転移してしまった  作者: マホロ
第2章 邂逅(かいこう)

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第85話 旨味調味料

 ヴェニカと一緒に食堂へ向かった。宿の従業員に鍵を見せると、席に案内された。朝と同じで手前の席だ。カウンターに夕食を取りに行く。メニューの札があり、オークとロックバードのどちらかを選択して言えばいいらしい。私はロックバード、ヴェニカはオークを選択した。


「ヴェニカ、肉を半分にして分けよう。両方食べてみたい」


「いいぞ」


 ロックバードの肉をナイフで半分にしてヴェニカのお皿へ移す。ヴェニカもオークの肉を半分にして私の皿に乗せてくれた。今日のメニューはパン、肉料理、サラダ、スープだった。食後に紅茶を飲むことができる。


「ところで、さっきの実演の結果はどうやったらわかるのだ?」


「少しだけスープを飲んで味を確認してみて」


 そう言ってから私もスープを少し飲んだ。塩味だが野菜の優しい甘みが口の中に広がった。十分に美味しい味だ。


「飲んだぞ、普通に美味しいスープだと思うが……」


「じゃあ、今からさっき作った粉を少しだけ入れるね、ちょっとかき混ぜてから飲んでみて」


 ヴェニカのスープに少しだけ白い粉を入れる。確認したヴェニカはスプーンでゆっくりと混ぜてから口に運んだ。一口飲んだ瞬間に目を見開いて固まっている。


「なんだこれ、スープの味が数倍もうまくなったんだが……」


「それが、さっきの白い粉の正体よ、旨味調味料とでもいえばいいのかな?こういうものがあの結合の魔導具で作れるのよ、ああやって薪と岩塩を入れるだけでね」


「それはすごいな、確かにこの味だけでもあの魔導具を買った価値はある。それにこれ以外にもいろいろできるのだろう?」


「ええ、調味料だけではないわ。この世界の人々が知らない薬なども作れるわ」


「なるほど……細かいことは理解できないが、価値のあるものだということは認識できた。他にも利用方法があるのだろう。また見せてくれたら嬉しい」


 そう言ってヴェニカはスープを飲み干した。私もスープに旨味調味料を少し入れてかき混ぜる。飲んでみると先ほどの味に旨味が足され更に美味しくなった。このスープに足す必要はないけど、他の場所であまり味気ないスープなどには有効だろう。


 夕食を食べ終えて部屋に戻った。ボリュームがあったので満腹だ。


「このままだと太っちゃうわね……」


『大丈夫ですよ、ミオさんは身体強化1.2倍を今日も一日中発動させていますよね?そのため代謝が高くなっています。今日の夕食程度の量を食べないと逆に痩せてしまいますよ?痩せる時は胸から痩せると言いますし……』


「そう、わかったわ。でも最後の言葉は余計よ……実際は消費しやすい脂肪から使われるの、胸は脂肪が多いから消費しやすいの、それに減るとサイズに出るからわかりやすいだけよ。あまり女性にそういうことは言わない方がいいわよ……」


「あはは、ミオよ、そう怒るな、フェシーも良かれと思って言ったのだ。確かに最後の言葉は余計かもしれんが、ミオを心配して言ったことじゃ」


「わかってます。そこまで怒ってませんよ」


 身体強化を切る準備をする。治癒ポーションと体力ポーションを机の上に並べてから身体強化を切った。旅をしている時よりも足の痛みは少ない。少し筋肉痛になったと思う程度だ。治癒ポーションを飲んで痛みを消す。体力的に疲れている感じはしなかったので、体力ポーションは飲まなかった。


「かなり筋肉痛の痛みが少ないわ。今日の歩く量が少なかったから?」


『いいえ、身体強化は発動している時点で、筋肉などに負荷がかかります。ミオさんの素の筋力が強化されているので筋肉の炎症が少なくなり、筋肉痛が抑えられています。明日からは1.3倍でも問題ないです。』


「そう、わかったわ。でもとりあえず1.2倍で痛みがほとんどない状態になってから1.3倍を使うことにするわ」


 少し筋力が付いたのだろう、お腹を触ると脂肪の奥に筋肉があるのがわかる。この程度で維持できればあまり太らずに済みそうだ。


 旅装を解いて普段着に着替える。その時に気が付いたブーツから乙女が出してはいけない臭いがすることに……1日中ブーツを履いてたので蒸れるのは仕方がない、ただ今まで衣服には気を付けていたが、ブーツは盲点だった。慌ててブーツに《クリーンウォッシュ》をかける。浄化の魔法も組み込んでいるので、臭いの元になる雑菌も消せただろう。


「やっぱり、お風呂に入りたいわね……」


「なんじゃ、風呂に入りたいのか?じゃが、貴族の邸宅くらいにしかないぞ?」


「そうなんだ、一般の人たちはどうしてるの?」


「布を湯で濡らして拭くのが一般的だな、頭は井戸水で流すことが多い」


「冬は寒そうね、温泉はないのかしら?」


「温泉?なんじゃそれは?」


「自然に湧き出ているお湯のことよ、ヴェニカは見たことない?」


「ああ、あるぞ、火山の近くにたまにあるな。それに入るのか?さすがに熱すぎて人種には無理ではないか?私なら問題ないが……」


「温度が高ければ水を混ぜて温度を下げればいいのよ、あるなら入ってみたいけど……」


 この辺りに火山はない。温泉はこの先旅をした時に、どこか火山の近くを通ったときに楽しむしかない。そんなことを考えながら眠りについた。

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