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自分が描いたイラストの異世界に転移してしまった  作者: マホロ
第2章 邂逅(かいこう)

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第77話 ポーション納品用の鞄

 個室になっているフィッティングルームに店員が胴衣を持って戻ってきた。


「お待たせいたしました。こちら、一度着てみていただけますか? 少しサイズが大きいので、すぐに調整いたします」


 店員が持ってきた胴衣に袖を通す。前面にある革の紐をきつくなりすぎないように編み上げて留める。腰をひねったり、上体を前後に倒してみるが大きな違和感はない。


「とりあえず大丈夫そうですけど、どうですかね?おかしな所はありますか?」


「そうですね、袖口は少し絞りましょう。ゆとりがありすぎます。胸の部分は紐で調節できますから、このままで問題ありません。腰の部分を少し絞りましょうか。前面の紐は、今のきつさで問題ないですか?」


「ええ、この程度が丁度いいです」


「それでは、腰は少し絞りましょう。絞る量を決めてピンで留めます。動かないでいてください」


 両方の袖口と腰の部分をピンで留めてもらう。確かに先ほどまであった違和感が無くなった。再び腰をひねったり、上体を前後に倒してみる。ちょっとした引きつりがなくなりスムーズに体が動いた。革も柔らかいので、しっかり伸び縮みする。


「さっきより良くなりました。これで問題ないです」


「承知いたしました。では、これで調整させていただきます。少しお時間をいただきますので、その間、店内の他の商品をご覧になってお待ちください」


「ありがとうございます。それとサイホルスターってありますか?」


「ございますよ。どういったものを取り付ける予定でしょうか?」


「この、腰の部分にあるナイフですね、同じようなものを着けると思います」


「取り付けるのは衣装の上からですか?それとも、素肌に直接でしょうか?」


「基本的には素肌に取り付けます。でも調整して衣服の上からでも取り付けられるようにしたいです」


「かしこまりました。該当する製品はひとつですので、すぐにお持ちいたします」


 店員はすぐに戻ってきた。手には焦げ茶色の革製品を持っている。


「こちらでございます。お客様がおっしゃるナイフのサイズでしたら、この2箇所で留めるタイプになります。さらに、素肌への装着を想定するなら、フォレストディアの革でできたものが良いでしょう。この革は大変柔らかく、お肌を傷つけません。伸縮性もございますので、長時間つけていても締め付け感は少ないはずです。2箇所のベルトは簡単に調整できますから、衣服の上からでも装着が可能です」


「ありがとうございます。そのホルスターもさっきの胴衣と一緒に買います。値段はどのくらいでしょう?」


「こちらのホルスターは、20,000シルでございます」


「わかりました」


 個室を出て1階に降りた。ヴェニカは鞄を眺めていた。


「調整は終わったわ。今調整してもらっているからもう少し待ってね」


「そうか、鞄は買ったぞ、後で頼む。それから納品に使う鞄を見てたのじゃが、これはどうだ?100,000シルと少し高いが、サイズも丁度良いし、ポーションも入れやすそうじゃ」


 勧められた鞄は蓋が大きく開閉できるような作りになっており、蓋の留め金は鞄の底についていた。それに鞄上にも持ち手がついており、片手で持って運ぶことも可能になっている。値札には100,000シルと書かれていた。


(……少し大きなランドセルね……)


「確かに出し入れは楽そうね。容量も問題ないし、革も硬めでポーション瓶を入れても潰れたりはしなさそうね。何の革だろう?」


「色と硬さからすると、アイアンバッファローじゃろうな」


 確かに濃いグレーで少し光沢がある。アイアンという名前にぴったりの色だ。それに肩に掛けるベルト部分もしっかりしており。内側には柔らかい革が貼られていた。これなら長時間でも痛くならないだろう。


「悪くないね、これにしようかな?」


「こういった製品は一点ものが多い、出会った時に買わないとたいてい後悔することになる」


 確かにそうかもしれない。良い製品なことはわかる。これも買うことにしよう。


「お待たせいたしました。調整が終わりましたので、もう一度着用してみますか?」


「お願いします。ここで着ても良いですか?」


「ええ、構いません。どうぞ、ご自由に」


 胴衣を受け取って、外套と胸当てを外して着てみる。さっきよりぴったりフィットしているが、きつい感じもない。これで問題ないだろう。


「問題ないですね、このまま着て帰ります。あと、この鞄もいただけますか?」


「アイアンバッファローの鞄ですね、かしこまりました。……では、こちらへどうぞ」


 カウンターに案内された。アイアンバッファローの鞄とサイホルスター、カウンターに来る途中で見つけたベルトを並べる。ベルトは10,000シルだった。


「全部で、380,000シルでございます。……よろしいでしょうか?」


「わかりました。金貨3枚と大銀貨8枚です。確認してください」


「お預かりします。確かに380,000シル、頂戴いたしました。お買い上げありがとうございます。このままお持ち帰りになりますか?」


「はい、このままで大丈夫です」


 アイアンバッファローの鞄の中にサイホルスターを入れて手に持った。いい買い物ができたと思う。


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