第64話 シェルターの個室
地下に作ったシェルターに入る。いつも通り机と止まり木を作り、椅子を2脚だす。先に夕食を作ってしまう。今日は、ポテトとラディで煮込んでいく。
「ヴェニカって深皿とか持ってない?」
「あるぞー、冒険者の時に使うからな、これでいいか?」
ヴェニカから深皿を受け取り煮込みを盛り付けた。自分の皿にも同じく盛り付けておく。コップも出してくれたので、水を入れる。
「こんな料理だけど大丈夫?」
「十分じゃ、さっそく食べるとしよう。肉を焼いたりは……ここじゃ無理じゃな、私が外で焼いてくるか?」
「今日はいいよ、明日の夕食でお願いしていい?」
「かまわんぞ、何か肉はあるか?」
「解体してない、ホーンラビットとブラック・ブルがあるけど……」
「そうか、私も解体はしないから、解体からとなると無理じゃな。少し手持ちがあるからそれを焼いてやろう」
「いいの?」
「肉なんぞいつでも狩れるし、ギルドに持っていけば解体してくれるさね」
椅子に座り夕食を食べる。今日もいろいろあったが概ね順調に進んでいる。明日の昼には街道にたどり着くだろうと、フェシーが言っていた。
「食材はたくさんあるから、おかわりが欲しければ言ってね。すぐ作れるから」
「野営で温かいものが食べられるのじゃ、気にせんでいいぞ」
ヴェニカは大雑把な割には結構気を使ってくれる。自由ではあるが悪い人?ドラゴン?ではない。夕食を食べ終わったので、治癒ポーションと体力ポーションを用意する。身体強化を切って、足の痛みと体の怠さに耐えながら両方のポーションを飲み干した。
「昼もやっておったが、なぜポーションなんぞ飲んでいるんだ?どこか怪我でもしてるのか?」
「いえ、身体強化を使ってるんで切ったときの反動が……ひどい筋肉痛になるのよ」
「あははは、運動不足じゃな、もっと鍛えんとだめじゃ」
「そうですね、もう少し鍛えたいところではあるんだけど、根がインドア派なので……ああ、家に籠る性格なんで」
「ふむ、見た限り研究者気質なのはわかる。でもたまには外に出ないと不健康じゃぞ」
筋肉痛と疲労から回復したので、個室を作ることにする。まずは右側、広さは床面積が2m×3mで高さが3mの部屋だ。今の居室よりは小さい。ベッドを置くだけなので十分だろう。中心の居室との間に10cmほどの壁を設けるように配置する。入口の幅は90cmにした。イメージの名前を決めて呪文を唱える。
「地下野営シェルター寝室」
すぐに部屋が出来上がる。軽く中を確認して、問題ないので反対側にも同じ部屋を作る。こちらも問題なくできた。
「ヴェニカ、好きな方を使っていいわ。中にベッドになる台があるからそこで寝てくれる?毛布はあるよね?」
「おお、意外と簡単に作るなぁ。それじゃ、右側をありがたく使わせてもらおう。もちろん毛布や着替えも持っておる」
「私は先に着替えさせてもらうわ。ヴェニカも少し自由にして……」
左側の個室に入り着替える。昨日と同じように体を濡れたタオルで拭いてからワンピースに着替えた。2日間頭を洗っていないのが気になる。洗面所でシャンプーは無いが軽く洗うことにした。
洗面台の上に《ウォータ》を待機させる。そこに下から大胆に頭を入れていく。呼吸のために鼻か口が水面から出ていれば問題ない。手で髪の毛を洗ったらかなりすっきりした。タオルで頭を軽く拭いて、そのまま巻いておく。
このまま水を捨てるのはもったいないので、昨日と今日着た下着と使ったタオルなどを水球の中にいれ、さらにムクロジの実を入れる。手でかき混ぜれば泡が出てきて、簡易洗濯機の完成だ。しばらく回してから水を捨てる。
新しい水で今度はムクロジを入れずにすすぎをする。これで洗濯は大丈夫だろう。水を捨てて確認すれば、特にムクロジのぬめりもないので水気を取りながら形を整えて《ドライ》をかけていく。状態維持が掛かっているので汚れさえ落ちれば元通り綺麗になるので、これで大丈夫だろう。軽く確認して問題が無いのでポーチにしまった。
居室に戻るとヴェニカが興味深そうにこちらを見ていた。
「洗濯をしておったようだけど、不思議なやり方じゃな。なんで中に浮かべておったのじゃ?」
「途中から見たのね?最初はあれに頭を突っ込んで、洗っていたのよ……そこまで汚い水じゃないから、ムクロジを入れて洗濯物を洗っていたの」
「なるほど、水の再利用をしたのか……私は洗濯なんかしないからのう……」
「汚れた下着とかはどうしてるの?」
「この姿の時は適当に溜めて、街に行ったときに一括でやってもらっておる。多すぎると文句は言われるが、金を払えば問題ない。それに数日間なら替えなくても気にならないからな」
大量の紐パンを洗濯屋に出しているヴェニカが想像できる。コミカルだが店側はたまったものではないだろう。
「そう……数が少ないのなら一緒に洗うから、明日からは出してね……ところで胸は何か下着を着けているの?」
「そうか、好意に甘えるとしよう。胸に下着はつけとらんのう。なくても問題ないからな」
そう言ってヴェニカはバインッと音がしそうなくらいに胸を突き出した。ローブに乳首の形が薄く浮き出ているが、本人が気にしていないのなら構わない。




