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自分が描いたイラストの異世界に転移してしまった  作者: マホロ
第2章 邂逅(かいこう)

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第70話 領都リデナスタ

 入城検査の順番が回ってきた。ヴェニカと一緒に衛兵の前に歩いて行く。他の人たちはカードを見せて終わっていたが、私たちはカードを持っていない。


「市民カードまたはギルドカードを持っているか?」


「いや、まだ発行していない」


「なら、あちらの衛兵に声をかけて検査を受けてくれ。よし、次の者」


 指示された衛兵にヴェニカが声を掛けた。


「カードをもっていない。入城検査を頼みたい」


「わかった。名前と出身地は?」


「ヴェニカ、ネア村の出身だ」


「ミオです。同じくネア村の出身です」


「領都に来た目的は?」


「私は行商人になりにきた」


「私は薬師です。商業ギルドに登録しに来ました」


「おお、薬師かありがたい。最近は少し数が減って困っているんだ。それとその頭の上の鳥は獣魔か?」


「はい、私の相棒です」


「登録はまだのようだな、早いうちに冒険者ギルドで登録をしてくれ」


「わかりました」


 かなり早いスピードで会話が進んでいく。なんとか答えるのに精一杯だ。


「入場料は、2人と1匹で7,000シルだ」


 ヴェニカが銀貨1枚と、小銀貨2枚を渡している。


「通ってよしと言いたいところだが……」


 そして衛兵が急に小声になり、ヴェニカに話しかけた。


「あなたはヴェンティス様では?」


「違うぞ、よく似てるといわれるが、髪の色が違うだろう?」


「そうなのですが……一応、領主様に報告しても良いでしょうか?」


「そんなに恐縮しなくてもいい、領主への報告は衛兵の仕事なのだから自由にすれば良い」


「わかりました」


 衛兵は咳払いをすると「通ってよし」と大きめの声で言った。


(ヴェニカ、バレてますやん。やっぱり髪の色だけじゃダメじゃん……言葉遣いもそのままだし……)


 ヴェニカと一緒に領都に踏み入れた。そこはヨーロッパのような白い石造りの商店や家が並ぶ光景だった。城門を入った道は一直線に伸びており、馬車や人が行き来している。様々な商店が並んでおり活気に満ち溢れていた。


「ほれ、ボーっとするでない。さっさと宿に行こう。20分程度歩くことになる」


 ヴェニカの言った通り20分程度で宿屋に着いた。途中で商業ギルドと冒険者ギルドの場所を教えてくれた。


 商業ギルドは3階建ての建物で銀行のような重厚な石造りで、商人たちがひっきりなしに出たり入ったりしていた。


 冒険者ギルドは、2階建てで石と木材でどこか素朴な感じだった。だが、出入り口付近にいる冒険者はガタイの良い厳つい者が多かった。大きな剣や槍を背負った者もいた。


「大きな宿ですね……どう見ても高級宿ですね……」


 宿はホテルのような作りをしており、玄関にはベルボーイもいる。私の言葉も聞かずにヴェニカはズカズカと宿屋に入っていく。ベルボーイも慌てて扉を開けていた。私もそれについて宿に入った。


 宿のエントランスも高級感があふれている。天井には立派なシャンデリアがかかり、フロントにはきちんと制服に身を包んだフロントマンが数人立っている。高級そうなソファーが並び、そこで上質な衣装に身を包んだ人々が談笑している。


『フェシー、すごい場違いなんですけど……』


『ヴェニカですし諦めましょう。私もここまで高級な宿だとは思っていませんでした。ヴェニカがいい部屋で100,000シルと言っていましたが、それ以上の部屋もあると思います』


 ヴェニカがフロントマンに話しかけた。


「部屋を取りたい。2人部屋で10日、一番安い部屋でいい。空いているだろうか?」


「少々お待ちください」


 フロントマンが裏に下がった。しばらくすると銀髪を整え、背筋を正し、穏やかに微笑む人物が現れた。どう考えても支配人だろう。


「ようこそお越しくださいました。ヴェンティス様」


「またか……私はヴェニカだ。髪の色がちがうだろ?先ほど言った部屋は用意できるか?」


(いや、だからバレてますって……相手は客商売だよそれも高級宿……)


「かしこまりました。ただちに手配させていただきます。……お食事はいかがいたしましょうか?」


「ミオどうする?」


「えっ、えーと、お願いします」


「かしこまりました。夕食は八刻から十刻の間、一階奥の食堂にてご用意いたしております。本日分より承っておりますので、お好きなお時間にお越しくださいませ。また、朝食は三刻から四刻の間となっております」


「10日の予定だが、値段はいくらになる?」


「恐れ入ります。お一人様、120,000シルでございます」


「わかった。先に払っておこう」


 そう言ってヴェニカは、金貨2枚と大銀貨4枚を支配人と思われる人に払った。その人はヴェニカがお金を出す間に、コイントレーを準備していた。早業すぎる。


「それから、ミオの頭の上に乗っている鳥は獣魔だ。小型なので部屋に連れていくが、問題はあるか?」


「いえ、滅相もございません。どうぞお気になさらず。お客様に健やかにお過ごしいただくことこそ、私共の務めでございます。

 当宿支配人のレイモンドと申します。以後お見知りおきを。滞在中、何かご不便がございましたら、従業員へ何なりとお申し付けくださいませ」


 こんな宿に泊まったことがない。私は一抹の不安を覚えた。


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