第8話 属性魔法とは
目を開けると部屋が明るくなっていた。朝日が窓から差し込んでいる。常夜灯を消してベッドから起き上がり洗面所に向かう。化粧品も見つけたが使わなかった。肌の様子を確認するが特に問題はない。
せっかくあるのだから使ってみようと思い、右側の小さな棚から化粧水と乳液を取り出した。「化粧水」「乳液」とシンプルなラベルが貼られたプラスチックボトルだ。成分などの表記はない。化粧水を少量取り出し右の二の腕の内側に塗る。反対側の腕は乳液を塗る。
(これでそのまま放置ね、明日まで待ちたいところだけど……お風呂にも入りたいから夜まででいっか……)
昨日は頭も洗わずに寝たが汚れもなく、無駄な皮脂が出ているようにも見えない。代謝も止まってしまってるようだ。もしかしたらパッチテストの意味もないかもしれない。でも、温泉の保湿効果はあったみたいだしプラス方向だけは影響が出ているのだろうか?今は気にしても仕方がないので気を取り直して【属性魔法】の検証に向かう。
外に出ると今日も良い天気だ。森の匂いを吸い込み深呼吸をする。
(健康的な生活ね……まあ食事も運動もしてないから本当に健康的とは言えない気もするけど……睡眠だけは至って健康的、眠気は無いけど……)
本に書かれていた【属性魔法】について思い出す。
【属性魔法とは】
火、水、土、風、光、闇の6属性が存在する。(現段階での人の知識として)
属性魔法は他者に影響を与える魔法として研究された魔法である。(他者への影響とは攻撃や治療、その他肉体的な影響や精神的な影響を指す。)
また、すべての【生活魔法】が使用できるのであれば【属性魔法】が使用できると判断されている。(現段階での人の知識として)
火、水、土、風は攻撃や肉体的な影響を及ぼすものが多い。
光は治療や精神的な影響を及ぼすものが多い。
闇は主に精神的な影響を及ぼすものが多い。
発動には詠唱が必要とされており、使用者に適性があり魔力量が十分であれば発動が可能となっている。発動しない場合は、適性が無いか魔力量が十分でない可能性が高い。詠唱については次項目を参照
【属性魔法の詠唱について】
各魔法には現象を発現させるための詠唱がある。詠唱に定型の文章は存在しない。行使する魔法を発現するためのワードが含まれていれば問題なく発動する。
例えば、火属性の火球は「火」が「球体になる」といったようなワードが発動条件になる。他にもワードは存在するが、使用者により異なるため具体的な例はない。またこの例の魔法は一般的に《ファイヤーボール》の呪文と呼称されている。
【呪文について】
詠唱後に発するキーワードを呪文と呼ぶ。この言葉自体に意味はなく、一般的な言葉として用いられる。
例えば、連携して戦う仲間にどのような魔法を使うかを周知したり、魔法の効果を説明する際に便宜的な名称として使用されている。
どうやら詠唱が必要なようだ。私が詠唱すると中二病全開になりそうだからやりたくない。ここは手順を踏んで詠唱してみる方法を試すことにする。
「そうね、中心温度1,200度の炎が球体となり、視認している岩に向かって高速で飛翔し、岩との接触と同時に炎を1mの範囲にまき散らす。」
言い終わった瞬間に高速で打ち出された白い火球が見ていた岩にぶつかった。同時に破裂すると小さな炎がまき散らされた。
(微妙……いや、多分攻撃としては有効だろうけど、効果全部喋ってるし、何より長い……)
もし対人戦になったらやることが前もってわかってしまうので、避けることや準備して耐えることも可能になってしまう。火球がもっと高速であれば避けるのも難しいだろう。更なる検証や工夫は必要だが、それでも火属性の属性魔法は使えるようだ。
そもそも対人戦をやるつもりはない。緊急避難的に使う場面は出てくるだろうから使用するための確認は必要だ。でもそこまで深く検証する必要もないかもしれない。
いずれここから出て村や街に行ったとき、改めて情報を集めて検証すれば良いだろう。今は使えることが分かれば十分だ。私は他の属性魔法も試してみることにした。
結果から言うと私はすべての属性魔法が使用できる。本によれば100万人に1人いるかいないかだそうだ。
(この体、優秀すぎん?この世界に来た影響なのか、潜在的にあった能力なのか……潜在能力は……ありえないわね……)
すでに【属性魔法】への興味はほぼ失っている。ただし、光属性の治療系の魔法だけは大変興味深い。細かいことは覚えていなかったので寝室に戻り本を確認した。
【光属性(治療魔法)】
光属性は攻撃をする手段がほぼなく、治療や精神的な影響を及ぼす魔法が中心である。魔法としては、怪我の治療や毒物の除去、浄化、精神汚染から回復などがあげられる。代表的な魔法として《ヒール》《キュア》《ピュリフィケーション》《ピュア・マインド》などである。
私はキッチンに向かい、治療魔法の検証を行うことにした。現状ここが一番、治療魔法の検証に向いている場所だ。




