第68話 ヴェニカとの関係
目が覚めた。ベッドに座り固まった体を伸ばして解していく。《ライト》を常夜灯から昼白色に変更する。毛布を片付けてトイレに向かった。
昨日も寝る前にヴェニカの嬌声が聞こえたので、たぶん《ウォッシュシャワー・ビデ》を使ったのだろう。毎回あの声を聴かされるのは勘弁してほしいので、早めに慣れてほしい。そんなことを考えながら、用を足し、洗面所で顔を洗う。
皿を出して黒パンを置き、グレプをいくつか添えておく。準備をしているとヴェニカが起きてきてトイレに入っていった。コップに水を注げば、朝食の完成だ。
「フェシー、ヴェニカ、おはよう」
『おはようございます。現在3刻を少し過ぎた時間です』
「おはよう、まだ声が出そうになるが、《ウォッシュシャワー・ビデ》にやっと慣れてきた」
「何度も使ってると慣れるわよ、朝食をいただきましょう」
そう言いながらヴェニカは、椅子に座った。私も椅子に座り朝食を食べ始めた。黒パンとグレプだけなのですぐに食べ終わる。
「今日の移動は昨日説明した通りよ、少し東寄りに北を目指すわ」
「そういえば、フェシーについて何じゃが、こやつホワイト・ソフィア・アウルじゃろ?登録はどうすんじゃ?」
「何か登録が必要なの?」
「一応魔物なので冒険者ギルドへの届け出が必要じゃ、何かあった時に対応が必要じゃからの。ありえん話じゃが、フェシーが問題を起こすと登録したミオの責任になる」
「なるほど、私が従えています。という登録がいるのね……一応、種族はホワイト・アウルにするつもり」
「ふむ、それなら問題ないじゃろう。商業ギルドでカードを作ってから冒険者ギルドへ行くとしよう。時間を考えると明日じゃな……」
「早めに知っておくことは悪いことじゃないわ。ありがとう」
出発の準備を始める。ヴェニカに《ウォッシュシャワー》の使い方を教えておく。不安なら端切れを使ってトイレの横にある箱に捨てるように言っておき、小さなサニタリーボックスを用意しておいた。
全員の準備が完了したので外に出る。今日は薄曇りで私たちに日の光は届かなかった。雨は降りそうにないので問題ないだろう。シェルターを埋めてフェシーの指示した方向に歩き出す。
「そうじゃ、ミオは金を持っておるか?」
「金貨30枚分のお金はもっているわよ」
「ふむ、なら最初は私が出そう。ポーションがあるからすぐに貯まると思うが、ある程度したら2人で出す形にするか……」
「え?別に最初から私も出すわよ?」
「いやな、ちと設定を考えておったんじゃ。私がミオの姉だと少々違和感がある。そこで従姉という設定にする。従姉なら似てなくても問題ない。黒髪は同じじゃから親戚なら通るじゃろ?そして従妹と一緒にリデナスタに商売をしに来たとすれば城門も簡単に通れると思ってな」
「なるほど、それでお金を出すのは何の関係が?」
「一応年上の私が連れてきているというていじゃな、まあ使いきれんほど持っておるから少しでも減らしたい気持ちの方が大きい」
「ありがたい話だけど、それじゃ私がだめ人間になっちゃうわ。最初は甘えることにするけど、少ししたら自分で出すからね。ヴェニカも服とか買っておしゃれでもしたら?」
「うーん、あまり興味がないのもあるが、この格好でないと変な虫どもが湧いて困るのじゃ……全部撫でるのも面倒じゃし」
「なら、その胸を引っ込めればいいじゃない。それだけでも虫の数は減るわよ」
「それは嫌じゃ」
設定やお金の使い方については納得したが、ヴェニカの胸は納得がいかない。本人の自由だが、そのうちもいでやろうか……
「それと、ミオの装備だが、シャツの上に直接胸当てをしているが、胴衣は付けんのか?外套を羽織っているが軽装に見えすぎる」
「そうなの?装備についてはそこまで詳しくないから……胴衣については街に着いたら見てみるわ。他に違和感はない?」
「他は問題ないじゃろ。あえて言うなら小手ではなく、ロンググローブで良いかもしれん」
「ヴェニカ、ありがとう参考にするわ」
「なに、これでも長い間冒険者をやってきているからな、標準的な装備くらい覚えてしまうわい」
しばらく歩いていると、遠くに幌馬車が走っているのが見えてきた。あそこが街道だろう。
『そろそろ街道に出ます。あと1,000mといったところです。』
「のうフェシー、その1,000mはどのくらいの距離じゃ?」
『約1,000リグです』
「ふむ、ミオの世界の単位か……覚えておこう」
「ここからリデナスタまではどの程度の距離なの?」
『少々お待ちください』
そういうとフェシーは空に舞い上がり東の方向へ飛んで行った。あっという間に見えなくなった。
「距離を測りにいったか……ミオ、シェルターで休憩しよう。入口は開けっ放しでよい、何か来たら私が気付くからな」
「わかったわ」
シェルターを作り中に入る。フェシーが帰って来るまで休憩することになった。いつものように身体強化を切って、治癒ポーションを飲み干す。完全に休憩時のルーティーンになってきた。




