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自分が描いたイラストの異世界に転移してしまった  作者: マホロ
第2章 邂逅(かいこう)

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第73話 商業ギルド

 翌朝、柔らかいベッドの上ですっきりとした目覚めを感じた。体が痛くならないベッドは睡眠の質に大きな影響がある。やはり何としてでもこのマットレスは手に入れたい。


「フェシー、ヴェニカ、おはよう」


「おはよう」


『おはようございます。現在3刻半(午前7時)です。』


 少し長く寝たらしい。移動の疲れもあったのだろう。顔を洗い歯磨きをする。朝のルーティーンだ。それからトイレを済ましておいた。ヴェニカの準備も出来たので、朝食を食べに行くことにする。


 食堂は冒険者の恰好をした人々や、商人たちで賑わっていた。従業員に鍵を見せると昨日とは違い、食堂の手前の席に案内された。


「お席はこちらです。あちらのカウンターで朝食をお受け取りください。食後のお皿はあちらの返却口へお願いいたします。それでは、ごゆっくりどうぞ」


 指示されたカウンターに朝食を取りに行く。カウンターの前に立つと、お盆に乗った朝食が差し出された。それを受け取り席に戻る。


 朝食の内容は、黒パンとベーコンのような肉とソーセージ、スープ、そして野菜サラダに果実水だ。パンは違うが、日本のビジネスホテルのような朝食だった。


「それでは、いただきましょう」


 スープを飲んでみるが、ただの塩スープではなく、野菜の甘みを感じる優しいスープだった。ソーセージもボリュームがあり香草が効いてて美味しい。朝食の量としては十分だろう。最後に果実水を飲んで一息つく。


「部屋に戻って着替えたら出発でいいの?」


「構わんぞ、商業ギルドは3刻(午前6時)からやっているからな、あと気付いていると思うが、外の奴は放置でかまわん。どうせ領主の確認だろう、もちろん私が対象じゃから、ミオは気にせんでいい」


「そう、わかったわ。実害は……ヴェニカがいる以上ありえないわね」


 部屋に戻り私は旅装に着替えた。ワンピースのままでもよかったのだが、ヴェニカも言っていた通り、ワンピースに剣帯はおかしい。最後にバックパックを背負った。ヴェニカもポーション運搬用ケースを背負っている。フードを被り、フェシーを頭の上に乗せる。準備ができたので、部屋の鍵を閉めてフロントに預ける。


 通常連泊する場合は、客が持ち出すのが一般的らしい。ただフロントに鍵を預けると、部屋の掃除やシーツの交換をしてくれる。私たちは部屋に荷物を置かないので、毎回預けて掃除してもらうことにした。


 宿の前は大通りになっている。すでに多数の人々が忙しそうに動き回っており、街全体の活気を感じる。すでにいろいろな商店が活動しており、荷馬車への積み込みが行われている。


「すごい活気ね……すこし圧倒されるわ」


「この時間は商業ギルドの手続きが終わって出発する馬車が多いからのう。朝一は商業ギルドも混むから、これくらいの時間が丁度いいんじゃ」


「なら、手続きは早く済むの?」


「そうでもない、朝一よりは早いが、他の商人達も動いとるでな、ちとかかるじゃろ」


「なるほど、荷物を運ぶだけが商売じゃないからね」


 商業ギルドまでは徒歩で5分といったところだ。冒険者ギルドの前はもう通過したが、若い冒険者がたむろしている様子が見えた。朝から依頼を受けて仕事に行くのだろう。


 私がチラチラといろいろな商店に目をやっていると、ヴェニカが声をかけてきた。


「気になる店もあるかもしれんが、先に手続きをしてしまおう」


「そうですね、後でゆっくり見ることにします」


 商業ギルドの前まで来た。階数は宿ほどではないが、横幅が広く威圧感がある。見上げているとヴェニカに手を引かれてギルドの中に入った。


「そんなに引っ張らなくても大丈夫よ」


「放って置いたらいつまでも見てそうだったからな……」


 ヴェニカとギルドの受付に向かう。かわいらしい感じの職員が耳をピコピコ動かしながら何やら作業をしている。獣人種だ。街中でも見かけていたが、はっきりと見るのは初めてだ。


「登録とカードの発行したいのだが、どの程度かかる?2人分じゃ」


「あ、はい、新規の登録とギルドカードの発行ですね、少々お待ちくだしゃい」


(あ、噛んだ……)


 少し顔を赤くして、職員は裏手に下がっていった。しばらくすると、職員は番号札を持って戻ってきた。


「お待たせいたしました。こちらを持ってお待ちください。多分四半刻程度で順番が回ってくると思います」


「わかった、では待たせてもらう。あそこのソファーを使って良いか?」


「ええ、空いているソファーであればどこでも構いません」


 空いているソファーに行き腰掛けた。ヴェニカも座っている。


「時間はこんなもんじゃろ。27番か……確か名前と登録する職業を書いて、魔道具に手を翳せば良かったはずじゃ」


「手続きは簡単ね、それなら時間もかからないんじゃ?」


「そうでもない、書類を書いてからいろいろ質問される。ミオの場合は、持ってきたポーションの検査がある。それ自体はすぐに終わるが、上役が出てくると面倒だ。さっさと終わればいいんだが……」


(ヴェニカ、それを私たちはフラグと呼ぶんですよ……こりゃ時間がかかるかな?)


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